第15話「金の腕輪大捜索」

オビト達がグランスタ王国に行き、金の腕輪を探す事をロズチェス国王から命令された頃日本では……。


グールは仮面が破損した事で本来の意識を取り戻していた。

そこに近付いて来る魔王ディアボロス……。

「ディアボロス……」

「随分久しぶりだな……ギレースから報告を受けた時は驚いたぞ。まさか、貴様が生きて居たとはな……」

「俺にも何があったのか良く分からんよ……この鎧を身に着けてからの記憶が無いんでな……お前は……俺を殺しに来たのか?」

「フンッ……確かに貴様は厄介な敵だ……だが、利用価値はある……」

そう言ってディアボロスはオーヴェルに手を伸ばす。

「ぐっ……ぐわぁぁぁぁっ!?」


−翌日−

グランスタ王国で朝を迎えたオビト達は再び王の間に集められた。

「ではこれより君達には金の腕輪の捜索に向かって貰う。オビトは方向音痴の様だから二人一組のチームに分ける」

「ムッ……わざわざ言わんでも……」

「オビトとセイラ」

「はいっ!」

「クロガネと寛太君」

「はっ!」

「任せて下さい!」

「更に王国騎士団からも数名捜索に向かわせよう。それはこっちで指揮を取るからクロガネは捜索に集中してくれ」

「はっ!」


そして、捜索するに当たって車が用意される。

「へぇ〜グランスタ王国にも自動車があるんだ」

「これは魔動車と言ってな、魔力で動かす車なんだ」

「へぇ〜流石魔法大国」

「ハハッ、さぁ、乗ってくれ」

クロガネと寛太が魔動車に乗り込む。


そしてオビトとセイラは……。

「どうしよう……私達運転出来ない……」

「ペガちゃんで行くか?」

「そうね……魔力の消耗が激しいけど、仕方ないわね……」

しかし、そこに一人の兵士が。

「あの、では私が運転しましょうか?」

「え?良いんですか!?」

「ええ、お任せ下さい」

オビトとセイラは魔動車を運転出来る兵士を加え魔動車で出発する。


更に王国騎士団も魔動車と空からはグリフォンと呼ばれる鷲とライオンを掛け合せた生物に乗って捜索を開始する。


「頼むぞ、皆」

ロズチェス国王が見送る。


しかし、闇雲に探しても見つかる訳はなく、金の腕輪探しは難航した。


少しでも手掛かりを得る為、クロガネと寛太は街で聞き込みをする。

まずはグランスタ王宮の城下町グラントッカで聞き込みを開始。

「へぇ〜流石城下町……賑やかだねぇ」

「まぁな、一応グランスタ王国最大の街だからな……と言っても少し前までは魔王軍の襲撃にあってかなり悲惨な状況だったけどな」

クロガネと寛太は共に聞き込みを続ける。

昔からこの街に住んでる年配者や情報通達を中心に聞いて回った。


しかし、中々有力な情報は得られない。


一方のオビトとセイラは町外れの森にやって来ていた。

「この辺懐かしいな〜子どもの頃、よく遊んだよね」

「ああ……」

「あっ……そう言えば昨日話があるって言ってたよね?クロガネさんが来てそれどころじゃなくなったけど」

「!そうだな、まだ話せて無かったな。すみません、ちょっと止めて貰えますか?」

「は、はい。分かりました」


魔動車を止めて貰い降りる2人。


「すみません、少し待ってて下さい」

「分かりました」

兵士には車に残っていて貰いオビトとセイラは少し森の奥へ行く。


「なんなの?」

「いや、実はな……グールの事なんだけど……」

その時、森の奥で木々が倒れる音が響いた。

「何っ!?」

「何だよこんな時に……行くぞ!」

「う、うん!」

オビトとセイラが更に森の奥に進むと……。


「クロスセイバー達がグランスタに戻ったという情報が入った!奴らを誘き出せ!!」

ドラゴニルが指揮を取り森を破壊していた。

ヤド・ガニーも作戦に参加。


森に住む動物達は住処を奪われ逃げ惑う。

「酷い……」

「森が無茶苦茶だ……」


ドラゴニルは一匹のうさぎを捕まえて耳を掴む。

「うさぎか……コイツの肉は美味そうだ……」

ドラゴニルはうさぎを食べる気らしい。


「止めろ!!」

オビトがドラゴニルの前に出てくる。

「フンッ、クロスセイバー来たか……」

「この森をこれ以上荒らすな!!」

「まっ、お前をおびき寄せる為にやった事だ。お前さえくれば止めてやってもいいけど」

