第25話 作家は神

親切な俺は二人が同じレベルになるまで待ってやることにした。が、優秀な二人はあっというまにレベル5をクリアしてしまった。くそっ。連休の日に最終ステージに挑戦しようということになって、今日がその日だ。


「いよいよだね」

梨偉人が世界中のワクワクを集めて頭からかけたような顔をしてスマホをのぞき込んでくる。


「でも、最終ステージをクリアしたらどうなるのか何もメッセージがないわね」


「うん。見落としてるかもと思っていろんなこと見たけどないんだ。ただ、”信じられないことが起こる”ってだけ」


「もしかしたら、一瞬で世界中の本が読める能力が手に入るかも」


「一瞬で読めたらその後どうするの? 読むものなくなったら自分で書くの?」


「えっ、まさか。神の領域にまでは踏み込まないよ」


そう、読書が全てのこの世界では作家が神なんだ。宇宙のなんとかって星に神(作家たち)がいて、自分達に恩恵(本のこと)をもたらしてくれると信じられていて、みんなこの神とやらを崇拝してる。たしか俺のおふくろは死ぬ前に何冊か本を出したことがあるって聞いてたからこの世界では神だな。


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