閑話 運営

 とあるオフィスで、NewLifeOnlineの運営たちは正規サービスの開始を見守っていた。


「ふぅー、いろいろあったが正規サービスを始められたな」


「鈴木さんが『最初のゲームだし1万人でいいだろ』なんて言うから、クレームが殺到したんじゃないですか」


「いやだって初めてのVRゲームがあそこまでバズるなんて思わないだろ」


「失礼します!」


「どうしたんだ、佐藤そんなに慌てて」


 佐藤と呼ばれた男は息を乱しながら、報告した。


「それが、メインAiでログを聞いていたのですが、称号 【規格外】を獲得する者が現れました」


「なに!」


「えっ?その称号って確か初期職業が上級職な人が取るのじゃなかったっけ?」


「話すより、メインAiで見て貰った方が速いです」






「そうか……いきなりランダムスキルを選ぶ者がいるとはなぁ」


「しかもランダムで神聖魔法が出るなんて凄い確率ですよね」


「あぁ、しかも神聖魔法を出したやつが、称号を獲得するほど礼儀正しいんだからな」


「いやぁ、凄い偶然ですよね」


「あっ、そのサキとかいうプレイヤーが称号【ギルドのマドンナのお気に入り】を獲得していますよ」


「あー、その称号かぁ、最初のうちはあまり役にたたないが、後々に凄い情報を渡す可能性もあるからな……まあそこまで運は良くねぇだろ」


「まぁ、少しくらいは許容範囲でしょう」


 運営の1人である女性は鈴木の言葉でフラグが立っていないことを願っていた。


――2日後――


「ここまで事件ぽい事件はないな」


「あるとすれば中級職に到達する人が現れたぐらいですかねぇ」


「馬鹿みたいな時間やっている人だけだけどな」


「失礼します!」


「はぁ、またか今度はなんだ」


「エクストラクエストクリア者が現れました」


 女性の願い虚しく、フラグが回収されてしまった。


「どのクエストだ?ハイポーションのやつか?それともゴブリン村の討伐か?」


「それが、酒呑童子のやつです」


「はっ!?」


「えっ!?」


 佐藤の報告を聞いた鈴木と女性は驚きで声を出すことが出来なかった。


「いや、しかしなぁ……あのクエストは難易度7だぞ」


「しかも特殊ルートでクリアしたのですが……」


「は!特殊ルートって【酒呑童子に認めてもらう】だろ。今のプレイヤーのレベルじゃあ、不可能だろ。誰がクリアしたんだ?」


「称号 【規格外】を獲得したプレイヤーです」


「あぁそいつか……だがどうやって勝ったんだ」


「まずそのプレイヤーは酒呑童子に話しかけて、古代種や帝国のUMについて話していました」


「帝国のUMつったら古代青龍か?」


「ハイそうです。その後に二人は戦い少しの差で酒呑童子は勝ちましたが、プレイヤーを認めて、テイムされました」


「そうか、え、テイムされたのか?」


「そうです。もともと戦いの始まりはプレイヤーが、『一緒に来ない?』って聞いたのから始まりました」


 敵モンスターである酒呑童子を仲間に勧誘するなど想定していなかったため、テイム不可の設定をしていなかった。もし魔法のテイムを使ったとしても酒呑童子はプレイヤーのテイムを弾く実力があるので、酒呑童子が受け入れなければ必ず失敗するという事実があったからだ。しかし酒呑童子は受け入れてしまった。


「そうか……思っていたより早いから他のプレイヤーが育ってない状態で初回イベントをしなきゃいけないが、過ぎてしまったことは仕方ない。おい、川嶋!」


「なんでしょうか?鈴木さん」


「初回イベントの1on1を始めるからメールを発布しとけ」


「わかりました」


 川島と呼ばれた女性はパソコンに向かうと全プレイヤーへのメッセージを送信した。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

ここからはあとがきです


これにて1章は終了です

次回からは【第1回イベント編】になります


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