根本の切断者

遊先生がエロスに真剣になれないということで、ここで少し不肖のわたしめがエロスについて書いてみたいと思います。

これを読んで遊先生には是非とも、エロス国に再び入国されんことを祈るばかりです。



さて、夢はおかしなことを当たり前のように錯覚させる力があるものです。

そしてそれはチンコといえども例外ではありません。



わたしは子供の頃、近所の男の人が自分のチンコを焼く夢をみたのです。

彼は慣れた手つきで自分のチンコをナイフで刈り取ると、そのまま炊飯器からご飯をよそい始めたのでした。


多分、この夢を見た原因は、当時わたしが史記を書いた司馬遷の伝記に触れ、彼が李陵を弁護した廉で武帝の怒りを買い、宮刑を賜った際の故事を読んだためです。



主を失った根本は無論、血を吐き出しているのですが、それでも余りに彼が冷静過ぎるのが異様でした。


滅びゆく「根本の切断者」に興奮し、わたしは目の前にいる「死」と対話しているような気分に落ち込みました。


「なぜあなたはチンコを切り落としたのですか?」


炊飯器のことまで滑り込めない自分にそわそわしつつも、わたしは誰もが疑問に思うことであり、その場の空気的に聞きづらい質問を一言ほざくことに成功しました。


「おにぎりに詰めるためだ」


それだけいうと切断者はフライパンにチンコを落としこんだのです。


「ばかな……」


そうか、それでご飯をよそったんだあ~とは、微塵も思いませんでした。


それまでふたりのいた場所がどこだったのか判りませんが、いつの間にか見慣れた団地の台所のようなところに、わたしたちはいました。


ガスコンロは適度な火を噴き出し、その上で焼かれていたチンコは中がつぶつぶになっており、その姿はまさしく焼きタラコでありました。



「……え? 焼きタラコってこうやって作るんでしたっけ?」

「そんなことも知らないようじゃ君もまだまだだねぇ」


フフフとわたしはこの男から鼻で笑われました。

自分のチンコを切り落としてフライパンで焼き、それをおにぎりの具にしてやるとかぬかしている狂人に、普通にバカにされたのです。


ちなみに切断者のその後の生死は不明であります。



こうして史記を書いた稀代の史家の故事が、わたしに「チン焼きタラコのおにぎりレシピ」というドリームを見させるに至ったのです。



ですからわたしの中で焼きタラコとは魔羅切料理なんですよ。

おにぎりにいれるなんて正気の沙汰ではない筈なんです。でもおいしいですよね。

まあ生命的な近さでは全くの間違いではないのかもしれません?


この文章を読んだあなたは、これから焼きタラコのおにぎりを食べる度に、この話をきっと思い出すことでしょう。


従って、このことこそが邯鄲の夢であり、胡蝶の夢の真実だったといえるのかもしれません。



ここまで書きましたんで、これで遊先生のエロス回帰は間違いないでしょう。

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