第3話 中立の国セントラル

『中立の国セントラル』


ガヤガヤ ガヤガヤ


外廓の門を潜った後は人込みで溢れていた


衛兵に案内されていた筈がいつの間にその衛兵と逸れてしまい何処へ行ったか分からなくなった


盗賊は馬車を通りの横の路地に入れ行動を起こす



「ぶはぁ!!ヒヤッとしたぜぇ」


「今鍵開けてやるからな…出たら一旦人ゴミの中に入って皆別行動だ」


「もう膝が痛くて…」


「金は持ってるな?」


「大丈夫よ」


「集合場所は貧民街のカク・レガという酒場だ。俺は馬車を預けてから行く」


「剣士は?」


「お前が手を引っ張ってやってくれ。忙しくて面倒見切らん」


「わかったわ」


「開いたぞ!!自由だ!!出て走れ!!」ガチャン


「行くわよ!!剣士!!手を!!」グイ


「おいおい荷物全部持ってけ!!」



子供達と娼婦の女4人…女盗賊は久しぶりに体を動かせてうれしいのか


荷物を持って直ぐに人込みに消えて行った



「ようし!!ひとまずこれで安全だな…あいつら速攻居なくなったな」


「さっさと馬車預けて旨い物でも食うかぁ!!」



この中立の国セントラルは陸と海の貿易が交わる世界屈指の貿易都市だ


巨大な外廓で囲われそこに数十万人の人間が生活しいる


外廓の内側にはさらに内郭と呼ばれる壁があり…その内側には貴族達が住まう


さらにその内側に王城の壁がそびえ立ちこの国の象徴となって居る


盗賊達が待ち合わせた貧民街はこの国では労働者階級の最も身分の低い者達が住まうエリアで


貴族達と顔を合わせる様な事は殆ど無い…よそ者が隠れ潜むには都合の良い場所だった





『酒場カク・レガ』


この酒場は貧民街にある古びた建屋の地下にあった


貴族達とは程遠いならず者たちが集まる酒場だ…そんな酒場が盗賊達の集合場所だった




「いらっしゃいませ。お一人様ですか?」


「あぁ…カウンターで良い!!何がある?」


「サボテンのテキーラが旬になりますが…」


「それで良い…ボトルで持ってこい」


「かしこまりました」


「この店には女は居ねぇのか?」…盗賊は奥の方を見渡す


「あいにくこの辺りでは稼ぎが少なくて…その…中央の方に人が集まっておりまして」


「ヌハハそりゃ丁度良い…」


「はい??」


「ここで連れと待ち合わせてるんだが…それらしい奴は来てねぇか?」


「今日はまだ観えてない様ですね…」


「そうか…待たせてもらう」


「かしこまりました…ごゆっくりと」


「…ところで」


「はい?」


「夕暮れ前に法王庁が大軍連れて外に出ていくのを見たんだが…何か知らんか?」


「はぁ…このところ客足が遠のいておりまして…」


「まぁ仕方ねぇな…女が居ねぇと情報も集まらんだろうな」


「よくご存じで…」


「ふむ…」ジロリ


「な、何か?」


「口は堅そうだな…」


「ハハ御冗談を…」


「まぁ良い…女5人雇えるか?」


「5人!?」


「上玉だ…まぁ本人達にやる気を聞いてみるのが先なんだがな」


「どちらの女性で?」


「もう直ぐ来ると思うが…育ちは悪いが容姿は保証する」



そこに丁度女盗賊達が訪れる…ペチャクチャと話しをしながら階段を降りて来る



お姉ぇここで合ってるの~?


あいつさぁ!!同じくらいじゃないの?


でも好みだなぁ…多分私の顔見て金貨くれたんだって


この階段の下?



