そこは海の家というには、あまりに白すぎた。
海にある雑貨屋、と言った方がその外観を表しているかもしれない。
平らな屋根があって、中には様々な商品が積まれた白い棚が並んでいる。
母に連れられてきた私は、棚の森の間を歩いていた。
母はこの店に来るなり、カゴも持たずに店主と何か話し込み始めてしまった。
つまらないなぁ。
私はブラブラと店内を歩きながら、商品に目を通す。
ふらふらと揺蕩う視界は、色の褪せた商品を捉えては離すを繰り返していた。
「もう行こう」
棚の間を二周ほどした時、母が私を呼んだ。
私はまた大人しくその手を引かれる。
店主は、店を出る私たちに無表情で手を振っていた。
「……霊は、風邪と同じだよ」
そんな言葉を口にしながら。
「二度目に憑かれた方が、ずいぶんと酷くなる」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます