第27話「ヒーロー集結」

グランスタ王国ではパラディンオブナイトが、東京ではクロスセイバーがディアボロスに倒された。

このまま世界は暗黒の時代を迎えてしまうのか?


ふらつきながら何とか避難所に到着した寛太。

疲れ果てその場に座り込んでしまった。

「ハハッ……結局……オビトやセイラちゃんの力にはなれなかったな……情けないや……」

その時、寛太のスマホに電話が掛かって来た。

「ん?……もしもし?」

「ああ、やっと繋がった!寛太大丈夫か?」

それは寛太の父、博士(ひろし)からだった。

「父さん?あれ?何で?」

「いやぁ、電話回線がパンク状態でな……ずっと電話してたんだが繋がらなかったんだ。いや〜でも無事で良かった。今、何処にいる?」

「避難所に着いた所だよ……父さんも無事で良かった」

「そうか……今すぐ迎えをやる。家の地下シェルターの方が安全だから」

「ありがとう父さん……でも、僕は行かない」

「え?お前……何言ってるんだ?」

「今……友達が必死に戦ってるんだ……それにこの避難所に居る人達はどうなるの?僕だけ安全な場所でのうのうとしてられないよ」

「寛太……そうか……だが、本当に危なくなったらいつでも帰って来い」

「うん、ありがとう……」

寛太は電話を切る。

「さてと……僕も僕に出来る事をやるぞ……」


その避難所にも魔王軍が迫っていた。

「くっ……あいつら……よし!」

寛太は動いた。

今、自分に出来る事をする為に。


「皆ー!!ここは危ない!魔王軍だ!逃げて!!」

寛太の声を聞き人々は移動を始める。

「こっちだ!こっちに逃げて!」

寛太は人々の避難誘導を始めた。


避難する途中、一人の男の子が転んでしまった。

しかし、逃げる人の波に押され母親とはぐれてしまった。

「ボク、大丈夫?」

寛太が男の子に駆け寄る。

もともとお人好しな性格の寛太は困ってる人を見過ごせなかった。

「ママ〜」

男の子は泣き出してしまった。

寛太は必死に男の子の母親を探すがそれらしき人は見当たらない。

周りの大人達はこの泣いている子どもにも目もくれず我先にと逃げ出す。

こんな冷たい世間に寛太は腹が立った。

「クソッ……」

そして魔王軍が避難所に迫る。

逃げ惑う人々に襲い掛かる魔獣人や使い魔……。

「なんでだよ……何で皆……こんな酷い事が出来るんだよー!!」

寛太は魔王軍の非道な行為にも腹が立ったが、オビトやセイラと違い戦う力の無い自分を1番恨んだ。

そして、魔獣人の1体が寛太と男の子に襲い掛かる。

寛太は咄嗟に男の子に覆い被さる。

だが、何かが魔獣人を攻撃した。


「え?……何?」

そこには『冥王剣-デスギャリバー』が突き刺さっていた。

「これって……」

冥王剣-デスギャリバーは寛太に呼び掛ける様だった。

「俺に……力を貸してくれるのか?」

寛太は何かを感じ取り『冥王剣-デスギャリバー』を掴んだ。

すると、寛太の体は漆黒の鎧に包まれ魔剣士グールの姿に変わった。

「ウソッ?俺が……グールに?」

戸惑う寛太。

だが……。

地面に突き刺さった『冥王剣-デスギャリバー』を引き抜く。

「オーヴェルさん……俺に力を貸してくれるんですか?」

更に魔獣人が襲い掛かって来る。

「うぉぉぉぉぉ!!」

寛太はグールに力を借り魔獣人に立ち向かう。

「はっー!!」

デスギャリバーの一撃で魔獣人を倒す。


「オーヴェルさん……ありがとう!」

寛太はグールとして魔王軍と戦い始めた。

しかも、その精神は寛太の自我を保ったままで。

次々に使い魔や魔獣人を倒して行くグールに人々は歓声を上げ応援し始める。


寛太はそのままの勢いで避難所に迫る魔王軍を全て倒してしまった。

「凄い……俺にこんな力が……」


その頃、グランスタ王国では魔術士達がクロガネに回復魔法を掛けていた。

そのお陰でクロガネは目を覚ました。

「ここは……?」

「グランスタ王宮じゃよ」

「ロズチェス国王様!」

「ああ、そのままで良い。もうじき回復し終わるじゃろう……」

「私は……一体……あっ、そうか!私はディアボロスに……」

「ああ……」

「ディアボロスは何処に?」

「ディアボロスはどうやらオビト達の居る世界に向かったようじゃ……」

「じゃあ、オビト達が……」

クロガネは起き上がろうとする。

「ああ、動いちゃ行かん。まだ回復しきって無いんじゃから」

