(続き1)
「青木さん、その魔法の杖ってこの家にもう一本ありますか?」
「?あぁ一本だけあるよ、何に使うんだい?」
「実験をします」
「…ほう、実験ねぇ」
そう言うと彼は腕を組み若干顔を上に向け、何か考え始めた
数秒後、決心したように首を一度縦に振り
「いいよ、ついてきて」
そういって教会の奥にある部屋に私を連れて行った
ふすまを通り、物置部屋のようなところにたどり着いた
そこには照明がなく、私たちが開けた扉から差し込む光以外に私たちの視界を保証してくれるものはなかった
青木さんはそこで真っすぐ、導かれるようにたくさんの箱の中から一つの細長い箱を持ち上げた
彼はそれを私に渡してこういった
「私の弟のものです、今は使っていないので、使ってもいいですよ」
その箱にはほこりがかぶっていた
青木さん弟がいたのか、私がここで目覚め時にあったベットは彼の弟さんのものだったのかもしれない
含みのある言い方をされた私は弟のことについて聞いてみようと思った
だがしなかった
ふすまから差し込む光に照らされた青木さんの表情が
なんだか、寂しいように、切ないように見えたから
古傷をえぐってしまうかもしれない
そう感じたから
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます