第24話「決戦、魔王城」

ギレースの策略によりセイラが拐われた頃、魔王軍はグランスタ王国を大軍勢を率いて攻撃を開始していた。


グランスタ王国では王国騎士団を率いてクロガネが魔王軍との戦いに出発。


「皆!これまでに無い大きな戦いになるだろう。しかし、我々は決して負ける訳にはいかない!魔王軍を必ず倒し、グランスタ王国に……いや、世界に平和を取り戻すぞ!!」

「おおー!!」

クロガネの言葉で士気を上げた王国騎士団がいよいよ戦場に向かう。


その頃、日本では……。

セイラが拐われた事で寛太とオビトはショックを受けていた。

だがそこに、ギレースの幻影が現れる。

「クロスセイバー……魔法使いの小娘を取り戻したければ魔王城へ来い。魔王城への入口をある場所に用意した。その場所まで明日来るがいい」

「ギレース!!一体どこだ!!」

そして、一人の使い魔がオビトの元へやって来て手紙を渡した。

「これは?」

手紙を渡すと使い魔はそそくさと帰って行った。

すると、ギレースの幻影を消えた。


オビトが手紙を読んでみると、明日の朝ここに来いと地図が書かれていた。

「寛太……これ何処だ?」

「この場所は……日高山……」

「明日、ここに連れて行ってくれ」

「勿論。バイトに休みの連絡しておくよ」

「そうだな。おっちゃん悪いんだけど……」

「ああ、分かってるよ。皆まで言うな。明日は休んでいいから、絶対生きて帰って来いよ」

「ありがとう」


そしてその頃、グランスタ王国では……。

一般兵士は国民を王宮の避難所へ避難させていた。

そして、クロガネ率いる王国騎士団は魔王軍と激しい戦闘を始めていた。


クロガネはパラディンオブナイトに変身し、使い魔や魔獣人を次々に倒して行く。

だが、圧倒的な敵の数に王国騎士団も次第に追い詰められる。

「うわぁぁ!!」

一人の騎士が魔獣人の攻撃でピンチに!