「くっ……しかし……このままでは……」

「分かっておる。回復が完了したらオビト達の元に戻って行くが良い。この世界は我々がなんてしても守る」

「国王様……」


東京では魔王軍を退けた寛太がオビト達の元に向かおうとしていた。

だが、その前に男の子の母親を探さなくてはならない。

「さて……君のお母さんを探さないとね」

「うん……」

「だったら……それは俺に任せな」

そう言って声を掛けて来たのは……。

工藤直樹だった。

「あなたは!?直樹さん!?何でここに?」

「人探しは探偵の得意分野……俺が引き受けるぜ」

「いやいやいや……まずあなたこの世界の人間じゃないでしょ?」

「ああ。この世界のピンチって聞いてな……みんなで助けに来たぜ」

「え?皆?」


魔王軍が暴れる各地で……。

グレイザー、ドライガー、星影……。

そしてBLADEの大谷達……。

この世界を救う為、それぞれの世界からジャスティーフォースのメンバーがやって来ていた。

(※ジャスティーフォースについては別の作品ジャスティーフォースを参照)

「魔王軍か……オビト君もとんでもない相手と戦ってるな……」

グレイザーが魔王軍に戦いを挑む。


そして……。

「やれやれ……どこの世界にも悪党ってのは居るんだな……」

ドライガーも魔王軍の別動隊と戦い始める。


「邪な輩め……成敗してくれる!」

星影も魔王軍に戦いを挑む。


そして寛太と直樹。

「じゃあ、皆さんこの世界の為に……」

「そういう事だ……ヒーローは助け合わないとな」

寛太と直樹の前にも次の魔王軍の部隊が攻めて来る。

「おっと……こっちも新手だ……」

直樹も『変身』

エクスカイザー登場。

「ここは任せな。お前はオビト達を探せ」

「はい……ありがとうございます!!」


「さぁ、悪党共……正義の鉄槌を喰らわせてやるぜ!」

エクスカイザーも魔王軍と戦い始める。


寛太は走る。

オビトとセイラを探して。

「オビト……セイラちゃん……無事で居てくれ……」


その頃、ディアボロスは……。

「ん?……別の世界のヒーローだと!?おのれ〜……」

ディアボロスはヒーロー達の登場を察知し怒りを露わにする。

「ディアボロス様、これより戦線に復帰致します。ヒーロー共はこの私が……」

そう言ってマジョーラが出てきた。

「マジョーラ……よし、任せたぞ」

「はっ!」


寛太はさっきの場所に戻りオビトとセイラを探す。

「オビト?セイラちゃん?何処ー?返事してー!!」

寛太は声を掛けながらオビトとセイラを探し続けた。


そして、寛太が見つけたモノは……。

頭から血を流し倒れているオビト……。

そして、完全に気を失っているセイラ……。

「そんな……オビト……セイラちゃん!!」

寛太が2人に駆け寄り声を掛ける。

だが、2人の反応は無い。

セイラを抱き起こす寛太。

「セイラちゃん……しっかりしてよ……こんな形で別れるなんて嫌だよ……俺……最近やっと気付いたんだ……セイラちゃんの事好きだって……だから……」

「寛太……ありがとう……」

「え?」

セイラは寛太の呼び掛けで気が付いた。

「ウソッ……今の聞かれてた……」

「うん……寛太の声……聞こえたよ……」

「ちょっ……やだな……恥ずかしい……」

「フフッ……ありがとう……」

「あっ、それより立てる?」

「うん……何とか……大丈夫そう……」

「そっか……じゃあ俺はオビトを……」

寛太は照れ臭そうにセイラから離れる。

「セイラちゃん……ヤバい……オビト……息してない……」

「えっ!?」

「早く病院に運ばなきゃ!!いや、それより……セイラちゃんの魔法で何とかならない?」

「大変……やってみる!」

セイラもオビトの元へ駆け寄る。


その頃、避難所で人々を守りながら戦うエクスカイザーの前にマジョーラが現れた。


「随分派手にやってくれたね……あんた、何者だい?」

「!お前は……どうやら幹部クラスのお出ましの様だな……」

「別の世界の奴が首突っ込んで来るんじゃないよ」

「それはお互い様だろ?」

「へぇ〜言うじゃない……」


エクスカイザーとマジョーラが対峙。

そして戦いは最終局面へ突入する。


続く……。

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