「噂をすりゃ何とやら…来たぜマスター!」


「いらっしゃいま…」


「あ!!いたー!!」


「何このシケた店…」


「みーっけウフフ」


「ちょっと休んで良い~?」



急に騒がしくなった…女盗賊は盗賊の隣に腰かけ言う



「待った?」


「ハハ…これは…」マスターは少し驚いた様だ


「…と、まぁこんな感じだ」



盗賊達は奥のテーブル席の方へ移動して久しぶりの酒を飲みながらくつろいだ



「子供たちはどうした?」


「近くの宿屋で剣士が付いてくれてるわ…もう寝てると思うわ」


「そうか…宿代はどうだ?」


「それ程高くはないけれど…あまり長く居られる程余裕は無いわね」


「この人数じゃしょうがねぇか」


「そうね…働き場所をまた見つけないと」


「この店で女5人雇ってくれるとよ!!なぁマスター!!」


「それはありがたいけれど大丈夫かしら…」


「稼ぎゃ良いんだよ!前とさして変わらん」


「あなたはどうするの?」


「俺ぁ泥棒だ…稼ぎ方はそれしか無ぇ…ただ今は情報が欲しい」


「盗賊ギルド支部は今機能してるのかしら?」


「さぁな?普段顔出さねぇ奴がノコノコ行って相手されるとは思わんがな」


「それもそうね…」


「金が無くなるまでゆっくり情報集めが先だ」


「そういえばさっき宿屋で妙な噂を聞いたわ」


「お!?」


「近くで魔女が出たらしいの…捕まえたら金貨一袋らしいわ」


「近くというだけでは動けんな…それから金貨一袋ってのもケチくさい話だ」


「その魔女の特徴が…赤い瞳」


「ぶっ!!…そりゃまさか」


「噂が広まるのって早いものねフフ」


「ううむ…」


「ん?どうしたの渋い顔して?」


「ぃぁ…まさかとは思うが…法王庁は魔女狩りに行った訳ではあるまいな?」


「…可能性としては…有りね」


「二個中隊の軍隊だと近隣の村は蹂躙されるぞ」


「考えたくないわね」


「そうだな…考え過ぎと思いたい!夜行軍の理由とも結び付かねぇし…」


「いや!そもそも魔女なんか俺は見てねぇ!」


「ぬあぁぁ何だか腹がムカムカする」





『数日後』



盗賊は剣士を連れて夜の街を走って居た…それも建物の屋根の上を…


タッタッタ…



「剣士!付いてきてるな?」


「……」


「よし…お前はここで待機だ」


「俺はあの屋敷に入って金目の物をかっぱらって来る」


「追手が出て来たらお前は俺の逃げ道を確保してくれ」


「逃げるルートは今通って来た屋根を伝って中央の方向に向かう」


「出来るな?追手を軽く掻き回すだけだ…殺すなよ?」


「……」


「よし!10分で戻る!」タッタッタ



盗賊は身軽にも屋根を伝ってその屋敷へ忍び込んだ


そして10分後…


ガチャーン パリーン!!



「居たぞ!そっちだ!追え!」



盗賊は衛兵に見つかってしまったらしく走ってこちらへ逃げて来る



「見つかったぁ!!剣士!!頼む!!」タッタッタ



ピーーーーーーーーー!!



「……」---笛!?---


「おい!!そこのやつを捕まえろ!!」



笛を吹いた衛兵は僕に逃げる盗賊を捕まえる様に促している様だった


でも僕は盗賊の逃げ道を確保する役だ…


剣士はその衛兵に飛び乗って取り押さえた



「ぬぁ!!お前も仲間かぁ!!」



笛の音を聞いたであろう他の衛兵が3人程集まって来た



「どうした!?」


「こいつら泥棒だ!!捕まえろ!!」


「おい!ちょろちょろと逃げるな!!」


「もう一人逃げてる!!屋根に登ってるぞ!」


「分かったぁ」



衛兵達は僕に触る事も出来ないで居た


僕の役割は追っ手をかき回す事…


ピョン クルクル ドシ!!



「ぐぁ…邪魔をするな!」


「おのれちょこまかと…衛兵!衛兵!」



ピーーーーーーーーー!!


また笛を吹かれた…


これ以上集まられては手を出す必要が出て来る…逃げよう


ピョン ピョン ピョン



「何ぃぃ!!もう屋根の上に」


「追えーーー追うんだぁぁ」




『中央広場』


屋根を伝ってまだ人通りの多い中央広場まで逃げて来た



「よし!追いついて来たな!?ちぃと荷物が重い…こっちを持て」ポイ


「……」パス


「まだ衛兵は追ってきてるな?」


「中央の人混みでお宝の半分をバラ撒け…人に揉まれる前に逃げるぞ!!」


「俺からはぐれるなよ?行くぞ」タッタッタ


「まてぇぇぇぇぇ」



人込みをすり抜けながら走る


僕は盗賊から預かった荷物の中身を掴んで人込みの中に放り投げた


バッサー キラキラキラ



ん?なんだ?白いフード?


おい!気を付けろ!!


うぉ!!金貨だ!うぉ!!宝石だぁ!


