第19話 本戦1
電光掲示板に出た名前はクリムゾンvs.サタン。
「なんと!ここでぶつかるのは、なんと!優勝候補の破壊のクリムゾンと狂犬のサタンの二人だぁぁぁ!」
「うぉぉぉぉ!」
「クリムゾンさんかぁ!戦っている所はみたことねぇが俺は全力でいくぜ!」
「受けてたつぞ!(あー、こういう暑苦しい奴は、めんどくさくて嫌いなんだよなぁ)」
「試合開始!」
「【狂化】!」
「(めんどくせぇ!なんで優勝候補との戦いが、初戦からなんだよ!しかたないのか)【覇拳】」
クリムゾンの両腕の拳は黒く染まり、黒いオーラを纏っていた。
そのオーラは狂化程殺気にまみれてはいないが、人を威圧する力を感じさせる物であった。
「いくぞ!」
それを見ても萎縮することなく サタンは、クリムゾン向かって走り出した。
「巨人之怒り《アースクエイク》」
体長が2m程ある巨体であるクリムゾンはその体躯を生かした攻撃で応戦した。
丸太ほど太い腕から放たれる拳は地面にぶつかり、舞台を大きく揺らした。不意の揺れにはサタンも反応することが出来ずに少し体勢が崩れた。
「
クリムゾンの右腕の黒いオーラが5m程まで大きくなった。
そのオーラによって具現化した巨大な腕にて、体勢が崩れて隙の産まれたサタンを殴った。
「な!?」
サタンはギリギリのところで腕をクロスしてその攻撃を受け止めようとしたが、その威力に舞台は耐え切れず、舞台は大きく抉れた。
「ふぅ、危なかったぜ!」
しかし地面は抉れたが、サタンはクリムゾンの強力な攻撃を多少のダメージのみで受け切った。
「耐えきったか(何で耐えるんだよ!タフすぎるだろ!)」
「これから俺の番だぜ!アーツ憤怒」
憤怒の力は強力だ。その効果は受けたダメージの量に比例して、相手に与えるダメージが上がるものだ。憤怒の言葉通り、怒りの感情もまた攻撃力の上昇に直結する。
「めんどくせぇ!」
「おっと!ここでクリムゾン選手の本音が聞こえたようだぁぁぁ!」
「もういい!取り繕うのはやめにしよう。アーツ怠惰」
クリムゾンも奥の手であるアーツを発動した。
アーツ怠惰はクエスト【堕落の悪魔】をクリアした者に送られる称号【怠惰】を持つ者が使えるアーツだ。
「お前も大罪持ちだとはなぁぁぁ!」
「それがどうした?」
「『それがどうした?』ってなんだ!どうして最初から使わなかった!」
「いやだって面倒くさいじゃん」
クリムゾンのその怠惰という言葉そのままの発言にサタンは更に燃え上がるような怒りに包まれた。
「何が面倒くさいだ!」
「え、普通にアーツ使うより、普通に殴った方が簡単だからに決まってるじゃん」
「えーと、あぁぁぁ!もう話す必要はない!その怠惰を改めさせてやる!」
正論を言われて頭が真っ白になったが、単純で短気な彼はクリムゾンの発言はシャットアウトして突っ走ることを選んだ。
「なら俺を倒してみろ(体育会系のやつとか一番めんどくせぇよ!)」
「いくぞ!」
サタンは右腕に憤怒の力を集中させた。
「えー、別に来なくていいんだけど」
「問答無用!」
サタンはクリムゾンに向かって殴ろうとしたが、クリムゾンは紙一重で避けた。
サタンは避けた先を殴ろうとしたが、これもまたクリムゾンは紙一重のところで避けた。
このやり取りが15回程度続いたところでサタンが痺れを切らした。
「避けるんじゃねぇぇぇぇ!」
「あー、いいよ次は受けてやるよ」
「ならこれで決めてやるよ!」
イライラしてたのもあってか、いつも以上の威力でクリムゾンのことを殴り付けた。
「アーツ怠惰」
「
クリムゾンは黒いオーラで出来た右腕を5m程まで大きくして、サタンの拳向かって殴り付けた。
ぶつかりあった二人の拳だったが、クリムゾンの方が少しだけ押しているように見えた。
「くっ、クリムゾンよなぜさっきより威力が上がっている!」
「それは、俺のアーツのおかげだな」
「どうしてだ!」
「お前みたいなバカと違って話すわけないだろ?」
「あいつは、怒らせたな」と観客席にいたラファエルは言った。
サタンは単純で短気だが、本気でキレることはあまりない。しかし彼に言ってはいけない禁句がある。それは"馬鹿"という言葉だ。
「俺をバカと言ったなぁぁぁぁぁぁぁ!」
サタンの脳内にある言葉が聞こえた、
『称号憤怒を持つ者の一定以上の怒りを感知しました。よって称号 憤怒が進化します』
『称号【憤怒】は称号【
『称号【
『称号【超越者】を獲得した』
『職業が
『スキル【憤怒之覚醒】を獲得した』
「(なんだ?サタンの雰囲気が変わった?)」
「憤怒之覚醒」
「なんだそれ?」
「な、な、なんと!怒り狂ったサタン選手が超級職業を獲得したぁぁぁぁ!」
「「「うぉぉぉぉ!」」」
実況のシュカイの言葉に会場に居るサキを除いた全てのプレイヤーが沸いた。
「(マジかよ、さらにめんどくさくなったじゃねえかよ……)」
「お前は格闘家として風上にも置けない!」
「いやそもそも俺格闘家じゃねえし」
「なら死ねぇぇ」
「口悪いなぁ(いやでも勝てる気がしねぇな、まだ怠惰の力が残っていたのなら勝てたのかもしれないが、もう無理だな)」
「これで終わりだぁ!
今までとは比べ物にはならない力でクリムゾン目掛けて拳を放った。
「チッ、
勝ち目がないと思っているクリムゾンだが、無抵抗のまま殺られるのは男としてプライドが許さないため、今出せる自分の全力の力で対抗した。
二人の強力な一撃はぶつかり合い、強力な衝撃波を生み出した。衝撃波によって巻き上げられた砂塵により、舞台上に居る二人の姿は見えなくなっていた。
「2人の攻撃は強力過ぎます!!どちらの選手が立っているのでしょうか!?」
数秒の時を経て衝撃波によって生まれた砂煙が晴れ、舞台に立っていたのは、傷だらけだが足元はしっかりしているサタンだった。
「この接戦を制したのは超級職業に目覚めたサタン選手だぁぁぁ!」
「「「うぉぉぉぉ!」」」
「第三試合の抽選を始めるよ。第三試合の出場者はこいつらだぁぁぁぁ!」
電光掲示板に出た名前は
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
ここからはあとがきです。
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