第190話 イベントが盛りだくさん

「えっと……次はどこに行こっか?」

 昼食をそれほど列に並ぶことなく店に入り、食べ終わった僕たちはまだ見て回る予定にあるペンギンの餌やり体験をしようとその場所に向かっていた。

「確か、あとペンギンの餌やり体験が終わっていないよね?」

「うん。確かそれは……えっと、一時半だからあと30分ぐらいすれば二回目の体験ができるよ」

 僕は手元の腕時計とスマホのスケジュールを照らし合わせながら、直近の時間を確認して答えた。



 ちなみに今の時間は午後の一時。仮に今すぐ向かっても早すぎてまだ始まっていないこともある。

「そっか。30分……どうしよっか?」

「うーん……正直、他の魚たちを見に行くのは、時間に間に合わせるように行くならそれは少し難しいような気がするし……」

 そういう事ならいっそ、どこかの小休憩できるようなベンチでも見つけてそこで美結と話でもしていれば時間なんてあっという間だろう。

「……丁度あそこにベンチもあるしさ、少し話でもしながら座らない?」

「うん。良いよそれに思ったより私、さっきのカフェで食べ過ぎちゃったみたいだし」

「そうなの? 最後にシーソルトパフェを食べる前に『スイーツは別腹!』みたいな事言ってなかったけ?」

「あ~うん、言ったね。けど……自分でも思った以上にパスタの時点で結構お腹一杯だったみたい……」

「あはは……ならとりあえず座ろっか」

「うん。ありがとう気を遣ってもらっちゃって」

「ううん。気にしないで」

 それにただ話すのとは別に聞きたい事もあるし……


「ふぅ……ようやく一息つけるね~」

「そうだね……ところでさ、美結。一つだけ聞いていい?」

「ん? どうしたの?」

 ベンチで隣り合わせに。それも美結が僕の肩に身を寄せるように寄りかかっている彼女にそのままある疑問を投げかけた。

「今日の美結。なんだかいつもより距離感みたいなのが近いような気がして……」

「え? そうかな? 私はあんまりそういうのは意識してないけど……」

 といった感じで美結は言うけれど、ぶっちゃっけ今日はそういった一面がたまに見ることがあった。

 まずさっきのカフェで食べさせたりする瞬間だったり、それこそ今こうして肩を寄せている状況なんて少なくともこれまで美結の方からされることは無かった。

「……美結。何かあった?」

「…………特にないよ?」

 今、ものすっごい間があったのはあえて言わないけれど、美結の中で何かそういったスキンシップに対する意識が変わったりしたのかな……



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