第5話 テストと不安事

七月六日

「ほら、ここはこの公式を使えば解けるよ」

「あ、そっか。じゃあここも?」

「そうそう。ここの問題は応用じゃないからさっきの公式を使えば……」

「ありがとう〜! というかごめんね? こんな遅い時間に」

「気にしないで。流石にこんな時間に電話来たのは驚いたけど……」

 ビデオ通話をしているスマホを横目に時間を確認しようと、視線を時計の方に移すともう針は十ニを指していた。流石に眠い。

 寝たいと何度思ったことかけれど、途中でほったらかしにするのは北沢さんに悪い気がする……

 そしてなぜこうなったのか、それは遡ることニ時間前。



 僕は普段寝る前にスマホで音楽を流しながら、本を読むというルーティンがあった。

 今日もいつも聞いている動画を流しながら本の一ページ目を捲ろうとしたその時突然、スマホはブルブルと震え始めた。

 相手は最近知り合った北沢さんからの着信だった。

「もしもし。どうしたの? こんな時間に」

『えっとね……実は明日の数学で出す宿題がありまして……中村君に手伝ってほしいと思って……』

 ……? なぜ加藤さんではなく僕に頼むのか疑問だった。

「ちなみに加藤さんはどうしたの? こういう時は僕じゃなくて、加藤さんの方に頼めばいいんじゃ?」

 この間行われた数学の小テストも加藤さんは、ほぼ満点に近い点数を取ってたし、その方が確実なはず……   

『えっとね。つい最近も同じこと美結に頼んじゃった。ていうのもあるけど、個人的に頼めない理由もあってね……あはは』

 そう説明する彼女は少し歯切れが悪そうにそう言った。

 なんというか、何か隠していそうなのは感じとれた。けれどそれが何なのかは分からない……とりあえず詮索はよしておこう。

 それから時間を見て少し考えた結果、彼女の頼みを了承することに。

「別にいいよ。特にやることもなくて暇だったし」

『ありがとう〜! このお礼は近いうちに!』

「お礼なんて…別に気にしなくていいのに」

『まぁまぁ、そんなこと言わずに!』

 さすがに突然お礼すると言われると何を言おうか悩む。

 お礼について考えていると、彼女の親友的位置にいる加藤さんの存在が不意に頭をよぎる。

「誕生日……」

『え……?誕生日?』

「そう。僕、加藤さんの誕生日を知らなくて……北沢さんは知ってるよね?」

『もちろん。私はずっと彼女の傍で誕生日を祝ってるからね〜それで誕生日だったね。美結の誕生日は七月十日だよ〜』

 彼女から聞いた日にちと壁のカレンダーを照らし合わせると七月十日まで日数は残り四日だった。

「十日……十日って今週の金曜日じゃん!」

『そうだね〜中村くんは何かプレゼントするの?』

「それについては今も考え中。だけど女子に送るプレゼントって何がいいんだろう……」

『それにお困りならば私の出番でしょう!』

 すると画面越しの彼女はドヤ顔を決めていた。

「何かいい案があるの?」

『モチロン! とりあえず明後日の放課後に一緒に見に行こうよ!』

「見に行くって……プレゼントを?」

『そ。善は急げってやつ!』

「まぁそうだね。それはそれとして早速宿題の方しようか。正直僕はもう寝たい」

『うん。そうだね。夜遅くに申し訳ないけど続き、お願いします!』

 とりあえず北沢さんがその手のことに頼れる人でとても心強い。これでプレゼント関係はなんとかなるりそう……

 そして宿題が終わるまでまさかこの後に時間以上もかかるとは思わなかった。



『よ〜し! おかげで課題も無事終わったよ!今日は本当にありがとう! あっ、正確には昨日かな』

「あはは……そうかもね。何気に日を跨いでるしね。とりあえず、僕はこれから寝るよ。おやすみ。北沢さん」

『おやすみ〜また今日、学校でね〜』

通話は終わり画面が真っ暗になる。

 さっきまでは電話をしていたので脳も目もそれほどバリバリに起きていたので眠気はそれほど感じなかったが、今や眠気がピークを超えてまぶたが自然と重くなりゆっくり閉じ始める。 

