そこは海の家というには、あまりに白すぎた。


海にある雑貨屋、と言った方がその外観を表しているかもしれない。


平らな屋根があって、中には様々な商品が積まれた白い棚が並んでいる。


母に連れられてきた私は、棚の森の間を歩いていた。


母はこの店に来るなり、カゴも持たずに店主と何か話し込み始めてしまった。


つまらないなぁ。


私はブラブラと店内を歩きながら、商品に目を通す。


ふらふらと揺蕩う視界は、色の褪せた商品を捉えては離すを繰り返していた。


「もう行こう」


棚の間を二周ほどした時、母が私を呼んだ。


私はまた大人しくその手を引かれる。


店主は、店を出る私たちに無表情で手を振っていた。


「……霊は、風邪と同じだよ」


そんな言葉を口にしながら。


「二度目に方が、ずいぶんと酷くなる」

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