第9話 天使の階級

「てか本当にリーシャ様以外のことまったく覚えてないのか?」


「うん。まったく覚えてない」


「ほかの天使のこともか?」


「そうだね」


「マジかー」


そういってカミルはこめかみを抑えている。


何かあったのかな?俺の記憶がないのがそんなに大ごとだとは思わないけど…あっ、もしかして俺が強引に呼び出したことに怒ってるのかな?大事な仕事してる途中だったとか。


「もしかして俺のこと呼び出したのも大きな理由がないのか?」


「あーー、うん。そうだけど…なんかまずかった?」


「いや、そういうわけじゃないんだけどな。えーーと、もしかして自分のスキルのことすら覚えてなかったのか?」


「そうだけど…まずかった?」


「いや、そういうわけじゃないんだけどな。お前あと一日でやらなきゃいけない仕事があるんだろ?大丈夫か?」


深刻そうな顔をしてカミルがこっちを見る。そんなに大変な仕事なら転生したばかりの俺に仕事任せんなよ、と俺は思うけど?


「てかエクレーシアも助けてやれよ」


「私もスキルの鑑定だったり試し打ちだったりとだいぶ助けているんですが」


え?もしかしてこの教会の人も天使関係の人だったの?でもこの人俺が来た時平伏してたよね?


「おい、セラフが困った顔してるってことはお前…もしかして何にも言ってないのか?」


「ええ、一応リーシャ様から何にも言わないでサポートしろ、と命令されていたので」


「…マジか?」


「ええ、マジです」


カミルがやっちまったーという表情でこっちを見てくる。


言っておくけど俺は何の関係してないし、これに首を突っ込むことも絶対にしないからね?


「セラフ、マジでこいつが天使だって知らなかったのか?」


「うん。だって俺が来た時平伏してたし」


「いや、それはお前が最上位の天使だからだろ」


「え?」


「いや、びっくりすんなよ。天使とやっていくための最低限のことだぞ」


「先ほど記憶をなくしたって言っておりましたが本当のことだったんですね」


「わかってないみたいだから説明しておくと天使は7段階に分かれてる。数字が低いほうがくらいが高いって感じだな。俺もあんまり詳しくは知らないけどさすがに自分の階級と使える権限ぐらいは知ってるぞ」


「どうやらカミル様はそこらへんがわかってないようなので私から説明させていただきます。

第7階はミーレス。最も使える権限に制限がかけられていて新米の天使という感じですね。普段はカミル様だったりセラフ様の命令で仕事をしていますね。

第6階はエクエス。ミーレスたちをまとめるといった仕事でまだ新米といった感じですかね。

第5階はイムペラートル。エクエスのさらに上の立場といったところでしょうか。軍隊の中でも将校と言われる立場ですね。

第4階はドゥクス。ここまでくると一人前の天使といったところですね。それに大体の天使はここまで来ることができますけど、ここまでっていう天使も多いですからね。

第3階はマルキオー。この階級の天使は全体で28名しかおりません。選ばれた精鋭って感じでしょうか。ちなみに私はこの階級に属しています。

第2階はレグルス。この階級はマルキオーよりもさらに少ない14名しかおりません。この階級の天使は第1階の天使の補佐という役割ですね。

そして第1階はレクス。この階級は天使の中で最高の階級で7名しかおりません。セラフ様だったりカミル様はこの階級ですね」


「お前、すごいな。俺なんて自分の階級しか覚えてないぞ」


「それはカミル様が異常かと。少なくともほかのレクスの方々は覚えていると思います」



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