うおぉぉぉ金だぁぁぁ



人込みの中でばら撒かれた大量の金貨と宝石でそこに居た通行人は目の色が変わる



「ぬぁ!どけ!!お前らどけぇ!!」


「金だ金だぁぁぁぁ」


「んがぁぁ…」



衛兵達は人に揉まれ身動きが取れない



「よし剣士!トンズラするぞ!!」タッタッタ


「……」タッタッタ


「ぬははチョロいな…おっと俺としたことが…フードがはだけちまう所だったぜ」


「フードは深く被れ…盗賊の極意だ」ファサ


「……」ファサ



これは僕と盗賊の初めての泥棒


そしてこれから始まる伝説の幕開けだった…




『酒場カク・レガ』


女盗賊を始め…この店に突然4人の女が働き始めて遠のいて居た客は少しづつ戻って来ていた



「いらっしゃいませ」


「おう!マスター!ちったぁ客が入ってる様だな」


「おかげさまで」



盗賊の来店に女盗賊が気付いて話しかけて来る



「あら?いらっしゃい…飲んで行く?」


「あぁ頼む!剣士の分もだ!おい…例のやつ出してやんな」


「……」ヨッコラ ドン



僕は盗賊から預かった荷物をテーブルの上に置いた



「何かしら?」


「おしゃれな洋服だ!20着はある…その貧相な洋服じゃ客の入りも悪いだろ」


「あら?気を使ってくれたのね?」


「それからコレはお前にだ」ポイ


「ネックレス?」パス


「虹のしずくという物だ…偶然見つけたもんでな」


「フフフ盗んだ物でわたしの気を引けると思って?…でも嬉しいわ…似合う?」


「幸運を呼ぶ物だそうだ…大事にしろ」


「娘たち!?お土産を持ってきてくれたわ…こっちにいらっしゃい」



ムギャー ワタシコレ イマキガエテイイ?


エー アレモコレモ コッチカナ アッチカナ?


イーナーイーナー キャー ズルイ ワタシモー


ムキー コレニアウ? エ? オッパオミセロ?



「それからマスター!これで客に旨い酒出してやってくれ」ジャラリ


「かなり多い様ですが良いのですか?」


「騒がしてる迷惑料だと思ってくれ」


「どこに行ってたのよ」


「まぁな…今日の収穫はその洋服20着がメインだ…残りは剣士がほとんど捨てちまったヌハハ」


「フフらしいわ」


「でもな?金貨一袋ぐらいは残ってる…お前が預かっとけ」ドン ジャラ


「助かるわ…これで子供達を孤児院に預けられそう」


「あぁその方が安全だ」


「他には何か収穫はあって?」


「まだ無いな…地理が大体わかって来たぐらいか」


「あぁそういや貴族居住区は割と警備が良いな…笛ですぐに衛兵が飛んでくる」


「あまり無理は出来ないっていう事ね?」


「んむ…極力隠密で動く必要がある」


「私に何か出来て?」


「逃げ道のルート確保は剣士で問題ない…俺が鍵開けをやっている間の見張りが欲しい」


「分かったわ…次はいつ?」


「目標を決めたらまた連絡する」



その数日後…


盗賊は新たな目標を定めてより安全に泥棒が出来るように女盗賊も協力する事となった




『貴族居住区』


そこはセントラルの内郭内側にある


貴族の屋敷が連なり一般人が住まうエリアとは全く違い堅牢で豪華な建物ばかりだ



「あそこの建屋だ」


「もう少し夜が更けるまで待ったら?」


「いぁダメだ…逃げ道で人に紛れんと足が付く」


「中に人が居るのでは無くって?」


「多分居ねぇ筈だ…居たとしても建屋掃除のメイドだ…この時間貴族どもは食事パーティーに出てんのよ」


「じゃぁ今がチャンスなのね」


「剣士!この間と要領は一緒だ。お前はここで待て」


「必ず10分で戻る。それまで隠れていてくれ。ここを通れんとえらく大回りする事になっちまう」


「…」コクリ


「大分意思疎通出来るようになってきたわね?」


「無駄口叩いてないで行くぞ!来い!」タッタッタ


「鍵開けの間に見張ってれば良いのね?」


「あぁ…裏の勝手口から行くぞ」



盗賊達の行動とほぼ同時刻に屋根を伝って忍び寄る2人の影があった


剣士は周囲の雑音と他の様々な匂いのせいで気付けないで居た




『物陰』


「よし!情報通り手薄な様だ…この通路の奥からアクセス出来る」


「待って…誰かいる」


「む…去るのを待つか」


「わたし見てこよーか?」


「むぅ…私が行こう…出来れば戦闘は回避したいのだがな」


「奥の区画はここしか入るところ無いよ?」


「仕方あるまい…一気に仕留める…クロスボウのボルトは何発残ってる?」


「4本…」


「私が奴の背後に回って仕掛ける…やり損じた時はお前はここから援護するのだ」


「アイアイサー」


「私が仕掛けるまで動くな」


「りょ」



その一人…男の方は気付かれない様に隠密動作で剣士の背後に回った



---妙だな…奴は何をしているというのだ…動かんな---


---殺したくは無いのだが…えぇぃ邪魔な奴め---


---恨むなよ---



その男は投げナイフを使い音もなく剣士をめがけて放った


剣士は投げナイフが風を切る音を察知した ---何か来る!!---


咄嗟に身を逸らせそれをやり過ごす…



---何ぃ!?奴は後ろが見えて居るのか?バカな…援護撃て!---



バシュン! バシュン!


