知識と記録と新世代
気が付いたら教会にいた、
魔法によって起こされた風を受け呆気にとられしまった私は、その後の買い物中ドラクエの仲間のようにただ青木さんの後を魂を抜かれたかのように、意識なくついていくだけになってしまったらしい
その姿はさながらマリオネットの様であったろう…
「また熱中症になってしまったのかと思いましたよ」
青木さんが微笑みながら言う。
正直もうおなかいっぱいだった
元居た時代から二千年の時を飛び越え、おそらく文明が滅んだ町に、言葉も通じずに現れ、なぜかヨーロッパチックな街並みの中に漢字と、プラスチック、極めつけに魔法だと?もう意味が分からない
青木さんが出してくれた紅茶とクッキーをたしなみながら私はそんなことを考えていた
…魔法?そんな便利なものがあるのにプラスチックなんて物いるのか?
町のところどころ文明の名残を感じるのに、魔法に関してはあまり活発的ではないように思える、なぜだろうか
私は尋ねることにした
「青木さん、魔法について教えてくれませんか?」
「魔法ですか?この町だけに存在するというわけではないので、ご存じの通りといいますか、そこまで目新しい情報はないと思いますよ?」
「魔法は特定の木を乾燥させて細く削った杖を持って、出したいものを想像し、杖先に意識を向けると発動されます、それと……」
***
青木さんは魔法に関する情報を私に事細かく説明してくれた
まず、魔法は杖がないと発動できない、それに杖の材質は「シメテ」というリンゴの木のような木でないといけない。
(余談だが私はこの木の種類が分からなかった、専門分野ではないのであしからず…)
それを乾燥させて杖の完成だ、自然にも生えているがそれから作られる杖は粗悪品で、うまく魔法が動作しないらしい、交配させた選りすぐりがさっき行っていた市場などで取引されているからそれを購入するみたいだ
次に魔法はただじゃ出てくれない、出す代わりに必ず何かを消費しないといけない。
私に向かって魔法で風を起こしたときに青木さんは近くの岩に手を当てていた、あれは岩の「熱」を消費させて魔法を出したのだそう
そしてこれは実に汎用的であり、消費させるものは熱や運動、果ては脂肪まで対応しているらしい、とても便利に思えるがこの汎用的な設計のせいで消費量を大幅に超える魔術を使用してしまい、自身の熱や脂肪まで消費されて死んでしまう人もいるのだとか
そして最後。魔法といえど無から有を生み出すことはできないという、
水が欲しくても魔法で水を生み出すことはできない
(その時の感覚は虚無をたたいた感触と似ているという)
このような性質であるため、一見役に立ちそうなのにほとんど実用化されていないとのことだった
この一連の流れを聞いて私にはふと思ったことがある
これエネルギーの変換が起きている
義務教育を終えているものであれば聞いたことがあるであろう、またはあの星形の図を見たことがある人もいるかもしれない
さらっと概要だけ言ってしまえば、世の中のエネルギーはすべてつながっているってことだ
発電機はモーターを回し電気エネルギーを得ている
これは運動から電気にエネルギーが変換されているというわけだ
さらにその発電機のモーターを動かすために水を沸かしたりしているので
熱エネルギーから運動エネルギーへ、エネルギーが変換されたとも考えられる
このようにエネルギーは推移する
おそらく青木さんが触れていた岩の表面は彼が触っていたところだけ冷たくなっていたはずだ、彼の風を出すイメージが杖先から熱を発生させ気流を起こし風を起こしたそう仮説を立てることもできる
エネルギーは保存されるため無からエネルギーは生まれない
と行き過ぎた考察をいくら考えたところで机上の空論に過ぎない
ここまで考えたのならば、あとすることはたった一つ
”実験をしよう!!”
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