世界の運命

第21話「最強!竜剣士誕生」

クロスセイバーは赤い竜の形を模した鎧を身に纏い新たな姿『ドラゴンフォーム』へと進化した。


「何だ!?その姿は!?」

ギレースも驚く。


そしてこの戦いを魔王城から見ていたドラゴニルも……。

「何だと!?奴は……竜王子の力をクロスセイバーの状態で引き出したってのか!?」

「ディアボロス様、これは!?」

「……」

マジョーラが尋ねるがディアボロスは黙っていた。


「くっ……そんなまやかしで……俺が負けるか!!行け!ゴーストキマイラ!クロスセイバーを倒せ!!」

ゴーストキマイラはパラディンオブナイトからクロスセイバーに攻撃対象を変更した。

ゴーストキマイラがクロスセイバーに襲い掛かる。

「失せろ……」

クロスセイバーの手に新たな武器『竜王剣−ドラゴブレイカー』が出現しゴーストキマイラを一撃で切り裂く。

ゴーストキマイラは竜の業火に焼かれ消滅。


「バカな……冥界融合獣が一撃で!?」

そしてクロスセイバーはギレースに剣を向ける。

「次は貴様だ」

「ぐっ……フンッこっちにはデスギャリバーが手に入った。目的は果たした!」

そう言ってギレースは姿を消した。


クロスセイバーは変身を解除。

「オビト!!」

セイラが駆け寄る。

「セイラ!大丈夫か?」

「うん……お師匠様は!?」

オビト、セイラ、クロガネ、寛太がオーヴェルに駆け寄る。

だが、既にオーヴェルに息は無かった。

「お師匠様……お師匠様ー!!」

セイラは泣き崩れた。

「オーヴェルさんは……弟子のお前達の立派になった姿を見てから息を引き取ったんだ……安心して旅立てると思うぞ」

「でも!お師匠様が死んじゃったら意味が無い……まだ……教えて欲しい事がいっぱいあったのに……」


それから数日後、オーヴェルの葬儀はグランスタ王国で行われた。

この葬儀には特別に寛太も参加させて貰えた。

多くの人が悲しみに暮れる中、オビトだけは泣かなかった。

泣いてばかりいたらオーヴェルに叱られる様な気がしたからだ。

オーヴェルの遺体はグランスタ王国のやり方で埋葬される。

オーヴェルの遺体が入った棺には参列者達が1本ずつ花を手向けた。

「お師匠様……魔王軍は必ず倒します……俺達がこの戦いに決着を着けます」

オビトはオーヴェルに誓った。

長きに渡る魔王軍との戦いに必ず決着を着けると。


葬儀が終わり寛太の家に戻ったオビトとセイラだが、急に脱力感が襲い塞ぎ込んでしまった。

「2人共……今日は疲れたでしょ。ゆっくり休んでよ。俺が何か美味しい物作るからさ」

「ああ……悪いな……」

「ごめんね……気を使わせて……」

「何言ってんの、ちょっと待ってて」

寛太は2人の気持ちを察して少しでも元気付けようと料理を作り始めた。


その頃、グランスタ王国ではクロガネがロズチェス国王に報告をしていた。

『冥王剣−デスギャリバー』がギレースの手に渡ってしまった事。

そしてクロスセイバーが竜の力を覚醒させた事を。

「クロガネよ……魔王軍との戦いはこれから更に激しさを増すだろう……だが、我々の力は奴らに対して余りに無力だ……オーヴェル程の魔術師を失ったのも痛い……だが、それでも……我々は負ける訳にはいかんのだ……オビトとお前の力が必要不可欠だ。これからも頼んだぞ」

