第20話「オーヴェルの意思」

家に帰ったオビトはオーヴェル達からドラゴンになっていた間の話を聞かされる。

「俺がドラゴンに!?」

「そう……本来ならお前を人間として育てるつもりだったが、こうなった以上全てを話そう」

「お師匠様……」

そして、オビトはオーヴェルから自分が竜王の息子であり、人間とのハーフでもある竜王子である事を説明される。

更に『クロスチェンジャー』はオビトの強大過ぎる魔力を封じる為に装着されていた事も知らされる。

「そっか……クロスチェンジャーを破壊されたから俺、ドラゴンになっちまったんだ……」

「だが大丈夫。クロスチェンジャーも修理したし、更に以前よりパワーアップさせてある」

「パワーアップって?」

「それは後のお楽しみだ」

「はぁ?」


その頃、魔王城では……。

「くっ……冥王剣さえ手に入れば……クロスセイバーなど……」

ギレースはかなり苛立っていた。

そこへドラゴニル。

「よぉ!ギレースどうしたんだ?パラディンオブナイトにやられてのこのこと帰って来たのか?」

「くっ……黙れ!!貴様と一緒にするな!!」

「何だと!?テメェ!!」

「今に見てろ……必ず冥王剣を手に入れ貴様など直ぐに蹴落としてやるからな!!」

ギレースはドラゴニルにキレて行ってしまった。


オーヴェルから話を聞いたオビトはニュースで街の被害状況を見てすっかり落ち込んでいた。


「オビト、元気無いわね……」

「仕方ないよ……自分がドラゴンで街を破壊したなんて知っちゃったら……」

「こうなるとは思っていたが……話さんわけにもなぁ……」

セイラ、寛太、オーヴェルはオビトを見守るしか無かった。

「あれ?そういえばクロガネさんは?」

「クロガネさんならグランスタ王国に戻るって」

「そう……よし!」

寛太がオビトに近付く。

「ねぇオビト、お腹空いてない?何か作ろうか?」

「寛太……俺はいい。腹減ってない……」

「ウソだろ!?オビトに食欲が無いなんて……」

寛太も衝撃を受けた。

そしてオビトは立ち上がる。

「わりぃ、俺ちょっと寝るわ……」

そう言ってオビトは部屋に入って行った。

オビトはベッドに横になるがずっと考え事をしていた。


その間、寛太、セイラ、オーヴェルは今後の事について話合う。

「オビトがあの状態でまともに戦えるかな?」

「かなりショック受けてるみたいだしね……」

「だが、これからの魔王軍との戦いにはオビトの力は必要不可欠だ。オビトにも戦ってもらわねば」


その頃、ギレースは街に繰り出した。

「冥王剣さえ手に入れれば私は最強だ……」

ギレースは使い魔達に街の人々を襲わせる。


「魔王軍が暴れ始めた!」

セイラは魔王軍の出現を察知。

「来たか……」

寛太がオビトの部屋に行く。

「オビト、魔王軍だよ?」

だがオビトからの返答は無い。

「仕方ない。ここは私が……」

「お師匠様……でもグールにはもう変身出来ないんじゃ?」

「ああ、既に魔剣士の鎧は無い。だが、冥王剣ならある。これで……」

「お師匠様……なら私が魔法でサポートします」

「うん。よし行くぞ」

「寛太、オビトをお願い」

「うん……気を付けて……」

オーヴェルとセイラは現場に向かう。

クロガネもグランスタ王国から魔王軍の出現を察知し戻る。


セイラ達が現場に到着すると使い魔達が無差別に人々を襲い多くの人が倒れていた。

「酷い……」

「ギレース!貴様!!」

「ん?ようやく来たか。オーヴェル……貴様の冥王剣頂くぞ」

「冥王剣だと!?貴様……まさかそれだけの為にこんな事を……」

「ああ、人間共を襲えばお前達はやって来ると思ったからな」

「そんな事の為に……何の罪も無い人々を?許せない……」

「何とでも言え。所詮人間等その程度の生物だ」

「ギレース!貴様……冥王剣を狙うのは勝手だが、貴様の命も懸かっている事を忘れるな!!」

「フンッ……やれ」

ギレースの命令で使い魔達がオーヴェルとセイラに襲い掛かる。

オーヴェルは『冥王剣−デスギャリバー』を取り出し戦う。

セイラも『フレイムインパクト』を連発し使い魔に攻撃。


その頃、寛太は……。

「オビト、魔王軍が出たんだよ。戦ってよ!」

「寛太……でも俺は……また誰かを傷つける様な気がして……」

