第11話 夕暮れの雲は暖かい

幸仁君、最初は怖かったけど、話してみると案外優しい子だった。


だから私はいろんなことを話したの。


学校のこと。

高橋君みたいな一匹狼に憧れてること。

実は孤独なこと。


彼はいろんなことを話してくれたの。


家出したこと。

辛い思いをしたこと。

彼も孤独なこと。


彼の話は聴くだけでも大変そうなことが多かったけど、それは家を出た後の話。

出る前のことは分からないの。別に悪いことじゃないんだろうけど、なんとなく聞いちゃいけない気がしたし、彼自身も話そうとしなかったから。だから聞かないことにしたの。それよりも彼とは楽しい話をしたかったから。


彼、正直言葉遣いも悪いし、決してお上品とは言えないんだけど、ところどころ知性を感じるのよねー。オーラというか雰囲気というか。貴族様?みたいな。


それに話してみるとすっごく賢いの!私の知らないことたくさん知ってるし、計算だってとっても早い!高橋君みたいだわ。二人が話してるところを見てみたい。でも幸仁君のほうが一匹狼!って感じ。高橋君は研究者って感じだけど、幸仁君は本当に野生の狼みたい。見た目はすごく怖いけど、ワンちゃんみたいな可愛げもある。割とイケメンだし。


彼と出会うのはもちろん初めてだけど、面影というか、なんとなくみたことある気がする。気のせいかな?


気づいたらあたりは暗くなってて、帰らなきゃいけない時間になっちゃった。

もう少し彼と話していたいな。

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