第12話 技能講習なあれこれ
「ま、そういうわけだ。がんばれよ」
どうやら冒険者になるには、その人の天能にあった技能講習を『ギルド』というところで受けなければならないらしい。
ギルドとは、多様な天能を系統ごとに分類し、扱い方を指導するために作られた組織。
ニィナは『神官』だから『神官ギルド』という所で、《
……まあ、そうだよね。
何も知らない新人をいきなり、実戦に放り込むわけがないって話だ。
でも、
「……わたし、《
そうなのだ。
受付さんの説明だと、技能講習の修了項目のひとつに『《
とっくに使えるニィナには必要ないように思えるのだけど。
……というより、技能って教えて使えるようになるものなのか?
《
「そうなのか? 珍しいな。普通、『技能』ってのは学習と修練で身に着けるもんだからな」
「そうなんだ……」
そうなんだ……。
「まあ、行って損はねえよ。冒険者やるのに必要なことが学べるからな」
「うん……」
ということで、ニィナは『神官ギルド』で勉強をすることになるのだった。
***
技能講習一日目
「では、まず冒険者としての心得を――」
技能講習二日目
「今日は、神官として神から授かった力を振るうものとして心構えを――」
技能講習三日目
「――今日で《
***
「終わった……」
長く、苦しい、戦いだった。
まあ、初日の冒険者講習は面白かったのだ。
パーティーを組むときに気を付けることや神官の役割といった実践的なものや、ギルドでパーティーの斡旋や個人向けの依頼が受けられたりなどの組織の機能的なことは大変、勉強になった。
……問題は、二日目からだ。
なにせ、必修である《
人を癒す、という行為を理解するために講師から実際に受けてみたりなど。
すでに使える俺たちにとって、その授業は必要がなくて。
要するに、退屈だった。
まあ、まったく面白くはないわけじゃない。
特に『技能』についての説明は興味深かった。
『技能とは、《天能》によって判明した本人の資質に応じて、学んだものや経験を反映して現れるものであるため、本人ができない、理解できないものが会得できない……ねえ』
俺は、この三日間で学んだ『技能』の仕組みを思い出しながら、不思議に思ったことがある。
じゃあ、なんでいきなりニィナは《
というわけで暇な時間を利用して考察してみた。
――――――――――――
【男】
AP 10/10
WP 10/10
BP 0/10
SP 9/10
加護:《満腹の加護》《健康の加護》《安眠の加護》《浄化の加護》
知識:《魔術》《技能付与「神託Lv-」》《念力》《外敵察知》
権能:《外神》
――――――――――――
俺は自分のステータスにある、知識:《魔術》が原因なんじゃないかと思う。
魔術の知識。
そして《
つまり、《魔術》という『知識』があるからこそ、実際に見て聞いて触れる必要がなく、理解している……ということで、教えられなくても使えたのではないかと。
当たっているかどうかは分からない。
単純に、『俺』という存在がニィナに憑依しているから起きた現象なのかもしれない。
考察という名の妄想に過ぎないのだ。
『でもまあ、楽できるならいっか』
結局、そんな結論に行きつくのだった。
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