逆側から放たれたクロスボウのボルトは投げナイフよりも大きな音が出る


その音を聞き剣士は何者かに挟まれて居る事に気付いた


ピョン クルクル シュタッ!


剣士は放たれた2本のボルトも咄嗟に交わした


それを見たその男は腕に仕込んだ暗殺用の武器で剣士に襲い掛かる



「お前は只者では無いな?法王庁の者か!?」ブン その攻撃は空を切る


「……」クルクル シュタ



僕は少し向こうに居る誰かがガチャガチャと何かの器具を動かしている音が分かった


又何か撃って来ると分かってはいたけれど目の前の男が続けて攻撃してくるから集中できない



「最後の2本!!」



バシュン! バシュン!


放たれたクロスボウのボルトが交わし切れず肩に刺さった…



(っつ!!)


「…一旦引くぞ」タッタッタ


「わーーてるってコッチ!!」タッタッタ


「今日は引き返す…あんなのが居るとは想定外だ」


「追って来てないヨ」


「傭兵では無いのか…同業者と見るか…いやしかし…」


「あんな目立つ格好で?なんで白い毛皮なん?」


「むぅ…作戦を変えるか…正攻法では城まで行けん様だ」


「敵だったんかな?」


「貴族居住区にあれほどの者が居るとなると下手に手は出せん」



その2人は元来た屋根を伝い撤収して行った




『数分後』


僕はまた誰かに襲われるかも知れないと思って聞き耳を立てながら警戒した


肩に刺さったボルトからしたたる血で生ぬるい感じが腕を伝う


そこに盗賊と女盗賊が戻って来る…



「戻ったぜ!うまく行った…ん?」


「おい…何かあったのか?…む?ボルトが落ちてんな」


「あなた!血が出てるじゃない!どうしたの?肩ね…」


「衛兵には見つかってねぇ…今のうちにズラかるぞ」


「走れて?…肩を」グイ


「ぁぁぁ」



肩に刺さったボルトのせいで片方の腕が走るたびに痛む


だからそれを抜こうとした…



「…ダメよ!抜いてはダメ…少しの辛抱よ」


「下から戻ろう…わざわざ屋根上行くこともあるめぇ」


「見たところ大事には至ってなさそう…止血できればすぐに良くなるわ」


「クロスボウを使うって事は同業者の可能性が高いな」


「相手は逃げてしまった?」


「引き際が早いのはプロだ…どこかで狙ってるかもしれんから建物の陰を走る」


「後を付けられる可能性はどう考えて?」


「あぁ…仕方ねぇから中央で金バラ撒いて紛れる」




『屋根の上』


そこでは先ほどの2人が剣士の行動を隠れて見張って居た



「白いのが来たよ!?あと仲間が2人」


「やはりここを通るか…私達を追っているか?」


「わかんない…どうする?」


「行くさ…私の邪魔をしたからにはツケは払ってもらう」


「もうボルトが無いよ?」


「構わん…何者なのか探る」


「なんかあいつらカッコ良いじゃん」


「白いのがリーダーと見るか?…フフ…お手並み拝見と行こう」


「なんか歩き方がおかしい…ボルト当たってたかな?」


「…そうだな…ぃゃしかし四足歩行…だと?何なのだあいつは…」


「走って行っちゃうよ」


「屋根伝いに追う」


「中央の方向」


「むぅ…人通りを避けんか…逃げられるなこれは」


「あ!!!何かバラ撒いてる」


「ちぃ…こうも予想外が続くとはな」


「あぁぁ人混みに…」



ピーーーーーーーー



「居たぞ!!屋根の上だ!!」


「笛か!仕方ない私たちも人に紛れるぞ…後は分かるな?」


「いちいちウルサイなぁ…分かってるって」



ピーーーーーーーー



屋根の上を伝って走る2人の影は衛兵達にとって数日前に逃がした泥棒2人組に見えていた


その2人も又中央広場の人込みに消え衛兵達から逃げきる…伝説の2幕目だった





