第9話 雪固まって雹になる
あれからどれだけ歩いただろうか。
路地裏で倒れた時はどうなることかと思ったが、捨ててあった廃棄弁当やら、鳩を追っ払って奴らから奪ったをパンのカスやらを食って何とか凌いだ。飲み物は公園の水で、落ちている金や財布を拝借することもあった。
だが、まだ盗みはしていない。警察に届を出されたら面倒だから。
だいぶ歩いてきた。
街の公園や高架下は既にホームレス縄張りがあって面倒だったし、路地裏は身の危険を感じることが多々あった。そこらは食料や金はあるが、住むには少々リスクがある。騒がれても面倒だ。
寝る用のダンボールは追い出されたときに公園に置いてきてしまったので、まずは段ボールを探さなくてはならない。本来であれば、どこかの店に行って頼めば無料でもらえるだろう。ただ、この格好ではとてももらえそうにないし、身分がばれてもまずい。だからダンボールが落ちていそうなところを探す。
河川敷だ。
ここから少し東に出れば、隣町へ行くための橋があるはずだ。そこの河川敷に子供たちがそりに使ったダンボールが落ちているかもしれない。こういう時はこの町の治安の悪さに感謝する。
結果は最悪だった。
様々な種類のごみは落ちているが、肝心のダンボールだけない。缶やお菓子の袋も空で、食べるものは雑草くらいしか落ちていない。それも子供たちが滑るせいで、貧弱なものだらけだ。
これは滅入った。
もう足が限界だ。
眠い。
俺はその場所に倒れこんだ。
「………大丈夫ですか?」
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