「その為だけに森や動物達を傷付けたの?許せない……」

「なら止めてみろ。昨日の続きだ」

「上等だ……テメェ……絶対に許さねぇからな!!」

オビトは『変身』

クロスセイバーとなって攻撃を仕掛ける。

だが、クロスセイバーの前にヤド・ガニーが立ち塞がる。


「クソッ、邪魔だ!!」

クロスセイバーはヤド・ガニーを斬り付けるがヤド・ガニーの硬い貝殻に阻まれ攻撃が効かない。


騒ぎを聞き付けクロガネと寛太も森の方へ向かう。

「クソッ……まさか魔王軍が追って来るとはな……」

だが、クロガネ達の前にはギレースとゴルムド、スダァールが現れ行く手を阻む。

「何っ!?ギレースまで……」

クロガネは車を降りる。

「パラディンオブナイト……お前は私が相手だ。行け」

ギレースはゴルムドとスダァールにクロガネを襲わせる。

「チッ、私が相手だとか聞いて呆れるぜ!」

クロガネも『変身』

パラディンオブナイトとなりゴルムドとスダァールを相手に戦う。


それぞれの前に敵が現れ苦戦するクロスセイバーとパラディンオブナイト。


クロスセイバーはヤド・ガニーの貝殻を破れず苦戦していた。

「クソッ……」

「どうしよう……森の中じゃ攻撃力の高い炎系の魔法を使う訳にはいかないし……」


そして、パラディンオブナイトは2対1の戦いに苦戦。

「くっ……強い……やはりコイツらを一人で相手するのは厳しいか……」


攻撃が通用せず苦戦し続けるクロスセイバー……。

「クソッ……セイラの魔法に頼らずもっと強い攻撃が出来ないと……奴には勝てない……ん?待てよ……」

ヤド・ガニーがクロスセイバーにトドメを刺そうと攻撃を仕掛けて来る。


セイラが前に出て防御魔法を発動。

「どうしたのクロスセイバー!戦って!!」

「セイラ……へへっ、思い出したぜ、奴を倒す技を!」

「え?」


そう言ってクロスセイバーは普段とは違う構えを取った。

右手は普段通り『クロスブレイカー』を持ち前に突き出す。

左手は逆手持ちで『クロスブレイカー』を持ち胸の前で構える。

忍者のクナイの持ち方の様に。

「あの構えは……」

「行くぜ……」

クロスセイバーは必殺技『クロスブレイク』を使った。

この技は二段斬りを繰り出す『クロスラッシュ』とは違い2本の剣で同時に攻撃する技。

その分、強力な一撃で相手を攻撃出来る技だった。


その攻撃でヤド・ガニーの貝殻を物ともせず破壊しヤド・ガニーを倒した。

「何っ!?奴め……そんな技を……」


「ずっと使って無かったから忘れてたぜ……この技は師匠とこの森で特訓した技だ。この森が思い出させてくれたぜ!」


「くっ……戦いに選んだ場所が悪かったという訳か……」

ドラゴニルは去って行った。


「やれやれ……勝ったか……」

そこにグリフォンに乗った王国騎士団の兵士がやって来た。

「オビトさん!セイラさん!直ぐに街に来て下さい!クロガネ団長が……」

「何だって!?」

「オビト、直ぐに戻ろう」

「ああ……」


クロスセイバーは変身を解除し、セイラと共に魔動車に戻る。


その頃、パラディンオブナイトはゴルムドとスダァールの攻撃に追い詰められ大ピンチを迎えていた。

「クソッ……奴らの攻撃が……全く読めない……」


「さて、そろそろ飽きて来たしトドメ刺しちゃおうかな」

ゴルムドがパラディンオブナイトにトドメを刺そうと迫る。

「クソッ……ここまでか……」

パラディンオブナイト最大のピンチ。

しかし、そのピンチに呼応するかの様に黄金に輝く正方形の物体が空から現れた。


「何だ!?」

「これは……まさか……」

パラディンオブナイトは黄金に輝く正方形の物体に手を伸ばす。

「間違い無い……神の置土産だ……頼む……俺に力を貸してくれ!!」

黄金の正方形の物体は更に輝き出しパラディンオブナイトを光が包み込んだ。


「何だ!?何が起こっている!?」

ゴルムド達も狼狽える。


パラディンオブナイトは銀の鎧から金の鎧を纏ったロイヤルナイトに進化した。


「この聖なる光で悪を滅す!」


続く……。

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