第18話 本戦開始

「これにて全ての予選が終わりましたぁぁ!」


「「「「うぉぉぉぉ!」」」」


 コロッセオにて試合を見ていたプレイヤーたちが一斉に声を張り上げた。


「本選は1on1で、トーナメント方式だよ」


 シュカイは久しぶりのぶりっ子っぷりを発揮した。久しぶりだったこともあり、男性プレイヤーは彼女の媚びるような姿勢に声を上げた。


「「「「「うぉぉぉぉ!」」」」」


うわぁ男の人って単純だなぁ、でも強い人ばっかりだったなぁ。勝てるかなぁ?でも咲良に自慢するために勝たないと!


 そんな男たちの姿を見てサキは軽蔑までとはいかぬものの、少し引いていた。

 男の反応が粗方終わると、シュカイがルール説明を始めた。


「じゃあ本選のルール説明をするよ! まず初めに基本的なルールは予選と同じだよ。そして、追加ルールがひとつあるよ。それは、会場に設置された舞台から出た場合も負けだよ」




「では第一試合の抽選を始めるよ!ちなみに対戦相手は、ランダムで決まるよ!第一試合の出場者はこいつらだぁぁぁぁ!」


 空に浮かぶ電光掲示板に出た名前はサキvs.クルト。

 ちなみにサキの対戦相手であるクルトは、月のカグヤ教の信者であり、第五試合で勝ち残ったプレイヤーである。


「よぉ無名の選手さんよぉ。この光のクルト様には勝てねぇよ。恥ずかしいおもいをしたくなかったら、ギブアップでもしな」


「光魔法?あー白魔法の上位スキルかぁ、でもさ私には勝てないんじゃないかな?」


「なんだと!」


「だって私神聖魔法持っているし」


「「「はぁぁぁぁ!」」」


 サキの言葉に目の前に居るクルトだけではなく、会場のプレイヤー達が驚きの声を上げた。

 それもそのはず、神聖魔法とは第三次スキルと呼ばれるかなりレアなスキルであり、まだ始まって少ししか経っていないこの世界にて、βプレイヤーですらないサキが持っていることに驚かざるを得ないのだ。


「なんと!第三次スキルを持つ選手がいたぁぁぁぁ!しかも彼女はまだ無名な選手だった!」


「「「うぉぉぉぉ!」」」


 え、そんなに驚くことかなぁ?


 しかし当の本人は神聖魔法がレアなスキルであることは知っているが、第三次スキルと呼ばれる現段階ではレアなスキルであることは知らず、それに彼女の情報源である咲良もかなりの猛者であるため、彼女の情報にはかなりの偏りがある。そのため彼女には会場のプレイヤーがどうして声を張り上げる程驚いているかが分からなかった。


「ど、ど、どうして無名のお前がそんなスキルを持っているんだ!」


「おいおい」


「マナー違反だろ」


「なんだよあいつ」


 人の情報を聞くのはマナー違反と暗黙の了解で決まっているこのゲームにて、情報を聞こうとしたクルトへと非難の声が上がっていた。


「うーんとねぇ、最初のスキル選択でランダムを選んだんだぁ!」


 マナー違反に対して笑顔で答えたサキへの会場の反応は三種類あった。


「「「「答えたぁぁぁぁぁ!」」」」


「「「「そして可愛いぃぃぃぃぃぃ!」」」」


「「「「てかランダムだとぉぉぉぉ!」」」」


 1つはマナー違反に対してしっかりと答えた彼女への驚きの声。2つ目は彼女が浮かべた笑みへの男性たちの野太い声。最後はランダムという運ゲーをしたサキへの驚きの声だ。

 ちなみに彼女の笑みへの男性たちの野太い声に負けず劣らず女性たちからの黄色い悲鳴も響き渡っていた。


「お、お、おいなんでランダムを選んでやがる!」


「えっ、だってそっちの方が面白くない?」


「え、でもそれじゃあ戦えない可能性もあるだろ!」


「えっ、普通にスキル無しでも刀で戦えるよ?」


「は、はぁぁぁぁっ!?無理に決まってるだろ!普通に剣道やっていた人でもスキル無ければラビット相手にも負けるんだぞ!」


「私剣道なんかやってないよ」


「じゃあなんで戦えるんだよ!」


「私がとある道場の師範をやっているからじゃない?」


 『え、春風流使ってたよねあの子……春風流師範って言ったらあの最強と呼ばれた、春風美咲なんじゃ?』サキの言葉を聞いた不死鳥のクレハはサキの存在に対して頭をフル回転させていた。

 クレハに自分の身元がバレたことなど露知らず、サキはクルトとの戦闘を始めようとした。


「そろそろ始めないの?」


「い、い、言われなくてもやるよ!」


 クルトは腰から西洋の剣を抜くと、スキル補正による直線的な動きでサキに斬りかかった。


「うーん?そんなんで自分のことを強いと思ってるの?」


「なんだと!」


クルトは顔を赤くし(恥ずかしくてではなく、怒りで)、剣をサキへと振り下ろした。


「なーんだ、拍子抜けだね。春風流逆三日月」


 サキは刀を下から上に向けて振り上げ、振りかぶってきたクルトの剣を舞台の外に弾き飛ばした。

 近接武器を失ったクルトは、魔法中心の戦略に変えるためにサキと距離をとった。


「くそっ!だが俺は剣だけじゃねえ!光之槍ライトアロー


 サキとの距離を空けたクルトは左手に魔力を集め、光の槍を創り出し、サキへと放った。


「魔法に頼ったらダメだよ。まぁ私の魔法を見せるよ。炎聖」


 それに対してサキは、刀に聖なる炎を纏わせた。


「見せてあげるよ、私の奥義。【闇をも切り裂く神の一撃】春風流奥義月読命ツクヨミノミコト!」


 刀に纏っていた聖なる炎は酒呑童子戦の時よりも火力が増し、炎が放つ光はより明るくなっていた。そしてその刃は酒呑童子戦よりも鋭く速い一撃だった。


「なに!?だが刀に纏った程度では俺には触れられない!」


「それは、どうかな?」


 そう言ったサキは刀から斬撃を飛ばした。その斬撃はクルトの魔法を打ち消しながらクルト目掛けて飛んでいった。


「なにぃ!うわぁぁぁ」


 クルトは斬撃によって舞台の外へと吹き飛ばされるよりも前に斬撃のダメージによって体力が全てなくなり、舞台から消え去った。


「な、な、なんと勝者はサキ!」


「「「うぉぉぉぉ!」」」


「最前線プレイヤーの光のクルトを倒したのは、まだファスターに居るプレイヤー、サキだった!これは大番狂わせだぁぁぁぁ!彼女のこれからの行動には興味深いですね!」


 うーん?そんなすごい人だったんだぁ。でもあの不死鳥のクレハって人の方が強かったけどなぁ。




「第二試合の抽選を始めるよ。」


 次は誰の試合だろう?まあ知らない人の方が多い気もするけどね。


「第二試合の出場者はこいつらだぁぁぁぁ!」


 電光掲示板に出た名前は


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

ここからはあとがきです。


応援や評価をして頂けると創作意欲に繋がりますので時間があればお願いします。


フォローや感想もして頂けると嬉しいです

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る