第14話 友達の家

「あの……ここにあった家は?」

「家? ここはずっと前から空き地だよ」


 当時、あの敷地の前で老人と会話したことを思い出す。

 あの時まだ、私は小学生だった。

 仲の良い友達が誕生日パーティーを開くのに呼ばれたので、プレゼントを用意してその日を心待ちにしていた。

 しかし当日、私は急な風邪によって熱を出して寝込んでしまった。

 当然、誕生日パーティーには参加できず、その友達の家に電話して詫びた。

 だが、その翌日からおかしくなった。

 学校に出て行くと、誰もその友達のことを覚えていなかったのだ。まるで最初から存在しなかったようだった。

 それどころか、その誕生日パーティーに参加した子まで存在自体が消えていた。誰に聞いても、そんな子は居なかったと言われた。

 私は酷く混乱した。熱はあったが、確かに昨日電話で話したはずだった。

 学校が終わると、すぐにその友達の家に向かった。

 その家にあった場所は空き地となっていた。

 そして、通りすがりの老人に聞いたのだ。


 もし、私がその友達の家にあの日行っていたら――今でも、そう思うことがある。

 おそらく、他の子たちと同様、存在自体が消えていただろう。その後は……。

 両親にも問い詰めたが、そんな子たちは知らないの一点張りだった。

 それでも、友達に贈るはずだった誕生日プレゼントは今も押し入れの奥にしまわれている。

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