第26話「魔王降臨」

魔王城でギレースを倒したクロスセイバーはセイラを救出し、日本に戻って来た。

寛太と合流し急いで東京に帰る。


しかし、東京に近付くと既に魔王軍による侵略攻撃は始まっていた。

東京の街は瓦礫の山となっていた。

「酷い……これが東京なのかよ……」

家が壊され人々は行き場を失い絶望の表情を浮かべていた。


その頃、グランスタ王国でも東京と同じ様な状況に陥っていた。

一人の兵士がロズチェス国王の元へ。

「国王様、まもなく国民の避難が完了します」

「そうか、ご苦労。国民の避難が終わり次第戦闘体勢に入ってくれ」

「はっ!」


しかし、最前線で戦っているクロガネ率いる王国騎士団は壊滅寸前まで追い込まれていた。

「団長……もう我々には戦う武器も気力もありません……」

「くっ……情けない事を言うな!我らが敗北すればグランスタ王国は奴らの手に落ちるんだぞ!」

「しかし……」

クロガネももう体力の限界だったが、自分の気が折れれば騎士団全体の士気が下がる。

クロガネは意地でも弱音を吐かなかった。


だが、次々と襲い掛かる魔獣人達にいつまで兵力が持つかも分からなかった。


東京でも事態は同じだ。

警察や自衛隊が既に出動し魔王軍と交戦していたが、全く歯が立たなかった。


そして、寛太が車を走らせていると目の前は交通規制されていた。

一人の警察官が駆け寄って来る。

「ここから先は戦闘区域となっておりますので危険です。迂回して下さい」

「でも、僕達は……」

「はぁ……仕方ないわね……」

そう言ってセイラは車を降りる。

「え?おい……セイラ?」

そして、セイラは警察官達に魔法を掛け眠らせた。

「ごめんなさい。直ぐに解けるからちょっとだけ寝てて。行こっ!」

オビトと寛太は2人で……。

「あっ……はい……」

再び車を走らせる寛太。

「お前……強引だな……」

「仕方ないでしょ!」

「後で怒られるよ〜」


そして、警察や自衛隊が魔王軍と戦闘をしている現場に到着。

しかし、戦場は悲惨な物だった。

多くの警察官や自衛隊員が倒れ、その亡骸を魔王軍は構わず踏み付ける。

「酷い……魔王軍には全く歯が立たないのか……」

「まっ、この世界の普通の人間ならな……でも、ここからは違う……俺が参戦するからな!」

そしてオビトは『変身』

クロスセイバーが魔王軍の前に立ちはだかる。

「君は……」

自衛隊員の一人が尋ねるかな

「クロスセイバー……ここからは任せてくれ」

そしてクロスセイバーは2本の『クロスブレイカー』を手に魔王軍との戦いに挑む。


次々に魔獣人や使い魔を倒して行くクロスセイバー。

「凄い……彼は、まさに救世主だ!」


「でも、オビトもかなり体力を消耗してるはず……私も行ってくる」

セイラも飛び出して行く。

「あっ、ちょっと……もう……」

だが、使い魔の一人が寛太の車に襲い掛かる。

「うわぁー!?」

寛太は大慌てで車から逃げ出す。

「オビト!寛太が!」

「何っ!?おりゃ!!」

クロスセイバーは魔獣人を蹴り飛ばし寛太の救出に向かう。

そして寛太を襲っていた使い魔は斬り裂く。

「大丈夫か?」

「あっ……うん……」

「寛太、急いでここから離れろ」

「え?でも……」

「大丈夫。ここから先へは行かせないから」

「分かった。二人共気を付けて」

寛太は車に戻りその場を離れる。


「さぁ、魔王軍共、今日で決着着けてやるぜ!!」

クロスセイバーが『クロスブレイカー』の1本を魔王軍に向け挑発する。


その頃、グランスタ王国で戦っていたパラディンオブナイトは……。

「はっ!!」

負けじと魔王軍達と戦い続けていた。

「はぁ……はぁ……」

しかし、もういよいよ限界だ。

「クソッ……こいつらどんだけ居るんだ……」


「ほぉ……中々善戦している様だなパラディンオブナイト……」

「!!」

そこに現れたのは魔王ディアボロス。

