第15話 ポーション素材
「4階層の素材は森の魔物だ。今のところ必要ない。」
「そうね。素材もたくさん手に入ったから一旦戻りましょう。その前にドローンを精錬しておきましょうか。沢山のゴーレムコアが手に入ったから。」
私は、ドローンを3機精錬した。ついでに、クロエの大剣を収納して精錬分析した後、ミスリルで同じ形の大剣を精錬してクロエに渡した。
クロエが、ミスリルの大剣は軽すぎると言うのでもう一度収納して、1.5倍の大きさの大剣にした。クロエよりも大きくなってしまったが、クロエはちょうどいいと喜んでくれた。
この大きさの両手剣をクロエは、時に片手で軽々と振る。すごい。
ダンジョンから2台のバイクで駆け抜ける。目の前で進路を遮る魔物は、クロエの大剣か魔術で屠られるか跳ね飛ばされた。長く大きくなったクロエの大剣がバイクから振るわれると後には、魔石になった魔物が残るだけだった。
あっと言う間に3・2階層を駆け抜け、1階層の入り口近くまできた。人目が多くなる前にバイクを収納して歩いてゴブリンタウンに入った。
たくさんの冒険者がゴブリンタウンの中にいた。多くは、ダンジョンで素材を集め、売り、生活の糧にしていた。このダンジョンは、今も成長していて、多くの富を与えてくれている。でも、ダンジョンが成長しているということは、たくさんの人の命が失われているということなのだ。ダンジョンの成長は、人や魔物の命を食らって起こるのだから。
ゴブリンタウンの外に出ると直ぐバイクを出し、森の外に向かって走り出した。森を出て草原に入るとクロエに合図を送ってバイクを止めた。
「どうした?」
クロエが聞いてきた。
「薬草の採集をしたい。できれば、毒消し草とポイズンスネークの毒袋と魔石も手に入れたいのだけど、クロエは採集できる?」
「おう。それは私たち初級冒険者の為のクエストだからな。ちょっと待ってろ。薬草は、この辺りの草原にも群生している。」
クロエが草原の中を走り、薬草を探してくれた。
「あった。」
一束の薬草を持ってクロエが戻って来た。
「これが薬草よ。」
「ありがとう。これでサーチができるようになるはず。」
「では、次は毒気し草。毒気し草とポイズンスネークは、私が採集してくるわ。ゴーレムバイクは索敵もできるのでしょう。護衛用のゴーレムを精錬してこの草原で薬草採集をしておきなさい。」
「クロエ一人で大丈夫なの?」
「この辺りの魔物で私を害することができる物はいない。大丈夫だ。」
「分かった。気を付けて。」
「うむ。行ってくる。」
私は、護衛用ゴーレムを精錬した。ロックゴーレムで十分だ。ゴーレムコアに魔力を充填し精錬したゴーレムにセットした。
「ゴーレム、私を護衛しなさい。」
ゴーレムはゆっくりと頷いた。
「サーチ・薬草」
草原にある薬草は、全て把握した。バイクで薬草が群生している場所に行ってはエアカッターで刈り取り、採集する。あっと言う間に使いきれないほどの薬草を採集した。
「ドローン、クロエにこの手紙を届けてくれ。」
私は、先にフォレストメロウの町に向かっていること書いた手紙をドローンに持たせた。護衛のゴーレムを収納しゴーレムバイクに指示を出した。
「ゴーレムバイク、安全速度全速でフォレストメロウの町へ。」
20分後には、フォレストメロウの町の門前に着いていた。ゴーレムバイクを収納して、真直ぐ冒険者ギルドに向かった。
正午を回ってほんの少ししか時間は過ぎていない。この時刻では、冒険者もまだ戻ってきていないためガラガラだ。
「こんにちは。教会のクエスト受けたいのですが宜しいですか?」
「はい。まだ、どなたも受けられたパーティーはおりませんから大丈夫です。」
「薬草一束とボアの魔石ですね。はい。」
私は、魔石と薬草一束を受付に出した。
「あら、もうお持ちになっていらしたのですね。」
「はい。これで私たちのパーティーにギルドポイントか付くのですね。」
「そうです。初級ランクを抜けるにはまだまだたくさんのポイントが必要ですが…。」
「あの…、もう少し採集してきたのですが、直接教会に卸すことはできますか?」
「まず、この薬草と魔石を査定してからです。品物が大丈夫のようでしたら、紹介状を書くこともやぶさかでございません。では、少々お待ちください。」
受付のお姉さんは奥へと下がっていった。私がぼんやりと待っていると後ろから声がした。
「早かったな。」
クロエだ。
「うん。サーチがうまく使えた。」
クロエは、毒気し草を20束程度とポイズンスネークの魔石を5個程手に入れたそうだ。これで、教会の神父様にポーションの作り方を教われば、作ることができるポーションの種類が増える。
「査定が終了しました。すべて上級です。あなたの希望通り紹介状をお書きしましょう。」
私たちは、紹介状をもって教会に向かった。ニコライ教会には、妹弟たちがお世話になっている。その繋がりは、今回のポーションづくりには役に立たない。妹弟たちは、今日私たちが引き取るからだ。みんな砦で暮らす。砦が私たちの家になる。それが、契約だから。
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