パラディンオブナイトが魔獣人を切り裂き何とか救出。

「怯むな!敵に隙を見せたら終わりだ」

「は、はい!」

しかしこの敵の数、今までとは比べ物にならない程の攻撃を何故今仕掛けて来たのか。

クロガネはそれが気になっていた。


パラディンオブナイトを攻撃する魔獣人達。

「ぐわっ!?」

「パラディンオブナイトを討ち取れば魔王様から褒美が貰えるってよ!」

「ならパラディンオブナイトを倒すのは俺様だ」

「バカ言うな。俺だ!」

「生憎だが、俺はお前達ごときに負けるつもりは無い!」

パラディンオブナイトが魔獣人達と戦う。


その頃、オビトは明日の戦いに向け準備していた。

セイラが居ない以上負傷しても回復が出来ない。

そこで薬等を大量に買い込んでいた。

「寛太、後何が要ると思う?」

「う〜ん……傷薬あるし……火傷に効く薬もあるし……解毒剤とかは薬局じゃ買えないしなぁ」

「え?この世界には解毒剤無いのか?」

「無いよ!そもそも毒を食らう事なんてそう無いし、毒を食らったとしても普通病院に行くもん……あっ!」

寛太は何かを思い出し薬を取りに行った。

「これあったら何かの役に立つかも」

そう言って寛太が持って来たのは虫刺されに効く塗り薬だった。

「お、おう……」


グランスタ王国では騎士団と魔王軍の戦いは一晩中続き、兵士達は疲弊しきっていた。


「はぁ……はぁ……まずいな……こちらには体力の限界がある……今一気に攻め込まれたら……」

パラディンオブナイトにも限界が来ていた。


その頃、日本ではオビトと寛太が魔王城に向かう準備を整えていた。

「よし……行くぜ!」

「うん。オビト、気を付けてよ」

「ああ」

そして寛太の運転で出発。

「おーい!こっちこっち!」

たこ焼き屋の店主が現れた。

「おっちゃん、どうしたんだ?」

「お前らこれから戦いに行くんだろ?だったらコレ持ってけ」

そう言って店主は熱々のたこ焼きを差し出した。

「あっ!たこ焼き!おっちゃん、わざわざ用意してくれたのか!」

「ああ、ウチのたこ焼きは栄養満点!体力回復に持って来いだ!これ食べて頑張れよ!」

「ありがとう……」

「あっ、じゃあ、お金……」

寛太が財布を出そうとする。

「ああ〜良いって良いって。これは俺からの気持ちだ。必ず勝ってセイラちゃんと一緒に3人で帰って来いよ」

「うん!」


たこ焼き屋の店主からたこ焼きと元気を貰いオビトと寛太は決戦の地へ向かう。


-日高山-


「う〜ん……地図だとこの辺だけど……」

「……あれみたいだぜ」

「え?」

そこには使い魔がいた。

どうやら案内人の様だ。

使い魔の案内に従い向かうとそこには異空間へ続く穴が……。

「これが……魔王城への入口……」

「オビト……」

「寛太はここで待っててくれ。必ずセイラを連れ戻して来るから」

「分かった……僕が居てもしょうがないもんね……後は任せたよ」

「……寛太、俺達がこの世界に初めて来た時、助けてくれてありがとうな」

「え?何急に……」

「いや……一応言っておかないと……帰って来れなかった時後悔するし……」

「そんな……止めてよ……」

「お前お人好しだし……見ず知らずの俺達に手を差し伸べてくれた……本当に感謝してる……」

「止めろって」

「寛太、サンキューな!じゃあ行ってくるぜ!!」

オビトは異空間への穴の中に飛び込んだ。

「オビトー!!必ず帰って来いよー!!」


異空間への穴を抜けると直ぐ目の前には魔王城……。

「着いたか……」

オビトは魔王城に向かって突き進む。


その様子を見ているギレース。

「フフフッ……やって来たな……では私も出迎えてやるか……」


オビトは魔王城に到着。

すると、魔王城の扉が開いた。

「誘ってるのか……上等だ!」

オビトはとうとう魔王城の中へ……。

「確か、前に来た時は真っ直ぐ突き進んだよな?ここも同じ作りだといいが……」

オビトはひたすら真っ直ぐ突き進む。

その途中、ギレースが現れた。

「!ギレース!!」

「やぁ、ようこそ魔王城へ……今日は迷子にならなかった様だね」

「はぁ?テメェおちょくってんのか!!」

「いやいや、そんなつもりはないよ。さて、ここを真っ直ぐ行けば魔王様の元に辿り着く。だが、その前に私と戦って貰おう」

「この奥に……ディアボロスが……なら……お前は消化試合だ!!」

オビトは『変身』

クロスセイバーがギレースに斬りかかる。

「舐められた物だ……」

ギレースも『冥王剣-デスギャリバー』で応戦。

クロスセイバーは怒涛の攻撃を仕掛けるがギレースはその攻撃を全て受け流す。


「くっ……」

「そんな単調な攻撃避けきれるに決まってるだろ?少しは頭使えよ」

「このやろー!!」

怒りに任せたクロスセイバーの攻撃はギレースに軽くかわされる。

「だから……攻撃が単調なんだよ!!」

ギレースの反撃。

デスギャリバーで斬り裂かれるクロスセイバー……。

「ぐあっ!?」


グランスタ王国でも激しい戦いは続いていた。

既に多くの兵士が傷付き倒れて行った。

「くっ……敵の数が……多すぎる……」

魔獣人がパラディンオブナイトに襲い掛かる。


デスギャリバーに斬られ大ダメージを受けたクロスセイバーは倒れ込んでいた。

「はぁ……はぁ……クソッ……」

「フフフッ……クロスセイバー……お前はここで死ぬ……だが、死ぬ前に良いことを教えてやろう」

「何だと!?」

「今、お前の故郷グランスタ王国にも魔王軍の大軍勢が攻め込んでいる……」

「何っ!?」

「クロガネはそっちの対応に追われ大忙しだろうな……これでお前との戦いを邪魔されないと言う訳だ。更にグランスタ王国の侵略出来て正に一石二鳥……ディアボロス様もさぞお喜びになるだろう」

「テメェ……グランスタ王国を……許せねぇ!!」

クロスセイバーの怒りが爆発。

『ドラゴンフォーム』にチェンジ……出来ない。

「何っ!?」

「私が何の対策も無しにお前を魔王城に来させると思うか?この空間には魔封じの結界を張ってある。お前に竜王子の力を使わせない為になぁ」

「くっ……ドラゴンフォームの対策も万全って訳か」

「そうゆう事……だが、私は違う……私は思う存分魔力を行使出来る……」

「何っ!?」

ギレースはクロスセイバーを別の空間に飛ばした。

「うわぁぁぁっ!?」

そしてやって来たのは……。

「うわっ……寒っ!?何だここは?」

極寒の空間だった。

「その空間は特に寒くてねマイナス50度だ。直ぐに全身凍るよ」

「ギレース!テメェ!正々堂々と戦え!!」

「正々堂々だって?ヘドが出るわ!!戦いにおいては相手を如何に罠にハメ苦しめるか……それが戦いの掟だ!」

「クソッ……ドラゴニルとはエラい違いだぜ……」

「ドラゴニル?ああ、居たなぁそんな奴……アイツも戦士の誇りだ何だのって暑苦しかったなぁ……死んでくれてせいせいしているよ」

「貴様ー!!」

そしてギレースがクロスセイバーの前に現れる。

「寒いからねぇ……一撃で終わらせてあげるよ」

ギレースが『冥王剣-デスギャリバー』でクロスセイバーを斬り裂く。

「ぐわぁっ!?」

クロスセイバーは大ダメージを受け変身が解除。

その場で倒れ込んでしまった。


「ぐぅ……」

「まだ息があるか……ならこのまま凍え死んでしまえ……」

ギレースは姿を消す。

オビトは凍えて体の自由が利かない。

このままでは本当に凍え死んでしまう。


続く……。

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