第20話 本戦2

 電光掲示板に出た名前はかぐやvs.シリウス

 シリウスとは百地と服部の戦いが行われていた予選を生き残った弓を持つ女性プレイヤーだ。


「あなたがかぐやですか……」


「そうですがなにか?」


「やっぱり姫プで本選に出場したから貧弱そうですね」


「まあ姫プみたいになっていましたけど、それで実力がないと判断するのは早計じゃないでしょうか?」


 予選で行われていた月のカグヤ教の信者たちによる命を捧げている行為は信者たちの独断であり、彼女は頼まれたからやっていただけだ。そのためシリウスの主張は間違っているのだが、傍から見たら姫プに見えるのは仕方の無いことだ。


「姫プなのは認めるんですね」


「実際には違うのですが、そう思ってもらっても構わないですよ。だってこの戦いで実力を見せつければいいのですから」


「では覚悟しておいてください。私は手加減できないので」


「構いませんよ」


 試合が始まる前から熾烈な女の舌戦は始まっていた。



「試合開始!」




「風のウィンドアロー


 シリウスはメインの武器である弓を使わずに、小手調べとして風魔法の矢を射った。


「氷のアイスウォール


 向かって来る風の矢に対しかぐやは、風魔法と水魔法の複合魔法である氷魔法の氷のアイスウォールで受け止めた。


「ある程度の実力はあるみたいだけど、本選レベルの実力ではないかな?」


 あからさまな挑発をシリウスは言った。


「そんな挑発に乗る程若くないん――」


「風の破壊矢ウィンドブレイカー

 

  シリウスはかぐやが言葉を終える前に突然弓に矢を番え、その矢に風魔法を纏った。彼女が弦から手を離すと普通では超えることの出来ない銃よりも速い速度で飛んで行った。


「うーん?そんなんで私を倒すことはできませんよ。」


 かぐやは初めて二本の鉄扇を構えて魔法を発動した。和服に鉄扇を構える彼女の姿は、日本に古くから伝わる大和撫子そのままだった。


氷之暴風アイスストーム


 かぐやは一つの鉄扇で小さい氷の粒を数百個作り出して、もう一つの鉄扇で氷の粒向かって風魔法の暴風ストームを放つことで、鋭利な氷の粒を突風と共に猛スピードでシリウスへとぶつけようとした。


「2つの属性を一度に使うダブルスペルだと!」


 魔法を同時に二つ発動するダブルスペルをかぐやが使ったことに驚いたシリウスは、防御魔法を唱えられずにかぐやの魔法をもろに食らってしまった。


「はぁはぁはぁ」


 シリウスの体力はかろうじて残ったが、どんな攻撃でも一撃受けるだけで負けてしまう程の体力しか残っていない。そのため残っている全てのMPを使って極大魔法を発動しようとした。




「何か強そうな魔法を使うのですかね?それなら受けて立ちますよ」


氷之竜宮城アイスドラゴンキャッスル


 彼女の魔法によって氷で出来た竜が生み出された。その竜は彼女の身体を覆うように身体を伏せた。


風神之一撃ゴッドウィンドブレイカー


 シリウスの後ろに風そのものが巨大な人形となり、その風神がかぐやへと殴りに行った。



「へぇー強そうな技ですね。でも私の技はここからですよ。氷竜之咆哮アイスドラゴンブレス


かぐやを守っている氷の竜は、口をシリウスの方に向けて開くと、口に純粋な魔力だけで作られた無属性のエネルギー弾を溜めると、シリウスへも発射した。

 かぐやの氷竜によるエネルギー弾とシリウスの風神の拳はぶつかった。その影響は周囲へと及んだ。エネルギー弾は風神の拳により辺りへ拡散して着弾し、舞台は段々と崩れていき、数秒もすれば二人が立っているところ以外の舞台は崩れていた。


「私の勝ちですね」


 そこには無傷のかぐやが立っていた。

 そして反対側にはボロボロのシリウスが立っていた。かぐやは魔力がまだまだ残っているのだが、シリウスにトドメは刺さなかった。


「どうしてトドメを指さなかった!」


「それは貴女を『月のカグヤ教』に勧誘したいからです!」


「入るわけないだろぉぉぉぉぉ!」


「勿体ない、なら死んでください」


かぐやは笑顔で氷魔法の氷の刃をシリウスへと飛ばしてトドメを刺した。


「「「怖っわ!」」」


 大多数のプレイヤーは笑顔でキルするかぐやに恐怖を抱いていた。


「本選第三試合突破者はかぐや選手だぁぁぁ!」


 かぐやへの恐怖感からいつものようにはいかず、プレイヤーたちは声を出さなかった。


『あれ?皆いつもと違うなぁー、まぁいいか。次の試合は誰でしょう?』


 かぐやは自分のせいでこうなったとは思っておらず、もう次の試合について考えていた。


「第四試合の抽選を始めるよ!第四試合の出場者はこいつらだぁぁぁぁ!」


電光掲示板に出た名前は


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

ここからはあとがきです。


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