第2話「深夜特急 第一巻」沢木耕太郎へ約400字の捧ぐ推薦文

 沢木耕太郎は26歳のときに、1900ドルを片手に、インドのデリーからロンドンまで陸路で横断しようと旅に出る。乗り合いバスに乗りながら。私は、乗り合いバスという言葉にとらわれた。

 「深夜特急」の世界の旅、1970年代、一ドルあれば一日が過ごせる旅、リュック一つで、そのシンプルさに心が踊った。

わたしは20代で旅に出た。初めて乗った乗り合いバスは、インド、ネパールの国境越え。鳥籠を持った人が乗ってきたときには、大丈夫なのかと考えた。着いたら、ホテルの客引きに囲まれた。一番、話さないおじさんの宿を選び、ご飯が美味だった。安堵感とあの味は忘れやしない。

そんな旅の入口は、まさしくこの「深夜特急」という一冊の本である。一筋縄でいかないけど、素晴らしい景色をたくさん見せてくれた。若い時分にこの本に出会えたのも嬉しいし、四十路になった今、読み返しても追憶の旅がいくらでも出来る。ああ、旅がしたくなった。

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