第21話 本戦3

 電光掲示板に出た名前はカイvs.アーク

 アークとは、サタンやラファエルがいた予選第六試合を勝ち残った実力者だ。


「カイさんですか……なら俺棄権します」


「な、な、なんと!本選で初の棄権者が出ました!なぜ棄権したのでしょうか!?」


「カイさんには勝てるわけないからな。だからカイさんに挑む気にはなれない」


「ゴッホン、じゃあ本選第五試合の抽選を始めるよ。第五試合の出場者はこいつらだぁぁぁぁ!」


 電光掲示板に出た名前はギウスvs.ペテル

 ペテルはプレイヤーをキルしまくっていたサキの猛攻から生き残ったプレイヤーである。

 そしてギウスはカイがいた予選第一試合にて生き残った堅実なプレイをするプレイヤーだ。


「ペテルですか………」


「ギウスですか………」


「「どうしてペテルギウスなんだぁぁ!」」


 二人の容姿と動きは瓜二つだった。そして二人の言動はどうも演技に思えた。

 「スゲーそっくり!」「双子じゃね?」と会場の反応は二人の容姿への反応が殆どだった。


「そうだ!」


「俺たちは」


「「双子だ!」」


「「「スゲェェェェェー!」」」


 二人の息のあった言動にプレイヤー達が驚いた。


「そろそろ」


「やるか!」


「「どちらが本物のペテルギウスか決めよう!」」


 ペテルは魔法の詠唱を始めた。

 ギウスは手にメリケンサックを装着した。


「「「いやプレイスタイル正反対ぃぃぃぃぃ!そして本物のペテルギウスってなんだよぉぉぉぉぉ!」」」


「雷電」


 ペテルは軽い身のこなしでギウスから距離を取りながら、ギウスへと雷の中級魔法を放った。

 それに対してギウスは、


「おい!兄貴逃げんなぁぁぁ!」


 魔法を器用に避けながら追いかけていた。


「「「二人ともスゲェェェェェー!」」」


 ほとんどのプレイヤーは驚いていたが、一部のプレイヤーたちは、機敏に動きながら魔法を発動しているペテルを興味深そうに見ていた。


「なにあれ?何であんな動きかたで詠唱できんの!?」


 クレハもその一人だった。自分のキャラを崩さないために小声でだ。

 しかし近くに居たプレイヤーの耳には届いてしまった。


「あら、クレハさんは出来ないのですか?」


「えぇぇぇ!かぐやさん何でいるんですか!えーとで、で、出来るに決まってるじゃない!」


「クレハさんキャラが崩れていますよ」


 かぐやは笑顔でクレハに指摘した。


「出来るに決まってるさ」


「もう遅いですよ」


「ンー!///」


 クレハはキャラ作りがバレた恥ずかしさから、赤くなった顔を俯かせて足をバタバタさせた。


「///」


 クレハの可愛いらしい行動を見たかぐやは頬を赤らめた。





 2人は百合だった。






――舞台――


「兄貴正々堂々殺ろうぜ!」


「おいギウスよ、魔法職に対して近接戦は正々堂々ではないだろ」


「別にいいだろ!兄貴なんだから」


「『兄貴だから』って、双子で同じ日に生まれてるから関係ないだろ」


「隙ありぃぃ!」


「どこが正々堂々だぁぁぁ!」


 ギウスは会話をする間に出来た隙を突くように拳で数百回も殴ろうとした。しかしペテルは魔法職にも関わらず、すべてを軽くいなしていた。


「避けるなぁぁぁ!」


「それは無理だろ」


 そしてペテルは攻撃をいなしながら詠唱を始めた。


「雷人」


 ペテルの使った魔法は、雷魔法のうちの一つで、身体能力を強化する魔法を使った。

 雷人を使われたの動きは見るからに良くなった。


「どうして俺に使ったぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」


「そりゃあハンデだろ」


「そんなの要らねぇぇぇよぉぉぉぉ!」


「昔からお前は俺を追っかけてきたよなぁ。ボクシングだって俺が始めてからやり始めたし、サッカーだって空手だって、そしてNewLifeOnlineだって俺が最初に始めたもんなぁ。だけど全部俺の方が上手かった。だから今度こそって気持ちでこの戦いを挑んだだよなぁ」


「やめろぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」


「でもいつも圧勝しちゃうから、俺はつまらないんだよ。だからさ俺の付与魔法を受け止めてくれよ」


「俺は俺の力だけで勝つ!」


「意気がるなよ、一度たりとも勝ったことがないお前が俺に勝つだぁぁ!?無理に決まってるだろ!そもそも俺は今までの戦いを受け入れる必要はないんだよ!たまたま姉弟だから受け入れているだけだからなぁぁ!今のお前じゃあつまらねぇんだよ。そもそも兄貴、兄貴って俺は……女だぁぁぁぁぁぁぁ!女の俺に負けるのが嫌だからって兄貴と呼ぶなぁぁぁ!」


「おい女だってよ」「気づかなかった」「あぁ」


 ペテルは他の人からは少し背の低いイケメンにしか見えなかった。


「やめろぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」


 ギウスの脳内にある言葉が流れた。



『称号嫉妬を持つ者の一定以上の怒りを感知しました。よって称号嫉妬が進化します』




『称号【嫉妬】は称号【嫉妬之王レヴィアタン】に進化した』




『称号【嫉妬之王レヴィアタン】を獲得しましたので、強制的に超級職業を獲得します』




『称号【超越者】を獲得した』




『職業が嫉妬之王レヴィアタンになりました』




『スキル【嫉妬之覚醒】を獲得した』



「やっと俺と対等になったか………」


「嫉妬之覚醒!」


「ふぅ、俺いや私も本気をだすとしようじゃないか!アーツ忍耐」


「な、な、なんと!本イベント二人目の超級職業の獲得者が現れたぁぁ!」


「妬み嫉みの一撃レヴィアタンブレイク!」


雷龍サンダードラゴン!」


 二人の強力な一撃がぶつかり合い周りに衝撃波が産まれた。

 衝撃波によって舞った砂塵が晴れた後、舞台に立っていたのは……






  ボロボロのペテルだった。


「よくやったなギウス。初めて私をここまで追い詰めた。でも相性が悪かったな、私の忍耐は一度だけどんな攻撃でも耐えられるからな。次こそは私を倒してみろよ」


「な、な、なんとぉぉぉ!中級職の雷魔法使いで超級職に勝ったぁぁぁぁぁぁ!」



「すごいなぁー」


 客席でクレハはキラキラした目で二人の試合を見ていた。


「もう隠す気ゼロですね」


「あ、や、やるな///」


「別に隠さなくていいのに」


「でもちゃんとしないと私についてきてくれないし」


 クレハは人差し指同士でツンツンしていた。


「ぐはっ」


「え、どうしたのかぐやさん!」


「だ、大丈夫ちょっと昇天しただけだから」


「だめだよ!」


 クレハは腕をバタバタさせながら言った。


「ぐはっ」


 バタバタしているクレハを見てかぐやは更に血を吐いた。


「え、どうして?」


「クレハちゃん絶対今の方が人は着いてきてくれるよ」


「どうして?」


「ブハッ!?」


 クレハが首をこてんと横にしただけでかぐやは今までで一番勢いよく倒れた。


「どうしてぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇえ!」



 やっぱり百合だった






「第六試合の抽選を始めるよ!第六試合の出場者はこいつらだぁぁぁぁ!」


 電光掲示板に出た名前は


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

ここからはあとがきです。


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