第22話「竜戦士の墓標」

ドラゴニルに決闘を申し込まれたクロスセイバー。

激しい攻防を繰り広げ遂に『ドラゴンフォーム』にチェンジ。

ドラゴンフォームにチェンジした事でクロスセイバーの手に2本の『竜王剣−ドラゴブレイカー』が出現。

「それが竜王剣か……その力があればギレースの冥王剣にも対抗出来るはず……」

ドラゴニルがクロスセイバーに襲い掛かる。

クロスセイバーも迎え撃つ。

再び激しい攻防を繰り広げる両者。

するとドラゴニルがクロスセイバーの右腕を掴んだ。

「喰らえ!!」

ドラゴニルが火球でクロスセイバーを攻撃。

「うわっ!?」

クロスセイバーが怯んだ隙に『ドラゴブレイカー』を1本奪う。

「よし!貰ったぜ……」

「くっ……」

「さぁ、ドラゴブレイカーよ!俺にも竜王の力を!!」

ドラゴニルに答える様に『ドラゴブレイカー』は真っ赤に輝き出す。

「なるほど……あの剣は同じ竜族のドラゴニルなら扱えると言う訳か……」

離れた所でギレースが傍観していた。


ドラゴニルが『ドラゴブレイカー』の必殺技『ドラゴインフェルノ』を使いクロスセイバーを攻撃。

竜の炎がクロスセイバーを襲う。

「ぐわぁぁぁっ!?」

「おお!!これは凄い……勝てる……勝てるぞ!!」

「オビト!!」

セイラと寛太は叫ぶ。


「くっ……俺は……負けねぇ!!」

クロスセイバーは炎を吸収。

「何っ!?」

「ハァ……ハァ……なるほど……この竜の鎧はこんな事も出来るのか……」

「チッ……俺達は互いに炎属性の竜族……このままでは決着が着かん……」

「いや、そんな事は無いぜドラゴニル……俺はまだまだこの力を引き出せてはない……お前との戦いが俺をもっと強くしてくれるんだ……だから決着は必ず着く!」

「フンッ……それは俺も同じ事だ!やはり貴様は俺様の最大のライバルの様だな!!」


「ああ!」

クロスセイバーとドラゴニル……。

敵対しながらもお互いをライバルとして実力を認め合っている様だ。


「なんか……不思議とオビトも楽しそうだな」

寛太が呟く。

「え?」

「そりゃあ、クロスセイバーの仮面に隠れてて表情は分からないけど……なんかお互いにライバル同士戦いを楽しんでる様に見える……敵としてと言うよりライバルとしてね……」

