(続き2)
私は何も言わずそれを受け取り
静かにうなずいた
踵を返してさっきいたところまで戻っているときに
「実験といっても、どんなことをするんだい?」
そう青木さんに尋ねられた
「そうですねぇ、この木の材質を顕微鏡で見たり、どのような条件下でどのような変化が起きるのか試すため、温度、湿度、場所、…」
言葉を連ねているところで気づいた、
あまりにも興奮しすぎて忘れていたが、実験器具がない
しまった、盲点だった
ここにきてからガラス製品はこの教会のステンドグラスくらいしか見ていない、ガラス製の器具は望めないか…
すると
「渡辺君ちょっと待って」
と声をかけられた
振り返ると青木さんが来た道を戻って、また倉庫へ向かっている
私も急いで戻っていくと
青木さんはしゃがんで床にある大きめの箱を開けていた
そこには
”たくさんの実験器具がそろっていた”
「えっ!?」
ちゃんと驚いた
グヮッ!と顔を箱に近づけながら私もしゃがんで箱の中をのぞいた
「試験管、温度計、ビーカー、力学台車、ばねばかりに顕微鏡!?」
理由はわからない、なぜここにこんなに高価なものが、それもこんなに!?
私は青木さんに顔を合わせる
青木さんは懐かしそうにそれらを見つめていたが、すぐにこちらを向いて微笑みながら大きく一回うなずいた
理解した、これは覚悟だ、もう始めるしかない
「魔法を科学してやるぞ!」
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