第98話 マーマン
以前ヤドカリと戦った砂浜には、以前来た時には全く居なかった海パンを履いた半魚人又はマーマンと呼ばれるモンスター達が
海パン履いてるなぁ。やっぱり森の中のモンスターが海パンを履いているのなら、海辺のモンスターは当たり前に履いているよね。
「半魚人って少し気持ち悪いよね」
「まあ半分人間とは言っても、上半身の形が人間なだけで、ほとんど魚よりだからね。それにしても魚よりの半魚人でトライデントを持っているなんて、某ドラゴンのクエストに出てくるグレイトな奴を意識してるとしか思えないよね」
マーマンの群れは見た感じ、5匹単位で作られてるようだから、多分倒すのは簡単だよね。ただこの群れと戦っている時にほかの群れも襲ってくるとなると、少し厳しいものになるかな……まあ一体一体の実力はゴブリンに毛が生えた程度だと思うから、まあ何とかなるよね。もしあのヤドカリクラスの実力だったら、ボコボコにされる未来が容易に見えるけど、流石にそこまで運営もアホじゃないだろうから大丈夫だよね。信じてるよ運営さん。
◇◇◇◇◇
「ハックション!」
「鈴木さん風邪引いたなら、移さないでくださいよ。まだまだ仕事が残っているんですから」
「くしゃみして一番最初に返ってくる言葉が心配の言葉じゃないなんて辛辣だな。それに心配の原因が仕事なんて……どんだけウチはブラックなんだ」
「自覚があるのならどうにかしてください」
「金があれば出来る。金があればな」
「はぁ、NLOは滅茶苦茶売れてるのにどうしてなんでしょうね」
「そりゃあVR世界を維持するのに莫大なお金が必要だからな」
そんな会話が行われていたことをプレイヤー達は知る由もない。
◇◇◇◇◇
「それじゃあ、近くに居る群れを攻撃してみようか。それでほかの群れも襲って来るようだったら、少しずつ後退して作戦を考え直すでいい?」
「私としては突っ込むのは賛成だけど、ほかの群れが襲ってきたら返り討ちにするでもいいと思うんだけどなぁ」
「みんながみんな、サキみたいに
ただでさえうちのクランは人が少ないから、ほかのクランに比べてポイントを稼ぐ力が弱いんだよね。だから主力の私たちがデスペナルティを食らったら、その時間の間、うちのクランで稼ぐポイントが無くなっちゃうのは流石に痛いか。でも戦って勝てばいいと思うんだけど……これを言ったら怒られちゃうかな。
「何考えているのか知らないけど、勝てばいいなんて楽観的な考えはしてないよね」
リーブちゃん!凄く怖い顔してるよ!?女の子がしてたらダメな顔だよ!!後ろに頼光が立っている……いや、リーブ自身が鬼に見えるよ!!
ふぅ、茶番はここまでにしてちゃんと作戦を考えないとなぁ。まあ私たち二人で現実的に相手できる人数は大体……20体くらいかな?だから4つの群れまでなら大丈夫だから、端っこから殲滅するのが最適かな。
私は自分の考えをリーブに話してみた。そしたらリーブも賛成してくれて、私の作戦でマーマンの群れを討伐することにした。
「じゃあ行くよ。手前の群れに攻撃仕掛けるから、リーブも着いてきて」
「分かったよ」
私たちは1番近いところに居る群れに狙いを定めて、攻撃を仕掛けた。私は単純に首だけを狙って一撃で倒し、リーブは蛇腹刀をうねらせながら、振り回してマーマンに多くの傷を付けて累積ダメージで倒していった。
今回のマーマンたちの習性は私たちにとっては都合の良い習性だった。彼らはほかの群れを攻撃している時、漁夫の利を狙って攻撃してくるようなことがなかったから、群れを1つずつ潰していけば、いつか全滅させられるだろうね。
ただ奥の方に見える群れにほかのマーマンたちと違って杖を持って、ウェットスーツを着ているようなマーマンも居たから、森と同じで奥に行けば行くほどモンスターが強くなるんだろうね。
「今回もボスはいるのかねぇ」
「まあ居るだろうね。違う点と言ったら、森には色々な海パンやウェットスーツを来たモンスターが居たけど、ここにはマーマンだけしか居ないから、ボスはマーマンの超強化個体みたいなのが出て来るだろうね」
「白鯨みたいなのより、人型のほうが戦いやすくてありがたいよね」
私の剣術は基本的に人対人を想定して作られた流派なため、相手が人の方がやりやすいのだ。ただ春風流を一気に大きくした龍之介って人は、単身で要塞に乗り込んだって言う逸話を持っているから、春風流の真価は一対多数なんだろうね。今の私だと自分と同じ実力、もしくは少し下くらいの相手が複数になると全く通用しなくなっちゃうから、そこは克服したいよね。
「じゃあボスが人間サイズであることを願いながら、どんどん進もうか」
「そうだね。蛇腹刀だと大きい相手にはあまり効果が無いから、人型であることを願っているよ」
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