長い廊下の先で
長い、長い廊下だった。
周りに部屋なんてなくて、ただただ、ずーっと続いている廊下だった。
いつの間にか、祐と手を繋いでいた。
祐も、私と同じタイミングで気がついたようだ。
「お姉……これ、どういうこと?」
私も祐も、混乱状態だった。
「どの文献でもこんな現象は読んだことはないわね。」
とりあえず、歩いていくことに。
少し喋りながら、ややはや歩きで歩いていく。
すると祐が、
「ねえ、お姉。いつまで外面でいるの?」
と喋りかけてくる。
なんでも、祐の話によると、昔の私は、表情をよく変える、元気な子だったらしい。
口調も今みたいに丁寧じゃなかった……らしいが、多分それは母が死ぬ前の話だろう。
私の母は、とっくの昔に死んだ。
だから、母の振りをしていたのだ。
そのせいか、母の真似をしてしまっていたのだろうか。
素、ね……。
改めて、私はよく考えてみる。
そういえば、私はなぜ、人生最後を学校で過ごしたかったのだろうか。
答えはすぐ出た。
学校の私が、真似事をしていなかったから、だ。
確かに私は、学校では喋らなかった。
だから、母の口調を真似していなかった。
つまり、学校では真似事をせず、素でいられたから、なのだろう。
それを、祐は分かっていたのだろうか。
いや、違うな。
祐も、そうだったんだ。
確かに祐は、いつも丁寧な口調だ。
でも、学校では崩れた口調だった。
祐は、やっと気づいた、とでも言うように、ニコニコ笑って、
「やっぱり、僕とお姉は、一卵性みたいだよね!!」
と言った。
私……いや、僕も、
「そうだな!」
と言った。
私の素は、僕っ子。
男の子みたいな、女の子なのだ。
廊下の先を目指してから、もうどれくらいの時間が経っただろうか。
24時間は超えている気がする。
でも遂に、廊下の先に辿り着いたのだ。
そこには、一つのマウスがあった。
画面は前のテレビに映し出されている。
画面には、
転生?消滅?どちらか選ぶと良い。
神の情けだ、じっくり選びたまえ。
と書いてある。
偉そうでむかつくし、頭も悪そうだ。
だって、転生か消滅かだったら、転生しかないじゃないか。
当たり前だけど、祐も同じ考えのようだ。
そして僕達は、転生することになった――――。
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