 さらに疲労感によって重く感じる体をベッドまで歩き、ダイブ。そうすると体から力が抜けていき、そのまま目を閉じた。



**

七月七日

 チュンチュンと鳴く小鳥のさえずりが耳に入り、目を見開く。

 気分もすこぶる良く、寝覚めのいい朝といった感じだ。

 七時間ぐらい時間ぐっすり眠れた状態のようで、まさに快眠そのものだった。しかし、ふとこの現状に対してある可能性が浮かび上がった。 

 まさか……寝坊しているのでは、と。

 本来ならいつもバカうるさい目覚ましの音か、親がたたき起こしてくれるが、親に関しては月に一度だけ両親は会社に泊まり込みで働く日がある。まさしく昨日はその日だ。多分ぼくが学校に行ってる間に帰ってくるだろうけど。

 

 なのでその日だけは決まって早く起き、朝食の準備、昼の弁当作りなどを一人で準備しなければならない。

 しかし昨日は北沢さんの課題を手伝っていた為、寝るのは普段より遅くなった。

 そうだ。まだ寝坊だと決まった訳じゃない!

 きっと鳥のさえずりが珍しくいつも起きている五時に鳴いていた……そう、きっとそうなんだ!

「頼む……そうであってくれ……」 

 だが、そんな現実逃避に等しい願望も虚しく、はっきりと時計に9:30とデジタルのフォントで表情されていた。

 ちなみに、僕の高校の朝礼開始は9時なので既に遅刻は確定していた。

「ってもう授業始まってる、やばい!」

 高校生にもなって遅刻すると思わなかった自分がその立場になるとは……、恥ずかしい気持ちと焦燥感で胸は一杯だった……。

「もういっその事休もうかな…………いや。休むのは良くないな。ズル休みになるし」

 ベッドから起き上がり、カーテンを開け、日光を浴びた体が覚醒を始める。

 その後はすぐにバタバタしながら準備に取り掛かる

「朝ごはん……は抜きにするしかない。時間ない……から途中のコンビニで昼は買っとこ」

 着替えを終わらせ立ち鏡の前で違和感の有無を確認をして問題はなかったので、ドアを開け、慌てて外に飛び出し駅に全速力で走った。


 