「はっ!必ずやオーヴェルさんの分も戦い抜いてみせます!」

クロガネは戦いの決意を更に強めた。


翌日、オビト達はそれぞれバイトに出掛けて行った。

オビトはたこ焼き屋に訪れる。

「おっちゃん、何日も休んで悪かったな……」

「おう、オビト君か。大変だったな……知り合いが亡くなったんだってな……」

「うん……でも、いつまでの悲しんで居られないから。俺、今日からまた頑張るから!」

「おう!じゃ、届きた材料を運ぶの手伝ってくれ」

「オッケー!」

オビトはバイトを再開。


セイラも寛太もそれぞれまたバイトを始め普段の生活に戻り始めた。


その頃、魔王城では……。

「遂に手に入れたぞ……冥王剣−デスギャリバー」

ギレースは『冥王剣−デスギャリバー』を眺め上機嫌の様だ。

「ギレースの奴、また調子に乗り出すな……」

「そうね……私達もそろそろ手を打たないと危ういかも知れないわ……」

ドラゴニルとマジョーラはギレースが冥王剣を手に入れた事を快く思って無かった。

「にしても……まさかクロスセイバーが竜王の息子だったとはな……」

「それも驚きね……同じ竜族の戦士としてはクロスセイバーを放っておけないんじゃない?」

「ああ、同じ竜族として奴と戦いたい……竜の血が騒いでしょうがねぇ」

「ならば心ゆくまで戦って来るがいい」

ディアボロスが声を掛ける。

「ディアボロス様……はっ!」

ディアボロスに促されドラゴニルが出撃。


オビトはいつもの調子でたこ焼きを焼いていた。

「オビト君、それ焼き上がったら休憩入っていいぞ」

「分かった。もうちょいで終わる」

「あっ、そうだ。オビト君、もうすぐ秋祭りがあってウチも出店しようと思ってるんだが、手伝ってくれるかい?」

「秋祭り?」

「ああ、毎年秋に収穫をお祝いするお祭りがあってな。色んな出店が出るんだ。ウチもその1つって訳だ」

「へぇ〜、面白そうだな。やるやる!」

「んじゃ、期待してるぜ!」


そしてオビトは休憩に入る。

「祭りかぁ……セイラと寛太も誘うかな」


そしてその夜、セイラはバイトを終え帰っていた。

「見つけたぞセイラ」

声がした方を振り向くとそこにはドラゴニルが……。

「ドラゴニル!?」

「一緒に来てもらうぞ……」

ドラゴニルがセイラを襲った。


その頃、オビトは家に帰った。

「ただいまー」

「あっ!オビトお帰り。ご飯出来てるよ」

寛太が先に帰っていた。

「おう……セイラは?」

「まだ。でも珍しいね、セイラちゃんがこんなに遅いなんて……」

そんな会話をしていると外で突然爆発。

「何だ!?」

慌てて窓から見てみると……。

街で火柱が上がっていた。

そして空に投映されるドラゴニルの幻……。

「クロスセイバー!俺が見えているか?魔法使いの小娘を預かった!返して欲しければ明日の正午指定した場所に来い!場所は使い魔を向かわせた。ソイツらに聞け」

そう言ってドラゴニルの幻は消えた。

「使い魔だと……」

「オビト、あっちに行ってみよう」

「ああ!」

寛太が車を出し火柱が上がった方へ向かってみる。

すると前から使い魔が現れた。

オビトが降りると、その使い魔はドラゴニルから預かった果し状をオビトに渡す。

すると、その使い魔は戦う事なく姿を消した。

オビトが果し状を読むと……。

そこには決闘の場所が印されていたが……。

「寛太……これ何処だ?」

「……やっぱり……」


仕方なく翌日寛太が車でオビトを送って行く事に。

寛太もオビトもバイトを休む事になってしまった。


寛太の運転で決闘の場所に到着。

それは周りには何もない採石場だった。

「良く来たなクロスセイバー!」

ドラゴニルが待ち構えていた。

「ドラゴニル!セイラは無事なんだろうな?」

「ああ、お前が来た以上この小娘に用はない。返してやるよ」

ドラゴニルは意外にもあっさりセイラを解放した。

「え?いいの?」

「ああ、ただし、これから俺とクロスセイバーの真剣勝負。魔法での手助けは無しだぜ」

「分かったわ……」

セイラはオビトと寛太の元に帰って来た。

「セイラちゃん大丈夫?」

「うん……別に大丈夫……でもオビト、気を付けて。ドラゴニルはオビトとの真っ向勝負を望んでる……私は魔法でサポートが出来ない」

「ああ、構わねぇよ……ドラゴニル!今日こそ決着を着けようぜ!!」

「おう!同じ竜族の戦士としての真剣勝負だ!全力で行くぞ!」

オビトは『変身』

クロスセイバーが登場。

ドラゴニルがクロスセイバーに襲い掛かる。

「行くぞ!クロスセイバー!!」

クロスセイバーも真っ向から迎え撃つ。

お互い激しい攻防を繰り返す……。

「どうしたクロスセイバー……早く使えよ……竜王子の力を……」

「なるほど……それがお望みか……」

クロスセイバーはドラゴニルを蹴り飛ばし距離を取る。

「上等だ!見せてやるぜ!!」

クロスセイバーは竜の力を開放。

真っ赤な炎がクロスセイバーを包むと……。

クロスセイバーは『ドラゴンフォーム』となった。

「なるほど……それが竜王子の力か……」


ドラゴニルも本気で挑んで来る。


続く……。

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