第35話 カイVSサキ2
「【春風十三連撃】九撃・麒麟輪天」
「深淵魔法【邪天龍刃】」
サキの攻撃は空中から体を回転させながら刀を振り下ろしているため、カイに降りかかる負荷は倍以上になる。
それに対してカイは刀に特殊な付与を使って受け止めているため彼自身が感じている負荷は少なかった。
「私はここまで誰に対しても全力で戦って来たつもりでいた。でも貴方が私をここまで本気にさせてくれた!だから嬉しかった。だから私は今まで使ったことは無かった春風の秘技を使ってるのに貴方を倒せない!だから久しぶりに楽しくて仕方ないよ!」
「そうか、それは良かった。だが俺はお前を楽しませることはできなさそうだ」
「どうして?」
「それはなぁ!俺がお前をここで倒すからだ!深淵魔法【邪天龍牢】」
ぶつかり合っている刀は火花を散らしながら、どちらも引かずにぶつかり合ったままだった。その停滞した時間の流れを変えたのはカイの魔法だった。
カイの刀から纏っていた龍の牙の様な刃が蛇の如くうねりだし、やがてサキの酒乱之刀に巻き付いていった。
「っ!?そんなことも出来るの!」
「これで終わりだな。深淵魔法【呪縛引力】」
蛇のようになった龍の牙のような刃がどんどんと枝分かれしていきサキの体を絡めとった。
「そっかぁ私も負けたく無かったんだけどなぁ」
「もうこれで動けないだろ。これでも俺は武人だから身動きが出来ない相手に攻撃はしたくないが、仕方ないだろ。この世界で動けなくなるのは自分の責任だからな。では深淵魔法【堕天】」
カイは右腕に闇を纏わせて、身動きのとれないサキのお腹へとぶっ刺した。
「(っ!?魔力が吸われているの!?)はぁはぁそんな技を使ったら時点で武人ではないんじゃない?」
「そうかもな。だがなぁ、負けるのは武人としての自分を失うよりも嫌なんだよ」
「闘気!!」
龍の牙のような刃に少しすつヒビが入り、やがて粉々に壊れた。
「クソッ!やり切れなかった」
「私はもう武人としての威厳は全て捨て勝つことだけを狙わせてもらう!」
「そうか……やっと本気のお前を見れるのか」
「【春風十三連】十撃・龍刃餓狼」
サキがカイから少し離れると体勢を一気に低くすると刀を口に咥えた。サキは走り出す瞬間に両手を地面に付き、一気に加速しながら刀を横に薙ぎ払った。
この技は虎狩りより速く刀を振るうスピードが速い。スピードに乗った刃は斬れ味が増している。
「速えなぁ、どんどん速さが増してやがるなぁ。深淵魔法【堕天】」
カイは闇を腕に纏わせてサキの刀を受け止めていた。
「【春風十三連撃】十一撃・月輪逆半」
サキは刀を引いて、下へと持っていき刃を上に向けて一気に振り上げた。三日月地と違うところは、柔道の背負投げの要領を使って行っているところだ。体に捻りを加えながら刀を振るうことで、三日月地より硬いものを切ることが出来るようになる。
「くそっ!!深淵魔法解除!闇化!!」
カイは深淵魔法を解除してまで発動した魔法は、クレハが持つ【炎化】と同じで体をその魔法そのものに変化させる魔法で、物理攻撃が無効になるものだ。
「物理が効かなくなるのか。でも、私にはこれがある。【炎聖】!!」
「知ってるさ。俺は闇魔法が一番な訳ではないからな。【堕天】」
カイはいつも両腕に纏わせてる深淵魔法を刀で切られた所からどんどんと纏わせていくことで、炎聖を吸収しているため、ダメージを一切受けていなかった。
「そんな器用なことが出来るなんて!?」
「俺は成長し続ける!人の成長はいくつになっても止まらない。唯一止まる時は人が諦めた時だ!堕天一刀」
「なら私も成長すれば、貴方との差は生まれない!【春風十三連撃】十二撃・神之身技」
サキは刀を今までの数倍速く振るうことで残像を見せて、カイの視界の邪魔をした。
その錯乱能力により、サキの刀は何度かカイの身体に傷を付けていた。
「クソッ、どれだけ速くなるんだよ。だが身体に限界が来てるだろ」
「そうだよ私の体はもう限界、今は気力で立っているような物。でもね、私は聖女なんだよ」
「クソッ間に合わねえ、深淵魔法【堕天相対欠如】」
「
サキはカイが深淵魔法を発動し終える前に神聖魔法を発動出来した。神聖魔法の力によって彼女は、【春風十三連撃】の代償で断裂を引き起こした全身の筋肉を治した。
「私はこの世界でしかこの技を完成出来ない。だからこの世界で存分に使うことで、完璧では無いものの私達の始祖である春風十兵衛の業を継承したと言える!【春風十三連撃】終撃・鬼の十兵衛」
サキは上へと跳ぶと、そのまま位置エネルギーの力を乗せて横に刀を薙ぎ払った。その斬撃をカイは避けたが、彼女は地面に着いたと同時に体を前のめりにして勢いよく上から下へと刀を振り下ろした。それもギリギリのところでカイは体を後ろに反らしたことで掠っただけで済んだが、サキの攻撃はまだ終わっていなかった。
サキは刀を勢いよく下へと振り下ろした瞬間、燕返しの要領でバク宙をしながら刀を振り上げた。カイはそれを避けられずに顔に縦の切れ傷が出来ていた。
「クソッ!!」
サキは集中しているのか、カイの言葉に反応しなかった。
彼女はバク宙後、地面に足が着いた瞬間に地面を勢いよく蹴り、鋭い突きをしようとしていた。
「(それを受ける訳にはいかねぇ!)闘気!!」
カイは腕に闘気を纏わせて受けようとしたが、サキがワンテンポ刀を遅らせたことで、刀の突きを闘気を纏っていない脚に打ち込まれた。
「っ!!」
サキは刺さった刀を素早く引き抜くと後ろに下がって空中へと飛んだ。そして体を回転させながら勢いよく刀を脚を痛め動けないカイへと振り下ろした。
「殺られる訳には行かねえんだよ!!」
カイは右腕に今までで一番の硬度と威力を持つ闘気を纏わせてサキの刀にぶつけた。
「はあはあ、俺はまだ立っているぜ」
「私はもう限界みたいですね」
カイは右腕と右半身を失っていた。
サキは装備の回復量上昇によって魔法の効果が上がっているが、春風最強の業による体への負担が酷いため、体は回復するより先に限界が来てしまった。
「俺の手で終わらせてやるよ」
カイは左手に刀を持って膝を地面に付けているサキの近くへと寄っていった。
「貴方は言ったよね。成長は諦めない限りは続くと、だから私は諦めないよ。龍聖拳・炎」
サキは最後の業で刀が限界を迎えていたため闘気と炎聖を纏った拳でカイの刀を殴り、粉砕した。
「しぶとい奴だな」
「私は諦めないが悪いからね」
そう言ったサキは立ち上がり喧嘩の構えをした。それに応じてカイも構えた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
ここからはあとがきです。
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