 全力で駅のホームに駆け込みタイミング良く止まっていた電車に乗り込むのには間に合った。もしこの電車を逃していたら学校に付いてたのは三時間目になっていただろう。

 時刻はまだ十時前後。車内のイスは全て埋まっている。

 さらにつり革の近くにも何人か立っていた。さっきまで走っていたため、汗が伝う体にクーラの風が体に心地良く伝わる。

 電車に揺られること三十分。次第に乗っていた人たちは降り、いくつかイスにも空きが見えたのでようやく腰を下ろすことが叶った。

 空調の効いた車内は冷えており、十分に涼んだ今になっては少しだけ肌寒いと感じていた。 


 学校の最寄り駅に到着するとそのまま早足で近くのコンビニへと足を運んだ。

 ちなみに学校周辺にはカラオケやコンビニ、飲食店などが揃っており、そこがうちの高校の良い点と言える。

 肝心のコンビニはというと学校から歩いて数分の距離にあり、入口から辺りを見渡せば学校の屋上が見える。 

「ひとまず適当におにぎり3つ選んで……飲み物も買っとかないとな……」

 小さく独り言を言いつつ、おにぎりのある陳列棚へ歩く途中、同じ学校の生徒がいることで足が止まる。

 そこに立っていた生徒とは話したことはないが確か同じクラスの赤羽だったはず。

 スイーツの陳列棚の前で分かりやすく顔をしかめていた赤羽司は同じクラスメイトの一人。

 赤羽は時々授業の途中で遅刻しながら登校するときがあった。周囲からは不真面目な生徒のイメージで定着していた。

 もちろん英二とは違って悪いイメージの方である。

 赤羽は陳列棚からスイーツを二つとってレジを探して周囲を見渡している最中、偶然目が合った。

 すると赤羽はすぐに速足で距離を詰めて近づいてきた。

「確か……同じクラスの中村だっけ?」

「そうだな。ちゃんと話をするのはこれが初めてだと思う」

「へぇ……中村って真面目なイメージあったから少し意外だな。サボりとかしないと思ってた」

「いや、今日は普通に寝坊しちゃってさ。昼ご飯確保のためにコンビニ寄っただけだよ」

「あ、そうなのか」

「うん。それじゃあ僕レジ行くからまた学校で」

 体をレジの方に曲げて会計に向かおうとすると、軽く肩をトントンと叩かれた。

「なぁ、せっかくだから一緒に行かね? 中村と離す機会今までなかったし」

「いいけど……赤羽は僕と話してみたかったの?」

「まぁそうだな。割と興味あったし」

「そっか。まぁ僕も断る理由もないし、いいよ」

 そうして僕たちは一緒に会計を済ませて、学校までの道すがら早足で学校まで話しながら歩く。


 そしてようやく学校に到着したのは十時過ぎ。

 ちょうど一時間目が終わっていたようでクラスのドアを開ける前から賑やかな喧騒の声が廊下にいる僕たちにも聞こえてくる。

 ドアを開けると一瞬、賑やかな雰囲気が一変。視線はこちらに集中したがすぐに各々語らっていた友達の方に向き直り賑やかな雰囲気に逆戻りする。

「おはよう。加藤さん」

 教室に入りバッグを置いて僕は加藤さんのいる机に向かう。

 加藤さんの机の近くには北沢さんも机に身を寄せ、今も二人仲良く話している。

「おはよう!寝坊なんて珍しいね」

「あはは……まぁね起きたときは本当に焦ったよ」

 北沢さんはこちらを申し訳なさそうに口パクで「ごめん」と言いつつ平謝りを繰り返していた。気にしなくていいのに……

