第16話 明けない夜

 ある所に、両親に虐待ばかりされている男の子が居ました。

 学校に行くことも許されず、毎日のように殴られる日々……。

 それでも、近所の人間はよその家庭のことだから仕方がないと、見て見ぬふりを続けていました。

 彼はずっと考えていました――いつか本当の親が来て自分を引き取ってくれて幸せになれると。彼の親は実の両親でありえないことでしたが、彼はそんな幻想にすがるしかありませんでした。

 それでも、彼は待ち続けました。自分を助けてくれる人を。幸せを。

 しかし、それは結局訪れませんでした。

 真冬の夜中に、両親は着の身着のままの彼を外に閉め出したのです。

 真冬の晩は冷たく、翌朝には彼自身も冷たくなって公園で見つかりました。

 彼の両親の所には警察が来て捕まり、近所でも話題になりました。

 その騒ぎを見ていたある人が言いました。


「明けない夜はないと言うが――明けるまで生きていられる保障はない。無責任な言葉もあったものだ……」

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