第26話 パワーワード

 友人のH氏が話してくれた

何年か前、ウィンタースポーツをやって、右手親指を痛めたそうだ

ストックを持ったまま、転んで、指をついたらしい

 

 親指の付け根が腫れている状態

仲間から、これは病院行ったがいいと言われ、H氏はF接骨院へ行った

 接骨院で診てもらうと、いかつい初老の院長が診察結果を説明しだした


「これは、この腫れを潰さないとだめだ」

「えっ」

 H氏の右手を抱えた院長は、自分の手をH氏の親指付け根の腫れに添えた

「じゃあ、いきますよ」

ギュー

「ぎゃー」


H氏は、それ以来、この接骨院には寄り付かなくなった

H氏の周りの仲間もそうだ


それにしても

真顔での「この腫れを潰さなきゃいけない」という言葉……


痛くて来院している患者にとっては、とんでもないパワーワードだったのであろう

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