「ディアボロス……貴様!!」

「だが、そろそろ限界の様だな……楽にしてやろう」

そう言ってディアボロスが人差し指をパラディンオブナイトに向けると、暗雲から雷撃がパラディンオブナイトを直撃。

「ぐわぁぁぁぁっ!?」

パラディンオブナイトはこのたったの一撃で倒れてしまった。

「戦士にとっての安息は……死だけだ……」

パラディンオブナイトが一撃で倒された事で他の騎士団員は完全に戦意を喪失。

「聞け、力無き者共よ……この世界……そしていずれは全ての世界を我の支配下とする。無駄な抵抗は辞めろ!」


そのディアボロスの声はこの戦場だけでなく、グランスタ王国中にも聞こえていた。


「ディアボロスめ……とうとう現れたか……」


そしてディアボロスは姿を消した。


東京で必死に魔王軍と戦うクロスセイバーとセイラの前にもディアボロスは現れた。

「中々頑張っているなぁ……クロスセイバー」

「ディアボロス!?」

「この世界も我の支配下とする。お前は邪魔だ」

「くっ……ふざけんなー!!」

クロスセイバーはディアボロスに斬り掛かる。

「フンッ!!」

ディアボロスは右手を前に突き出し衝撃波を放つ。

「うわぁぁぁぁっ!?」

クロスセイバーは一瞬で吹き飛ばされてしまう。

「オビト!?」

「魔法使いの小娘よ……貴様の魔力、我が魔王軍の為に使う気はないか?もし貴様が忠誠を誓えば命だけは助けてやるぞ?」

「くっ……ふざけないで!!」

セイラは『フレイムインパクト』でディアボロスを攻撃。

「その程度の魔法では、我にかすり傷すら与えられんわ!!」

ディアボロスは再び衝撃波を放ちセイラを攻撃。

「きゃぁぁぁぁっ!?」

クロスセイバーと違い生身のセイラには相当な大ダメージだ。

セイラはその場で気を失ってしまった。

「セイラ!?クソッー!!」

クロスセイバーは『ドラゴンフォーム』にチェンジして再びディアボロスに斬り掛かる。

「無駄だ」

ディアボロスは闇の魔力でクロスセイバーの動きを止める。

「クソッ!動けねぇ!!クソッ!!」

「竜王の息子よ……貴様の父上は確かに強力な魔力を持っていた。しかし、貴様程度では我に触れる事さえ出来ぬ」

そしてディアボロスはクロスセイバーに手を当て超至近距離で衝撃波は放った。

「ぐはっ!?」

クロスセイバーは大ダメージ。

変身が解除されオビトが倒れ込む。


更にその衝撃波の余波は街中に広がり寛太の車を襲った。

「うわっ!?」

ハンドルを取られ横転する寛太の車……。

「はぁ……はぁ……クソッ……」

寛太は何とか上になった助手席側のドアから脱出。

「今のは……まさか……オビトが……?」

寛太には嫌な予感がしていた。


「はぁ……はぁ……、テ……テメェ……」

「クロスセイバーよ……貴様は何度となく我が魔王軍に歯向かって来た。だが所詮、貴様はその程度だ。……そう言えば……この世界に来る直前貴様は我を追い詰めたと言っていたな……うぬぼれるな!!」

ディアボロスはオビトを蹴り飛ばす。

「ぐあっ!?」


グランスタ王国では生き残った騎士団員達がクロガネを王宮まで運んで来た。

「ロズチェス国王様、大変です!クロガネ団長が!!」

「何っ!?」

クロガネは雷撃のダメージで全く意識が無かった。

「直ぐに救護班を!医学でも回復魔法でもいいからとにかくクロガネを助けろ!!」

ロズチェス国王の命令でクロガネに対し直ぐに治療が開始された。


しかし、重大な戦力を失ったグランスタ王国にも魔王軍の魔の手が迫る。


東京ではクロスセイバーが……。

グランスタ王国ではパラディンオブナイトがそれぞれ倒された。

最早この2つの世界を救う方法な無いのかも知れない。


世界は魔王ディアボロスの手に落ちる……。


このまま世界は暗黒の時代を迎えてしまうのか?


続く……。

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