第5話 生産

「どうやって作るんだろ?」


 ポーションを作る場所は聞いたけど、作り方は聞き忘れちゃった。もう一度ミスズさんの所に行って聞いてみよう。


「すみませんミスズさん、ポーションってどうやって作るんですか?」


「普通は教えてませんけど、サキさんには特別に教えますね。まずは薬草を潰します。その潰した薬草を初級セットにある釜に入れて、薬草が溶けるように火を付けてから、水に魔力を加えた魔力水を混ぜながら煮詰めます。そうすれば色が変わってきますから、そうしたら瓶に移して下さい」


 へー、普通は作り方までは教えてくれないんだ……これは称号の効果のおかげかな?


「ありがとうございます。薬草とかってどこで売っていますか?」


「薬草くらいならギルドでも売っていますよ」


「じゃあ買っておきます」


「わかりました。ちなみに分量や時間によって出来が変わっていくので、それは自分で試しながらやってみて下さい。そっちの方が楽しいですからね」




「ふぅ、まずはやってみよう」


「薬草を潰してー」


「薬草をー釜に入れてー、火をつけて」


「そこに魔力水を入れてー」


「おー、色が変わってきたから、火を止めてー、瓶に移せば完成!!」


 結構頑張ったけど、どんなのができたかな?


【聖女のポーション】

 体力100回復 品質D



 スキル 【薬師術】を獲得した


 あれ?もうスキル獲得しちゃった。絶対おかしいよね。だって1回しかやってないし……どうしてだろう?……規格外って称号持ってるの忘れてた。てへっ。


「よーし、もう一回やってみよう。今度はもうちょっと長めに薬草を煮詰めてみよう」


.


.


.


 色が変わってから数秒後に取り出すことによってポーションの完成品に変化が訪れた。


「お、色がさっきより明るい」


【聖女のポーション】

 体力200回復 品質B


「おー、さっきより品質が上がってる!」




2時間半後


「ふぅ、もう時間かぁ。でも結構できたから良かった!」


品質B×12


品質C×7


品質D×1


「品質Aができなかったのは残念だなー」


「すいませーん」


「はーい、サキさん今日は終わりですか?」


「はい。作ったポーションって売れたりしますか?」


「はい!売れますよ」


「じゃあ【聖女のポーション】の品質Bを売りたいです」


「え、もう品質Bができたんですか!少し見せて下さい……本当に出来てるじゃないですか!」


「え、普通じゃないんですか?」


「普通じゃありませんよ!普通は薬師協会の幹部ぐらいからしか基本的に作れません」


「まぁ出来ちゃったんだから気にしてもしょうがない、気にしなーい気にしなーい」


「まぁ、いいです。では何個売りますか?」


「じゃあ5個売ります」


「そしたら2万ラオです」


 2万ラオって刀が二十本も買えちゃうよ!?そんな高く買い取ってくれるなら定期的に作って、定期収入にしちゃおうかな。でも買った薬草の値段に対して高すぎやしないかな?


「どうしてそんなに高いんですか」


「さっきほど言った通り、品質B以上を作れる人は少ないので、めったにギルドに運びこまれません。そして品質B以上を作る薬師の大多数が所属している薬師協会は王都に直接卸してるので、こんな辺境の地には来ないです。しかしここは王都よりモンスターが多いので需要に対して供給が少な過ぎるから高価買取しています」


「ほへぇー、色々大変なんですね。それなら定期的に作って売りますね」


「いえいえ、また来てくれるだけでも嬉しいので、また来てください!」


「はい!」




「ミスズさんいい人だなー。あ、7時間も経ってる!でも現実だと……2時間20分しかたってないのかぁ。感覚を3倍に伸ばすってすごいなぁー。あっ、こんなことしてないで早くログアウトしないと」


【ログアウトしました】

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