『酒場カク・レガ』


女盗賊は剣士の傷を治療する為に一度宿屋へ戻った


盗賊は酒場のマスターと話をするために酒場へ訪れている




「…じゃ頼むぜ?」


「話はつけておきます」


「明日には荷物も持って行きたいんだが…よろしく頼む」



酒場のマスターと話が済んだ所へ丁度女盗賊が店に入って来た



「あ!お姉ぇ!!おかえりぃ」


「お?戻ってきたな…どうだ剣士の具合は?」


「ボルトを抜くのにちょっと体力消耗しちゃったけど…しばらく安静にしていれば直ぐに良くなるわ」


「痛がってたか?」


「当たり所が悪くなくて良かったわ…もしも体に当たっていたらクロスボウの貫通力だと命に係わるから」


「まぁ無事なら良い」


「襲われたのは2人組だったそうよ?その内1人がクロスボウを持って居たらしいわ」


「ふむ…同業者に間違いなさそうだが、いきなり撃つってなると盗賊ギルドの者では無さそうだな」


「何かの抗争かしら?」


「殺してでもあそこより先に進みたい何かがあると見た…きなくせぇ」


「まだ関わるつもり?」


「いや…しばらく休業だ」


「その方が良いわ」


「十分稼いだからなヌハハ明日は引っ越すぞ」


「あぁマスターが言ってた裏の空き家ね」


「聞くところによると下水へ行く抜け道があるらしい…俺達にはもってこいだ」


「家の中に?」


「どうやら前住んでた奴が地下にだれか監禁してたらしく、そいつが逃げる為に壁に穴開けたんだとよ」


「フフなんだか気持ち悪いわね」


「良いじゃねぇか!下水も俺たちのモンだ…引っ越した後は下水がどこに繋がってるか探検だ」


「私は降りるわ」


「ケッ…勝手にしろやい」




『隠れ家』


翌日…早速宿屋から荷物を移し身を落ち着ける住処を手に入れた


ここに住まうのは女盗賊と娼婦をしていた娘達4人…盗賊と剣士は居候の立場だ



「ふぅ…これで最後か?」


「あとは着替えだけよ…後で持ってくるわ」


「剣士!お前は休んでろ」


「……」イテテ


「俺はちぃとしたの下水見てくるぜ…あとの片づけは女盗賊と娘たちに任せた」


「娘たち~!!ベッド移動させて頂戴」


「ええぇぇぇぇ!?」


「じゃぁ行ってくるな!」


「……」ノソリ


「お?お前も行くか?」


「昨日の今日なのに平気なの?」


「まぁゴロゴロしててもつまらんだろ…付いてこい」


「あぁそうだ!金は好きな様に使っていいぞ…宝石だけは残しとけ」


「あら?良いの?」


「どうせパクッて来た金だ!全部使っちまえ!!ヌハハ」


「ぬぉぉぉぉっぉぉぉぉみなぎってキターー」…娘達4人は欲しい物が沢山有った様だ


「じゃぁ行って来るな!?」タッタ




『下水』


隠れ家の地下の壁に開いた穴から下水へ降りる事が出来た


この下水を通じてセントラル全域の生活排水を海へ流している


汚物も一緒に流れているだろうから衛生的な水とはとても言えない



「こりゃ迷路だな…あっちが海側か…セントラル全域に下水が入り組んでるな」


「剣士!ちょっと待ってろ…地図買ってくる」


「…」コクリ


「ここを動くなよ?迷子になるぞ」



盗賊は僕を置いて一度下水から出て行った


この下水は匂いがひどいけれど水が流れていて音の反射で何処に何があるのか分かりやすかった


僕は待って居る間この間襲われた時の事を思い出す


遠くからクロスボウを撃って来た人の声…


「わーーてるってコッチ!!」


この声に聞き覚えがあるのに誰なのか思い出せない


多分いつも夢の中で聞いてる声…誰なんだろう…



1時間程待って盗賊が帰って来る



「悪りぃわりぃ…こいつがなかなか手に入らなくてな…糸だ」


「……」??


