(続き2)

私がその場で立ち尽くしていると

「目が覚めたかい?」

そう男の声で聞こえた

不意に聞こえたその声に驚いて体を乱暴に動かして振り向く

「あいにく服がそれしかなかったのでね、君がもともと来ていた服はあせびっしょりで今洗っているよ、気分はどうだい?」


「えっ…えぇ、おかげさまで、気分はいい気分です」

手に持っていた新聞をたたみながら彼は私に問いかけ、

私はそれにしどろもどろに答えた


「今日の昼刊です、巷ではまた盗賊の悪さが民間人をさらって問題になっています、困りますね」

彼はそう言いながらゆっくりと歩み始め、私を追い越していき、テーブルに近づいた


「ずいぶんと粋な恰好をしてらっしゃいますね、君とは仲良くできそうです、どうです?服が乾くまで私と会合でもしませんか?」


私は沈黙した

頭の処理が追い付いていない

無理もないだろう

自分が慣れ親しんだ言葉を使うものにいきなり会えたのだから。

私の心情を例えるのなら…

なまじ英語が話せる状態で異国に放り出された不安、

そんな中で自分の母語を話すものに出会った安心感だろうか

通常数日数週間かかるこれを数時間にきゅっとまとめたら混乱しても無理ないだろう。


「…んまぁ唐突だったかな」

「なにか、おいしいお茶でも淹れようか、ちょっと待っててね~」

彼はそのまま奥にある扉まで歩いて行った


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