「敵としてじゃなく……ライバルとして……男の子ってそういうの好きよね」

「フフッ……確かに……なんて言うか……こう……胸が熱くなるんだよな。多分、2人もそうじゃないかな」


「俺の力はまだまだこんなもんじゃねぇ!!行くぞ!!」

ドラゴニルが再び襲い掛かって来る。

「来い!!」

2人はまた激しい戦いを繰り広げる。

それを見て何かを感じたセイラ……。

「そっか……魔王軍だから敵って決め付けてたけど……戦士としては敵って言うよりライバルなんだ……オビトとはずっと一緒に居たのに……気づかなかったな……」


「クロスセイバー!お前との戦いは血が滾る!!最高に胸が熱くなるぜ!!」

「ドラゴニル……ああ!俺もだ!!」


その戦いは魔王城でディアボロスもマジョーラも見ていた。

「ドラゴニル……何か楽しそうね……」

「フンッ……くだらん……」


そこへクロガネが到着。

「すまん!遅くなった!」

「クロガネさん!?」

「オビト……待ってろ!加勢するぜ!」

「待ってクロガネさん!」

セイラがクロガネを制止する。

「え?何で?」

「この戦いは2人だけで決着を着けさせてあげて」

「はぁ?」

「クロガネさん!お願いします!」

寛太も必死にクロガネに頼み込んだ。

「良く分からんが……分かったよ」

「ありがとう、クロガネさん!」


クロスセイバーも必殺技『ドラゴインフェルノ』を発動。

それに対しドラゴニルも再び『ドラゴインフェルノ』を発動。

お互いの必殺技が激突し相殺。


「ハァ……ハァ……や、やるな……ドラゴニル……」

「ああ……お前もな……クロスセイバー……」


もはや2人が敵同士と言う事を忘れ、クロスセイバーもドラゴニルも、応援しているセイラも寛太も。

そしてクロガネも……。

2人の戦いを楽しんでいた。

もっと違う出会い方をしていたら2人はお互いを高め合う良きライバルになれたかも知れない。

誰もがそう思っていた。

だが、クロスセイバーと魔王軍の一員である立場上どちらかが死ぬまで戦わなければならない。


だが、ギレースだけはこの戦いに苛立ちを覚えていた。

「くっ……いつまで掛かる気だ!さっさと決着を着けろ!」


そしてドラゴニルは……。

「クロスセイバー……お前は強い……だからもっと本気を見せてみろ!」

そう言って『ドラゴブレイカー』をクロスセイバーに返す。

「え?」

「その2本の剣が揃ってこそお前は最強だ……そして、その最強のお前に俺も俺自身の最強の剣で決着を着ける!」

そう言うとドラゴニルは腰の剣を抜いた。

ドラゴニルの愛剣『ドラゴンブレード』だ。


ドラゴニルが剣を抜いた事にはマジョーラやディアボロスも驚く。

「あの剣は……ドラゴニルがあの剣を抜くなんて……」

「それだけ奴は本気と言う事だ。かつて奴はあの剣1本で国を1つ滅ぼした事がある。その強大過ぎる力故に奴自身もそう使う事は無かった……。だが、クロスセイバーの持つドラゴブレイカーに対抗する為にはそれしかない……かつて竜王のライバルと言われたドラゴニルの父の様に……互いの息子が己の最強の剣で決着を着ける時の様だ……」


「クロスセイバー、この剣は俺の父の形見だ……これで竜王子のテメェに勝つ!」

「分かった。ならこれで決着だ」

すると、クロスセイバーの元に戻った『ドラゴブレイカー』は『ドラゴンブレード』に反応した。

「これは!?ドラゴブレイカーが共鳴しているのか!?」

そして、ドラゴブレイカーは互いに引き寄せられ合体。

1本の大剣に変化した。

「これが……ドラゴブレイカーの本当の姿……」

「ほぉ……これでようやく本気と言う訳か……」


そしてギレースは……。

「クロスセイバーは……この戦いの中で真の力に覚醒したと言う事か!?」


「ドラゴニル……決着の時だ!」

「へっ!長かったお前との戦いもこれで最後か……楽しかったぜ!!」

ドラゴニルは『ドラゴンブレード』にエネルギーを集め斬撃を放つ。

必殺技『ドラゴンファイナル』で攻撃。

クロスセイバーは必殺技『タイラントスラッシュ』を発動。

『ドラゴンファイナル』の斬撃諸共ドラゴニルを切り裂く。

「ドラゴニル……これで終わりだー!!」

「クロスセイバー!!」

クロスセイバーの最大の必殺技を受けドラゴニルは大ダメージを受けた。

だが、ドラゴニルはまだ生きていた。

「ハァ……ハァ……」

「何っ!?」

「まさか……生きてるとは思わなかったぜ……だが……もうお互い戦う力は残ってないだろ……今日はここまでだな……」

「ああ……そうだな……俺ももう限界だ……決着はまた今度だな……」

「クロスセイバー……楽しかったぜぇ……」

「へへっ、ああ、俺もだ」


だが、そこに水を差す様にギレースが現れる。

「やれやれ……壮絶な戦いを長々と繰り広げたと思ったらこのザマか……」

「ギレース!テメェ!俺達の戦いを愚弄する気か!!」

「そう言う暑苦しいのが目障りなんだよ」

「ぐあっ!?」

その瞬間ここに居る全員に衝撃が走った。

ギレースは『冥王剣−デスギャリバー』でドラゴニルを貫いたのだ。

「弱い奴に……用はない……消えろ」

更にギレースはそのままドラゴニルを切り裂きトドメを刺した。

「ぐわぁぁぁぁっ!?」


「ドラゴニル!?」

ギレースのこの行為はディアボロスの怒りを買った。

「ギレース……遂に本性を表したな……マジョーラ!」

「は、はい!」

ディアボロスのあまりの剣幕にマジョーラもビビる。

「ギレースは調子に乗り過ぎた……奴を消すぞ」


ギレースはドラゴニルにトドメを刺し姿を消した。


あれだけ激しい戦いを繰り広げたドラゴニルに対するギレースの行いはあまりに非道でオビト達は怒りを露わにした。

せめて、ドラゴニルの魂だけでも救いをとこの場所にドラゴニルの墓標を立てる。

「ドラゴニル……安らかに眠れ……」

「ギレース……アイツだけは許せない……」

「うん……」

「アイツは俺が必ず倒す……覚悟してろよ!ギレース!!」


続く……。

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