「測量しながら進むぞ…この地図の上に下水の見取り図を書き込む」


「ちぃと大変なんだがな」


「お前は風の流れてる方向はしっかり分かるな?」


「……」コクリ


「指さしてくれ…なるほどそっちか…次はこの三差路はどっちだ?…そうか」


「よし!進むぞ…あとは…」



こうして僕達は地道に下水の見取り図を作る事になった


下水の匂いは慣れてしまえば大した苦痛では無い


それよりもたまに拾える金貨が有ったり使えそうな物が転がって居たり意外と楽しみながら下水を過ごせた


そして数日後…



「分かってきたぞぉ!!ここの水は貴族居住区の堀から落ちて来てる水だ」


「つまり堀に捨てればここで回収できる訳だ…うまい具合に枝が引っかかってるから全部あそこで回収出来る」


「よし!次行くぞ…ここの梯子は城の方まで繋がっていそうだ」


「だが何かおかしい…こんなに高さが必要な理由がわからんな…奥にでかい空間でもあるってのか?」


「うむ…風の向きもそっちから出てるな」


「剣士!ついて来れてるか?ん?」


「……」ユビサシ 僕は何かの気配を感じてその方向を指さした


「なんだ?あぁ鉄格子か…これ以上行くのは無理だってか」


「ちぃと鍵が付いてないか見てくる」



盗賊はその鉄格子の所まで行って周囲を調べる



「無ぇな…ナムサン」


「……」ユビサシ 奥の方で動く何かが居る


「ん?まだ何かあんのか?…動物の死体か?骨が散らばってんな…こりゃ奥は魔物の巣になってんのか?」


「おい!今こそ妖精の出番だろ居るなら出てこい」


「……」フリフリ 残念ながら妖精は女盗賊の事が気に入ってそっちに行ってる


「ったく役に立たねぇ妖精だな…戻るしかねぇか」


「この鉄格子の隙間は俺じゃ入れんな…剣士だと行けそうなんだが…女盗賊に協力してもらうしか無ぇな」


「剣士!今日は一旦戻るぞ」




『隠れ家』


「うはぁ…随分汚れたな」


「二人とも一回水で流してきてよ…臭いわ」


「あぁ分かった…後で酒場に行く」


「ドブ臭いままで店の方には来ないで貰いたいわ…」


「そんな匂うか?」クンクン


「剣士もびしょ濡れじゃない」


「そりゃそうと随分色んなもの買いこんだな?」


「良いから早く行って!!鼻が曲がりそう!!」


「あいあい」


「吐きそう…もうそんなに汚れたまま家には上がって来ないで頂戴」


「剣士!怒らせる前に行くぞ!!」





『酒場カク・レガ』


器量の良い女が揃って居るという噂が広まりこの酒場にもそこそこ客が来る様になっていた


というのも中央広場にある酒場よりも安く飲めると言うのも有る


ワイワイ ガヤガヤ



「いらっしゃいませ」


「おぉマスター繁盛してるじゃねぇか」


「おかげ様で」


「空いてるか?」


「カウンターでしたら」


「いつもの酒2つ頼む」


「あいわかりました」



ポロロン ポロロン ♪


女盗賊は奥にある古びたピアノを演奏しながら歌って居る


ぃょ~う アンコール


確かに器用に何でも出来る女盗賊は器量が良い女と形容して良い


演奏が終わって静かにカウンターに戻って来る姿も様になっている



「お前は盗賊業は半端だが色んな事が出来るな…いつピアノを覚えた?」


「只の趣味よ…もう匂いは取れたのかしら?」


「自分じゃ分からん!匂うか?」


「嗅ぎたくないわ…それで?しばらく下水に籠って何か収穫が?」


「おう…その話なんだが…お前にちっと手伝って貰いたくてよう」


「まさかあの下水に私を連れて行く気では無いでしょうね?」


「そのまさかだ…」


「私は降りるって言ったわ」


「まぁ聞いてくれ」


「……」シラー


「下水の見取り図を作ってるんだが、どうやら城か法王庁まで繋がってそうなんだ」


「休業するのでは無くって?」


「いや…まぁ…俺ぁ子供たちを盗まれてしまってだな…行方が気になる訳よ」


「……」


「あの中に心臓の悪い子が居てな…どうしても助けてやりてぇ」


「それで寝る間も惜しんで探索って…訳ね」


「今のところ危険は無い…と思う」


「自信無さげね…いいわ。やってあげる」


「すまん」


「フフあなたのそう言う所だけは信じてあげる」


「深夜になっちまうが…店終わったら行くぞ」





『深夜』


隠れ家の地下で下水に向かう準備をしていた


いつもの恰好では無く戦闘を想定して革装備と武器を身に着ける



「今日は一応フル装備で行く…もしかすると戦闘になるかもしれん」


「剣士の肩の具合はどうだ?」


「…」コクコク


「大丈夫そうだな…お前はロングソードとナイフを持て」


「女盗賊はいつもの弓だな」


「俺はダガーと泥棒用の道具一式だ」


「下水の見取り図はコレだ…海側に向かえば貧民街周辺に出るから、もしはぐれても何とかなる」


「今から行くのは…恐らく法王庁周辺だ…手薄な今しかチャンスは無いと見ている」


「目標は子供たちの安否確認と出来れば救出…だが俺は途中からそこには行けん」


「途中の鉄格子から奥は女盗賊と剣士で行ってもらわねばならん」


「フフかなり危険じゃない」


「剣士が居れば何とかなる…と思う」


「夜が明ける前に戻ってくるぞ…出発だ!!」


「おっとお!身バレ防止で今日はいつもと違うクローク羽織って行くぞ…フード深く被ってくれな?」



盗賊と女盗賊にとってはいつもと違うクロークだった


何故かと言うと白いクロークだったから…目立つのを嫌う盗賊ギルドとは無関係だという主張のつもりだった


白いクロークをまとった盗賊達が動き始める…





『下水』


