第7話 銀行強盗

「一度してみたかったんですよね」

 少年は悪気なさげにそう言った。

 少年は銀行強盗の罪で捕まり、取り調べ中だった。

 真昼間の銀行で大型の包丁を取り出し、銀行員に金を出せと言ったのだ。

「え? ……いえ、お金は特に欲しくなかったです」

 少年はそう言って頭をかいた。それは無邪気にさえ見えた。

 少年はこの辺りでは有名な進学校の生徒で、その中でも成績は優秀だった。素行も良く、周囲からは将来を嘱望されていた。

 そんな人間がどうして――誰もが疑問に思うことだった。


「父が言ったんです。今度のテストで良い点が取れたら、好きなことをしていいって」

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