第31話
今、災厄と言ったよな……、僕の両親が亡くなったところであり、妹のダンジョン病の原因となっているダンジョンでもある。
ただ、あそこは政府により立ち入り禁止となったはずだ……。それなのにどうして?
そんな僕の疑問に簡単な答え合わせを行ってくる。
「これは機密事項だから、口外厳禁で頼みたいんだが……。実は上の方で災厄のダンジョンを攻略させるという計画が打ち上がったらしくてね。そこで白羽の矢が立ったのが僕たちなんだが……。どうだい?……君の境遇は把握させてもらってるよ。……妹さんのことも、ご両親のことも」
拳をギュッと握りしめる。頭で分かっているのと言われるのとでは大分違う。
「それにさっき他のパーティーに所属しているからと断っていたけど、そのパーティーに所属しながら、僕たちのパーティーに所属するという形で構わない」
「……」
僕の不安の種は確実に消されていく。
「それでどうだい?……改めて訊こう。僕たちのパーティーに入らないかい?」
こうなってしまえば僕の出せる答えはたった一つ。
そうして差し出された手を僕は……しっかりと握った。
「お願いします」
僕のその言葉に満足気に頷くと活動する日になったら連絡するよと連絡先の交換だけすると三人は帰って行った。その三人と入れ替わりで学園長が戻ってくる。
僕と陸さんたちの会話内容をあらかじめ把握していたのか、交渉は成立したようだな……。頑張ってくれとだけ言われた。
その後、学園長室を出た僕はダンジョンに潜る予定があったので西野さんと先輩たちと合流した。
西野さんに学園長室で何があったのか尋ねられた際にありのままに先程のことを話すと何故か先輩方が興奮気味に僕の話に食いついてきた。
話を聞くと陸さんたち三人は本当に大物らしく、現役最強という話も本当のようだった。
更に、配信者としてやっているらしく、動画が上がっているから見てみるといいと言われた。
実際、災厄のダンジョンに潜る前に戦力を知っておきたかったので今度見ようと思う。閑話休題。
そんな順調に進んでいるように見える僕の生活。しかし数日後に少しハプニングが発生した。
それは加奈の存在だ。
先日まではドアの前まで来て喚いているだけだったのだが、最近はドアを開けて僕の部屋の中に入ってこようとするまで過激化している。まぁ、ドアは開かないように鍵を閉めている上に魔法でそれを強化しているので無駄だが。
ただ夜中にドアをガチャガチャやられるのは精神的にあまりよいものではないので、近付けないように結界を張った。
僕の部屋に近付けなくなり、これで僕の安眠は守られた。そう思って安心した翌日。
男子のいる教室に加奈が吐きそうな顔をしながら入ってきた。
そして大声で叫んだ。
「天くん……。助けて!」
———————————————
最後の書き溜め放出。
文字数少ないなんてもんじゃないです。悪しからず……。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます