(続き1)

「青木さん、その魔法の杖ってこの家にもう一本ありますか?」

「?あぁ一本だけあるよ、何に使うんだい?」


「実験をします」


「…ほう、実験ねぇ」


そう言うと彼は腕を組み若干顔を上に向け、何か考え始めた

数秒後、決心したように首を一度縦に振り

「いいよ、ついてきて」

そういって教会の奥にある部屋に私を連れて行った

ふすまを通り、物置部屋のようなところにたどり着いた

そこには照明がなく、私たちが開けた扉から差し込む光以外に私たちの視界を保証してくれるものはなかった

青木さんはそこで真っすぐ、導かれるようにたくさんの箱の中から一つの細長い箱を持ち上げた


彼はそれを私に渡してこういった

「私の弟のものです、今は使っていないので、使ってもいいですよ」

その箱にはほこりがかぶっていた


青木さん弟がいたのか、私がここで目覚め時にあったベットは彼の弟さんのものだったのかもしれない


含みのある言い方をされた私は弟のことについて聞いてみようと思った


だがしなかった


ふすまから差し込む光に照らされた青木さんの表情が

なんだか、寂しいように、切ないように見えたから


古傷をえぐってしまうかもしれない

そう感じたから

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