迷路のような通路はもう慣れてしまって目的地までは迷う事も無く辿り着く


クロークをなびかせながら3人は走る…タッタッタ



「こんなところまで良く探索したわね…臭くてもう鼻が利かないわ」


「そこから落ちてくる水は貴族居住区の水で割とキレイだ…汚れを落としておくと良い」ジャブジャブ


「奥にある鉄格子が言ってたやつね」


「そうだ…いまからこの鉄棒で少し曲げる…うらっ!!」グイ グイ



盗賊は用意していた鉄棒をテコにして鉄格子の隙間を少し広げた



「この鉄格子を切るのは時間がかかりそうね」


「これで入れるか?」


「んんん…何とか入れた」


「剣士も行けるか?」


「……」グイ グイ


「行けそうだな?よしここで別行動だ…俺はこの鉄格子を道具で切って遅れて向かう」


「地図から察するに左手沿いに行けば法王庁方向の筈だ…俺も後で左手沿いに追う」


「わかったわ…剣士は私から離れないで?」


「……」コクリ


「おっし!じゃぁ気を付けて行け」


「剣士!?行くわよ」タッタッタ





『鉄格子の向こう』


今までの下水と違って何かの骨が散乱していた



「おかしいわ…どうして骨が散らばっているのかしら」


「…るよ」



小さな声がかすかに聞こえた



「妖精の声…狭間が近いのね?」


「…が彷徨ってる」


「誰が?」


「沢山の魂が彷徨ってる」



妖精の声がハッキリと聞こえ出す



「どういう事?ここは墓場だと言うの?」


「それに近い何かだよ…」


「上に登る梯子!!…地図で行くと此処は法王庁の内堀の筈」


「妖精さん?先に様子を見ることは出来て?」


「おっけー見てくる」パタパタ



妖精は梯子の上にある蓋の隙間から外を覗いた



「どう?」


「誰も居ないよ」


「助かるわ」


「言うことが盗賊とは違うね~~♪」


「今から梯子を上がるからそこで待ってて」



女盗賊と剣士は梯子を上がり表に出る蓋を開けて出た


そこは恐らく法王庁の拠点として使われて居るであろう礼拝堂の裏に思われる



「さすがに深夜というだけあって誰も居ないわね?…法王庁の居住区はどこかしら?」


「……」ユビサシ 僕は人の気配の有る場所を指さした


「え?こっち?あなた人の気配がわかるの?」


「剣士はとても耳と鼻が利くんだよ…目が無い代わりにね」


「本当ね…中から寝息が聞こえる…沢山人が居そうね」


「見てくる~」ヒラヒラ



妖精は建屋の高い所にある天窓から中を様子を覗く



「私も見える場所無いかしら…」


「中に100人位人がいるよ。大人も子供も」


「困ったわ…子供たちだけ連れて帰る訳に行かなさそうね」


「全員足枷が付いてるよ」


「鍵開けも必要なのね…私も中を見てみたい」


「動いてる人は居ないみたいだけど」


「そこの窓から見えるかしら?」ヨッ



女盗賊は意外と運動神経が良くその天窓の場所までよじ登る事が出来た



「100人も居ると子供たちがどれなのか分からない」


「あ!!」



どうやって気配を消していたのか突如クロスボウが放たれる音が聞こえた



バシュン! バシュン!


僕は咄嗟にそれを交わす ピョン クルクル シュタ


臭いのせいで鼻が利かない…何処だ!?



「そこまでだ…」


「あ…」ゴクリ



天窓の所に登って居た女盗賊は背後を取られて首にナイフを突きつけられていた


又あの2人だ…全然気が付けなかった…



「剣を下に置いてもらおうか…さもなくばこの女の命は無い」


「剣士…ごめん…」ゴクリ


「クロスボウで狙われているのも忘れないでもらいたい物だな」



妖精はこの状況に挟まれて慌てている



「まじやば…まじやば…」オロオロ


「なに!?妖精までお前たちの仲間だと?お前たちは一体何者だ」


「…この声は」…女盗賊は今背後から首にナイフを突きつけている相手の声を知って居た


「答えて貰おうか…お前達の目的を…なぜ私の行く先で邪魔をしようとする!」


「兄さん?」


「何?…まさか」



妖精はヒラヒラ舞いながら


「アレレ?どういう展開?」


「お前は…妹か!!」


「ちょちょちょ…どうなっちゃってんの?どうするのこのクロスボウ」


「顔を見せてみろ!!」ファサ



女盗賊はフードをめくられ顔を曝け出された



「なぜこんな所に居る!?私はお前に盗賊は止めろと言った筈だ!」


「なぜここに居るかは私の方こそ聞きたいわ…兄さんはシャ・バクダに居なくてはいけないのでは無くって?」


「ちぃぃ時間が無い…私は今からここを爆破するのだ…今すぐに戻れ!」


「中に子供たちが捕らえられて居るのよ…」


「戻る気は無いと言うのか?…まぁ良い混乱に乗じて子供達だけ連れて帰るんだ」


「もう時間無いよ?そろそろ爆発するよ」


「ええぃ子供達だけ連れてもう戻ってくるんじゃない!!分かったな!!」ダッ


「兄さん!!貧民街の酒場カク・レガ!!…待ってるわ」


「…お前も逃げる準備をしろ…巻き込まれるな」ダダダッ



その2人は城壁をよじ登って来た様でそちらへ向かって走り去って行った




『下水』


盗賊は鉄格子を切るのに苦戦していた


ギコギコ ギコギコ ギコギコ ギコギコ ポキン



「ふぅぅぅやっと切れた…これで俺も…フン!フン!」グイ グイ



鉄格子は一か所切る事が出来れば曲げる事は簡単だ


ようやく盗賊が潜れる大きさの隙間が出来た



「ぬぁぁ…ギリギリ…通れ…いや通る」ズル


「あーいててスリ剥いちまった…急がんとな」タッタッタ



ドーン!!  ドーン!!  ドーン!!