「ちなみに昨日は何時に寝たの?」

「十二時だよ。少し動画を見すぎて……」

 それを聞いた北沢さんは顔を曇らせた。

「十二時!? そりゃ寝坊しちゃうよ……夜更かしは駄目だよ?」

「はい……気をつけます」

 本当は北沢さんの課題を手伝っていたからだけど言わないでいっか……

 もし本当の事を言おうものなら彼女は北沢さんの事を叱りつけるのでここは言わない方が吉だと言える。

「うん。気をつけてね」

「それとは別に、一時間目の授業の時に僕、いなかったから後でノート見してもらってもいい?」

「うん。もちろ――」

「オッケーだよ〜!はいこれ日本史のノート。」

  加藤さんとの会話の途中、間に突然割り込む形で北沢さんはノートを渡してきた。

「ちょ、北沢さん」

 すると彼女は突然距離を詰めてきては、僕にしか聞こえない声量で。

「本当にごめん! 私の課題手伝ってもらったばっかりに。これはせめてもの罪滅ぼし!」

 本人は至って恩返しのつもりでやったのだろう。

 しかし僕は良くても後ろにいる美結からの懐疑的な視線は僕らに突き刺さる。

「別にいいけど……加藤さんがなんか不服そうな顔してるし、説明しといてよ?」

「も、もちろん!私に任せてよ!」

「絵里香~?」

「ひっ……」

 音もなく背後からの声に僕らは動揺した。

「何を隠してるの?ふたりとも」

「うっ、北沢さん。ここはもう白状するしか……」

「うっ……けど……」

 沈黙が続くなか、彼女は北沢さんを笑顔で見つめ続けている。白状するまでやめる気はないのだろう。

「……ごめんなさい。本当は今日提出する課題を中村くんに手伝ってもらってました。」

 まるで親に怒られたよう子供のように北沢さんは申し訳なさそうな表情で素直に平謝りをした。

 僕も彼女に続き嘘をついたことを謝罪した。

「ちなみに、どうして嘘を付いたの? 中村くん」

「言ったら加藤さん。北沢さんのこと怒っちゃうと思ったから言わないほうがいいかなって……」

「そっか……けど私も絵里香の課題手伝ったことあるけど、何も中村くんまで手伝わなくても……」

「けど困った時はお互い様でしょ?」

「そうだけど……まぁ中村くんがそれでいいなら私もそれでいいけれど」

 北沢さんの懺悔が終わると授業前の予冷が鳴ったので自分の席に戻った。

 


 放課後になったのを確認すると僕は荷物を手早くまとめた。

 今日は一日バタバタしていたため疲労感が一段と蓄積されていた。

 出口に向かおうとしたところで、北沢さんに呼び止められた。

「中村くん〜、今日の放課後って時間あるかな?」

「あるけど……どうしたの?」

「あぁ、いや今日のお詫びがしたくて……」

「けどあのことはもう過ぎたことで……」

「それでも私にとってはけじめをつけたいの!」

 そこまでして北沢さんはお詫びをしたいらしい。

 普段の明るい彼女とは打って変わって、新しい一面が垣間見えた。

「……わかったよ。ここは僕が折れるとするよ」

「ありがとう〜じゃ、早速だけど今何か欲しい物とかある?」

「欲しい物?う〜ん……スイーツとか?」

「スイーツか〜この辺だとカフェとかクレープ屋とかがあるね。どっちにする?」

「……じゃあクレープで。あんまり食べる機会ないから食べてみたいな」

「オッケー!早速クレープ屋にレッツゴー!」

 

