第34話 思い出した

「来ちゃ駄目。逃げて」


って司書が言ってるけど、まあ、この状況でそう言われて逃げる奴っているのかな? それ分かって言ってね? 家庭環境のせいか、どうしてもひねくれた考え方になる俺。


なんとかしなきゃ。でも、司書が捕まってるから攻撃できないし。どうしよう。途方にくれていると、乗っている本から映像が浮き出て来た。


図書室でさぼってる俺と司書。


「なあ、お前絶対彼氏いないだろ? 卒業して成人したら俺がもらってやってもいいぞ」


うわっ、何言ってんだ、俺。痛いな、前世の俺。


「ふふふ、この図書室の本全部読んだら考えるわ」


「げっ、俺、本なんか大っ嫌いだよ。漫画しか読んだことない」


「漫画もあるわよ」


って言って漫画本を司書が机に置いた。


そうだ。思い出した。図書室の本を全部読んだら結婚する。結婚は冗談だったけど、本なんか大嫌いなのに、この日から少しずつ図書室の本読むようになったんだ。





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