第9話 講演会の後

「ねえ、なんで読んだ内容覚えてるか確認しないんだ? あれじゃ本当に読んだかどうかわからないでしょ」


講演の後、梨偉人に聞いてみた。女の喋り方にはまだ慣れなくてちょくちょく男言葉になる。


「えっ? なんで覚える必要があるの? 本に書いてあるのに。必要なら読めばいいんだよ」


うん? そう言われればそうだな。でも、それじゃテストはどうなるのかな?


この世界では当たり前のことを質問されて動揺されるけど、実は事故の後、無意識にパラレルワールドを行き来するようになり、記憶がまだらになっていると説明している。


本ばかり読んでるこの世界のやつらはこういう話を簡単に信じる。特にファンタジー好きの女子には超ウケる。この世界でも男だったらかなりモテたんだろうけど、今は女なのが残念過ぎる。


 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る