「大丈夫!オビトはオビトじゃない。これまでクロスセイバーとして戦って来たんだから!」

「寛太……」


オーヴェル達が戦っている所にクロガネも到着。

「すみません、遅くなりました!」

クロガネも『変身』

パラディンオブナイトに変身し使い魔達と戦い始める。

「やはり現れたか……厄介な奴め……」

そう言うとギレースは冥界の三銃士の魂を出現させた。

「我が一族に伝わる秘術を見せてやろう……」

ギレースは『霊魂融合の術』を使い三銃士の魂を融合させた。

「何だ!?」

現れたのは三銃士が1つになった姿の怪物。

冥界融合獣ゴーストキマイラ。

「あれは……三銃士が合体したのか!?」

「パラディンオブナイト……貴様の相手はコイツだ」

ギレースはゴーストキマイラをパラディンオブナイトに差し向ける。

パラディンオブナイトは応戦。

しかし三銃士の力が1つになったゴーストキマイラは強い。

パラディンオブナイトは苦戦。


「クロガネさん!!」

セイラがパラディンオブナイトの援護に向かおうとする。

しかし後ろから使い魔が襲い掛かる。

「セイラ!!」

オーヴェルが使い魔を倒しセイラを助ける。

「お師匠様!?」

だが……。

「ぐあっ!?」

ギレースがオーヴェルの背中を鋭い爪で刺した。

「隙を見せたな……オーヴェル……」

「お師匠様!?」

「ギ……ギレース……貴様……」

更にギレースはセイラを吹き飛ばす。

「きゃっ!?」

「言っておくが……回復魔法は使わせない……」

「くっ……」

そしてギレースはオーヴェルから『冥王剣−デスギャリバー』を奪い取る。

「これさえ手に入れれば貴様に用はない……」

ギレースは『冥王剣−デスギャリバー』でオーヴェルを切り裂く。

「ぐわぁっ!?」

「お師匠様ー!?」

「!オーヴェルさん!!」

パラディンオブナイトがゴーストキマイラを払い除けオーヴェルの元へ走る。

「オーヴェルさん!大丈夫ですか!?」

そして使い魔達がセイラを捕え回復魔法を使う邪魔をする。


その頃、オビトは寛太に励まされ続けようやく部屋から出てきた。

「オビト!良かった出てきてくれたんだね」

「フッ……こううるさくちゃ寝てられないからな」

「オビト、魔王軍が現れたんだ。行こう!そして皆を助けてよ!」

「おう!」

オビトは戦う気力を取り戻し寛太の運転で現場に向かう。


セイラは使い魔に捕われパラディンオブナイトはゴーストキマイラに攻撃され誰もオーヴェルに近づけない状況だった。

オーヴェルはもう虫の息だ……。

「さて……このまま放っておいても貴様は死ぬが……先に弟子達が死ぬ所を見て行くか?」

「ハァ……ハァ……き……貴様……や、やめろ……」

オーヴェルは力なく叫んだ。

叫んだと言えない程の小さな声で……。

「まずはパラディンオブナイト……貴様で冥王剣の力を試させて貰おうか……」

「くっ……」

ギレースがパラディンオブナイトに近付く。

だがそこに……。

「辞めろ!!」

オビトと寛太が到着。

「ようやくお出ましか……」

「オビト!寛太!」

オビトは『変身』

クロスセイバーが登場。

クロスセイバーは戦いに参戦。

襲い掛かる使い魔達を次々に倒しまずセイラを救出。

「大丈夫か?セイラ」

「うん……でもお師匠様が……」

クロスセイバーがオーヴェルの方を見る。

「お師匠様!!」

「クロスセイバー……お前達の師匠はもうすぐ死ぬ……」

「ギレース……貴様!!」

「オ……オビト……今こそお前の本当の力を覚醒させるんだ……」

「お師匠様……でも一体どうやって……」

「強い……気持ちを持て……」

そう最後に言い残しオーヴェルは力尽きた。

「お師匠様!!」

「オーヴェルさん!?」

「はぁ……やっと死んだか……しぶとい奴め……」

ギレースはそう言ってオーヴェルの体を踏み付ける。

「何してんだ……ギレース!!テメェ!!何してんだー!!」

クロスセイバーの怒りが爆発。

すると『クロスチェンジャー』から真っ赤な光が放たれた。

クロスセイバーはドラゴンの形を模した赤い鎧に身を包み新たな姿『ドラゴンフォーム』に進化した。


続く……。

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