 僕らの通う汐華高校から駅とは逆方向に歩いて十分ほどの距離の道中にクレープ屋はあった。

 そのお店はそこそこ大きく、クラスメイトの会話でクレープ屋に行こうという話がよく耳に入ってきていた。

 それほどにここのクレープ屋は人気だというのがよくわかる。

 クレープ屋に到着した僕たちは早速注文を決めるために店横のショーケースに顔を向ける。

「けっこう種類多いね」

「だねぇ〜私も初めてきたからびっくり!」

 ショーケースの中には15種類ほどのクレープが置かれていた。

 クレープの定番であるチョコから生クリームやスイーツがたっぷり乗ったものからツナハムなどのおかず系のクレープもあった。

「それにしてもどれも財布に優しいね550円って」

「だね〜確かにこれは学生の私達でも気軽に買えるね。中村君は決めた?」 

「色々あって悩むけど、定番のストロベリークリームにしようかな」

「それじゃあ私は……よし決めた! それじゃ、買ってくるから待っててね〜♪」

 そう言いながら絵里香は楽しそうな笑顔で店員に注文をしにいった。 

 近くに公園があったのでそこに腰を下ろし、数分待った後に北沢さんがクレープを持って戻ってきた。



「おまたせ〜これがストロベリークリームね。隣、座るね〜」

 彼女が手にしているクレープはいちごがこれでもかと大量に乗っていた。

 そういえばバナーに期間限定としてストロベリースペシャルが書かれていた。

 クレープを一口、二口食べた辺りで北沢さんはこちらに向き直り、口を開いた。

「う〜ん!美っ味しい!どう?ここのクレープは、美味しいでしょ?」

「うん。普段はあまりスイーツが食べないから美味しい」

「へ〜中村くん意外とスイーツとか食べないんだ」

「うん。けど人並みには好きだよ。生クリームたっぷりみたいなのは無理だけど」

「そうなんだ〜美味しいのにな〜」

 それから僕たちは話をしながらも着々とクレープを食べていった。

「ふぅ〜美味しかった!さてと腹も満たされた事だし明日の件の話をしよっか」

「加藤さんの誕生日プレゼント、だよね」  

「その通り!ところで、目星とかはつけてる?」

「いや、特には……第一、女子にプレゼントなんてする機会今までなかったし……」 

「なら尚更私が必要そうだね〜その辺の事は私に任せるといいよ!」

 北沢さんは腰に手を当てながら誇らしげな顔を浮かべた。

「知ってると思うけど、美結は本読むの好きなんだよね。」 

「うん。前に読んでるところを見たことはあるよ」

 あの時、彼女は本を読んでいたが、内容までは分からなかったので少しだけ興味があった。

 なので彼女の親友である北沢さんなら知ってるのでは、と思い聞いてみた。

「ところで、加藤さんって何読んでるとかは知ってる?」

「えっとね、前聞いた時に恋愛小説を読んでるって聞いたよ。恋愛もの好きなんだって」

「へぇ……加藤さん恋愛もの好きなんだ。僕もよく読むから話が合いそう」

「そうするといいよ。美結って見ての通り、友達少ないからさ〜」

 彼女は嘲笑するように笑っていたが、その顔は子を見守る親のようだった。

「っと、本題からズレちゃったね。プレゼントのことだけど無難なところで行くなら、ブックカバーとか栞はどう?」

「栞って書店で貰えたりするやつ?」

「も……いいけどせっかくのプレゼントにするなら手作りとかはどう?」

「手作り?」

「そっ。やっぱプレゼントの定番としてもいいし何よりまず失敗することってないと思うよ」

「なるほど……」 

 確かに北沢さんの言う通りだ。

 高い値段のプレゼントを送るより、手作りの方が想いが籠もっているし妙案だと言える。

「そうだね。日々使う物の方が加藤さんも喜ぶよね」

「うんうん!きっと喜んでくれるよ!さてとそっちの問題は解決だね。」

「そうだね。ありがとう。おかげで話がまとまったよ」

「そりゃどうも〜それはそうと、明日ちょっと付き合ってほしいんだけども……」

「付き合ってほしいこと?買い物とか?」

「そうそう。私はさ、美結に服をプレゼントをしようと思うんだよね〜」

「服か~けどそれなら僕はいらないような……」

 それに女子の服の良し悪しがわからないので戦力外でしかない。

「私さ、こう見えてファションセンスないんだよね……だから男子である中村くんからみた意見が欲しいんだよね……」

「まぁ……そういう事なら、構わないよ」

「やった!ありがとう〜!正直途方に暮れてたから、本当に助かるよ〜」

 ちょうど話が一区切りついたところで、クレープも食べ終わったので、そのまま僕らは帰路についた。


 夕暮れのオレンジ色の光が車内を照らす。

 そして、光が建物と建物の隙間を縫うように差し込んでいた。 

「今日はいろいろあって疲れた……」   

 朝から遅刻をしたり普段はしない寄り道をするなど、慣れないことが続いて体は既にクタクタだ。

 降りる駅までまだ何駅かあるので、僕はゆったり特にすることもないので読書にふけているとポケットの中のスマホが震える。

 音の正体は加藤さんからのメッセージだった。

『明日の放課後って時間ある?一緒に帰りたいなって思って』 

『ごめんm(_ _;)m明日は少し北沢さんと一緒に買い物をする予定なんだ。明後日なら問題ないよ』

『そっか……急にごめんね』

 そこで会話は終わりスマホをしまう。  

 加藤さんとは普段から毎日話していたので彼女に寂しい思いをさせているみたいでやや不安だった。

『今度埋め合わせをするよ』 

『ありがとうm(_ _)m明後日楽しみにしてるね』

 スマホをしまい、彼女が言っていた言葉を思い出す。

『美結って友達少ないからさ〜』

 確かに加藤さんが僕や北沢さん以外と話している姿を見たことは一度とない。

 友達が少ないことを悲観するつもりはない。

 こんな時、彼女のために何かをしてあげたいと思うのはお節介だろうか……

「そこらへんも少し考えておこうかな……」

 それから僕は家について加藤さんの友達を増やすプランについて考えながら明日の準備を終わらせて身体も限界が来ていたのですぐに眠りについた。














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