上の方で爆発音が連続して聞こえた



「どわぁぁ!!何だ何だぁぁぁ」パラパラ


「真上か!?こりゃヤバイ事になってそうだ…大丈夫か!?あいつら」ダッシュ


「急げ急げ急げ急げぇぇぇぇぇ」ダッシュ


「何なんだここは人骨ばかりじゃねぇか!!」


「お!!居た!!無事かぁ!?女盗賊」



そこには丁度梯子を降りようとしていた女盗賊が居た



「ここの梯子から子供たち下すの手伝って!!」


「おう!!俺が受け止めるから落とせ!」


「ほら!子供達飛んで!!」ピョン ゴスン



子供達の足には鉄の足枷が付いて居た


その足枷も一緒に盗賊へ向かって落ちて来る



「いでぇ!!ちょ…」


「早く!!」ピョン ピョン ゴスン ゴスン


「ぐぁ!…ひでぶ!!…おい!足枷付いてるなら先に言ってくれ…死ぬ」


「…私の背中につかまって…降りるわよ?」ノソノソ


「おい子供達…足枷の鍵外すから動くな」カチャカチャ


「剣士!もう限界よ!!あなたも来て!!」



ドーン!!  ドーン!!  ドーン!!


爆発音と共に何かの建物も崩れて行く



「おいおい…上はどうなってんだ?」カチャカチャ


「兄に会ったわ」


「なんで又セントラルに…この爆発はあいつの仕業か」カチャカチャ


「そうよ…」


「こりゃ面白くなってきたな…盗賊ギルドが関わってるって事だろう?」カチャカチャ


「もう!!こんなに派手にやっては被害が大きすぎるとどうして考えないのかしら…」


「子供達4人だけか…大分衰弱してるな…背負って行くしかあるまい」


「俺が2人背負ってやる…ズラかるぞ」



---よう!お前は何とか無事だったな---


---心臓苦しくねぇか?---


---落ち着いたら旨い物食わせてやる---



その夜起こった法王庁の礼拝堂爆破事件は


建屋損壊の程度が大きく国として隠し通す事は出来なかった為


法王庁の支持率を低下させる為のプロパガンダとしても利用された


…と言うのは


セントラルでは貴族院に権力が集中し、その対抗勢力として現れたのが法王庁だったのだが


絶対神を信仰する教徒達が主導している事が貴族院からすると目障りな存在だったからだ


これ以降セントラル中央で絶対神の布教活動はなりを潜めて行く事になる


代わりに囃され始めたのが…白いクロークで身を包んだ謎の勢力…彼らが主犯であるという噂が立ち始める




『セントラル外れ』


主犯のその2人は貧民街へ向けて歩いていた


男の名はアサシン…盗賊ギルドのマスターだ


女の名は女海賊…アサシンの助手として同行している



「ねぇ!私も連れてってよぉ」


「遊びでは無いのだぞ?」


「いいじゃん…あの白い奴に会って見たいんだって」


「では付いてこい…あまりはしゃぐな?」スタスタ


「あの白い奴ってさぁ…仲間かなぁ?」


「私の妹と一緒に行動している以上、敵では無い…むしろ今は人手が欲しい」


「あの身のこなしヤバくね?てかわたしアイツなんか知ってる気がすんだよね」


「あの動き…認めざるを得んな…世の中には私たちより出来る者が居るという事を」


「私のクロスボウは百発百中なんだけどなぁ…全部交わされてんの…」


「自惚れは死を招くぞ?」


「今度はボルトに炸裂弾仕込む!!絶対当てるんだから!!」


「もう敵では無い…」


「アハそだね!てかアイツ気になんなぁ…」


「お前の新しいクロークはあの白い奴を真似てなのか?」


「なんかカッコ良いなと思ってさ…アイツは毛皮だったけどね」


「目立つからそれは脱いでおけ…」


「えええ!?良いじゃん!!これで!!」


「遊びでは無いと言っただろう?捨てて行くのだ…連れて行かんぞ?」


「なんだよもう!折角買ったのにさ…」ポイ


「行くぞ…大人しくして居るのだぞ?」

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