(続き4)
彼は自身の名を名乗り、右手を胸に添えながら軽くお辞儀をした
「渡辺佑一郎です」
「佑一郎君ね…、じゃあそこで準備をしてて、すぐに用意を済ませてくるよ」
彼はそう言うと階段を上がる
私はその間に靴を履くことにした
一分ほどで彼は上から降りてきた、手にはきめが細かい袋を持っている
彼はそのまま玄関に行き、靴を履き、ドアを開けた
「さぁ行こうか」
開いた扉から差し込める太陽の光は私の目をくらませる
一拍おかれた視界の先には
木とモルタルが合わさった建築物の連続、
まさに西洋建築のようだった
ドアに振り返れば異様に大きいとんがった教会
床には石が敷かれ、待ちゆく人々の歩行を安定させている
リアカーが通り、新聞が風に吹かれ私の視界をかすめて行く
私は口をあけ、棒立ちで唖然としている
「大丈夫かい?」
私の意識を明瞭化させたのは彼の声だった
「この道を左に行く…とお店まで近い、付いてきて」
彼は背を向けたまま顔をこちら側に傾けて語りかけていた、
私は無言で彼に続いていた
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