第6話 日常編

「ふぅ、思っていた以上に楽しかったなー。……早く咲良とやりたいなぁ……そうだ咲良に電話しよ」


 美咲はNLOを自分に進めた張本人なのにも関わらず自分はやっていない咲良へと電話を掛けた。


『もしもしどうした美咲?』


「もしもし咲良ー!思っていた以上にNLOが楽しかったから、早くNLOを一緒にやりたいよー」


『お、ハマってるねー。一応聞くけど、どんなことしてきた?』


「えーとね、まずスキルはランダムでー、職業は聖女で、ホワイトラビットをテイムして、あとの時間は止めるまでポーション作ってたよ」


『いやいや!ちょっと待って!!ツッコミどころが多すぎるよ。……ふぅ、まずはなんでスキルをランダムにしたの?』


「え、だってそっちの方がロマンがあるじゃん」


『あ、そうだった。こいつ天然だったわ』


『美咲ー!風呂に入りなさーい』


「あっ、はーい!!ごめんお風呂に入らないといけないから切るね」


『わかった明日学校でね。またねー』


「また明日」



――学校――


「ねえ、美咲ー」


 咲良が放課後になった途端、私に抱き着いてきた。誰も居ないのを確認していたから、流石に咲良もそこら辺は配慮していると思うけど、もし見られて勘違いされたらどうするつもりなんだろう?別に私は他人にどう思われたって構わないけど、咲良は二条財閥次期総裁の立場があるから危険じゃないかなぁ。


「うわ、どうしたの咲良?」


「美咲の話聞いてたらゲームがしたくて堪らなくなっちゃったよぉー」


「はぁ、これだからゲーオタは……じゃあなんで私にゲーム渡したの?咲良がやり始める時に渡せば良かったじゃん」


「これでも、こういう系のゲームでチャンピオンになったことあるからハンデとしてだよ」


 咲良は凄くドヤ顔をしていた。流石にイラッとしたが、ゲーム機を貰っている以上文句は言えないのでスルーすることにした。


「そうだったんだ。でもいくら咲良相手でも負けるつもりはないよ」


「いや、もうなんか勝てる気がしないんだけど」


「いやでも、きっと大丈夫だよ」


「(あー、こいつ自分の凄さが分かってないな)そうだねー」


「なんで!棒読みなの!」


 もう酷いなぁ。ゲーム初心者の私が、重度のゲーオタである咲良に勝てるわけないのに。


「ごめんて、でも普通は初期職業が上級職なんてないから」


「そうなの?ランダム選んだら出てきそうだけど」


「そもそもね美咲、普通はランダムを選ばないの」


 えー、女は度胸って言葉を知らないのかな?


「そうなの?勇気ないなぁー」


「なんか変なことをかんがえてそうだから説明しておくけど、勇気とかじゃなくてこのゲームはリセットできないからスキルがダメだった時点で初動は終わりだからね」


「え、スキルなくても刀でモンスター倒せたよ」


「それは、あんたが春風流道場の7代目師範だからでしょ」


「あっ、それもそっか」


「だいぶ話が逸れてるけど……私たち何について話してたっけ?」


「それは、咲良がNLOをやりたいって話でしょ」


「あー!忘れてたぁー!どうしよ……うわーー!!禁断症状でそう!」


 うわぁー、やばいよ咲良それは流石にやばすぎるよ。でも咲良、NLO発売前のゲーム禁止令が出されるギリギリまでゲームやってなかったっけ?まあそれだけ重度のゲーオタってことかな。


「そもそも禁断症状ってなんだったっけ?」


「そりゃあ、勉強に手が付けられないようになることだよ」


「あー、でもさぁ今その症状になったらやばくない?」


「そうなんだよ、だから困ってるの!」


 なんかキャラ変わってない?そのくらい追い詰められているってことかな?




【6時を過ぎました校舎内にいる生徒はすぐに帰宅してください】


「あれもうそんな時間かぁ、帰ろっか咲良」


「うん、帰ろ」




「私の家ここだから。じゃあね」


「相変わらず大きいなぁー咲良の家は」


「いや、美咲の家も私の家ほどではないにしろ周りの家よりかは大きいでしょ?」


「まあうちは道場があるからね」


「そうだよ、勉強しなきゃ行けなかった!!じゃあね美咲!」


「バイバイ咲良」



――家――


 ふぅ、宿題も終わったことだしNLOでも始めるかなぁ。


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