第12話「狙われたグール」

オビトとクロガネはギレースの送り込んだ冥界の三銃士に敗北した。

更にセイラは魔力を使い果たし回復魔法で回復も出来ない状況に追い込まれていた。


辺りはすっかり暗くなり、夜が来た。


そんな時、再び冥界の三銃士が……。

「フフッ……さて、第2ラウンドと行くか」

「おう、今度はもっと多くの人間を襲ってやるぜ」

「ところであいつら来るかな?」

「さぁね、来たら来たで殺してやればいい。来なきゃ人間が死ぬだけだ」

「だな。よし、行こうぜ!」

冥界の三銃士が再び暴れ出す。


セイラは眠ったままだが、街が騒がしくなった為オビトとクロガネも気付いた。

「何だ?」

「恐らく、また奴らが現れたんだ……行くぞ!」

「はい!」

「2人共どうしたの?」

「寛太、セイラを頼むぜ!」

「ああ、うん……」


オビトとクロガネは出ていく。


街では相変わらず三銃士が人々を襲っていた。

だが、そこにグールが現れる。

「貴様ら魔王軍か……気に入らんな」

「お前は?誰だ?」

「俺は魔剣士グール……貴様ら魔王軍には消えて貰う」

グールは『冥王剣−デスギャリバー』を抜いて斬り掛かる。

「フンッ!面白い!!」

グールとゴルムドが剣を交える。


その様子を見ていたギレースは……。

「あれは!冥王剣−デスギャリバー……何故奴があの剣を……」


グールとゴルムドの激しい戦いは続く。

「中々やるな……ならば!!」

グールは必殺技『冥界斬撃』でゴルムドに攻撃。

しかし……。

「フンッ……残念……冥界の技は俺達冥界の三銃士には効かないよ?」

「何っ!?」

「そろそろ見てるのも飽きたぜ、俺達にもやらせろ!」

バドーラとスダァールが前に出て来た。

「くっ……コイツら冥界の戦士なのか……」


そこにオビトとクロガネが到着。

「あっ!グール!お前も居たのか!」

「ん?クロスセイバーか、コイツら中々手強いぞ」

「ああ分かってる……コイツはマジでやべぇ……」

「グール何故お前が?」

「魔王軍は俺にとっても敵だ」

「なるほどね、なら丁度3人いるしこっちも共闘と行こうや」

「お前達と共闘だと?フンッ、バカな……」

「何っ!?」

「お前らで勝手にやれ」

そう言ってグールは戦線を離脱。

「あっ、おい!何だよアイツ……」

「文句言ってても仕方ないさ。行くぞ!」

「ああ!」

オビトとクロガネは『変身』

クロスセイバーとパラディンオブナイトが並び立つ。


「お喋りは終わったか?ならここからは戦いの時間と行こう」

再びクロスセイバー、パラディンオブナイトと冥界の三銃士の戦いが始まった。


その様子はグールも離れて見ていた。

「クロスセイバー……そいつらに負けるようなら貴様に価値はない……」

だがそこにギレースが現れる。

「魔剣士グール……だったか?」

「ん?貴様は?」

「俺はギレース……魔王軍の大幹部だ……」

「魔王軍か……なら俺に斬られる運命だな」

「悪いがそうは行かない……貴様の持つ冥王剣……それは本来俺が持つべき物なんでね」

「ならば、奪ってみせろ」

グールとギレースが戦い始める。


そして、三銃士と戦い続けるクロスセイバーとパラディンオブナイト。

「あっ!グールの奴あっちでも戦ってやがる!」

「クロスセイバー、こっちに集中しろ!」

「ああ……」

「奴ら相手に3対2じゃ不利だ……奴らを分断するぞ」

「でも、どうやって?」

「俺に考えがある。付いてこい!」

パラディンオブナイトは何処かへ走り出す。

「あっ、ちょっと!」

クロスセイバーも慌てて後を追う。


「フンッ、逃がすかよ!」

三銃士もパラディンオブナイトとクロスセイバーを追う。


そして、グールはギレースに次第に追い詰められる。

「フフッ……冥王剣を渡せば命だけは助けてやるぞ?」

「ふざけるな!誰が貴様なんかに!!」

「そうか……なら死ね!!」

ギレースはグールに電撃を喰らわせる。

「ぐわぁぁぁっ!?」

「フフッ……」

冥王剣−デスギャリバーを奪おうと迫るギレース……。


「くっ……」

グールは逃げる。

「チッ、逃したか……」


一方で三銃士はクロスセイバーとパラディンオブナイトを追って居た。

「チッ……奴ら何処に行った?」

辺りを見渡す三銃士。


そしてパラディンオブナイトが三銃士の目の前を横切る。

「居たぞ!!」

三銃士が追う。

「こっちだ!!」

パラディンオブナイトが三銃士を挑発する。

更に追う三銃士。

そして、パラディンオブナイトは壁際に追い詰められる。

「追い詰めたぞ……」

「待て!さっきからクロスセイバーが居ないぞ」

そして背後から……。

「うりゃあ!!」

クロスセイバーの必殺技『クロスラッシュ』でバドーラを斬る。

「ぐわぁぁぁぁっ!?」

バドーラを倒した。


「何っ!?貴様〜……」

「へへっ!後ろからってのは性に合わないがしゃーねぇー……」

「ぐっ……おのれ〜……」

「残念だったな。追い詰められたのはお前らの方って事だ」

冥界の三銃士……いや、既に二銃士だが、彼らはパラディンオブナイトとクロスセイバーに挟み撃ちになっていた。

パラディンオブナイトの作戦は成功した。

「さて、次はどっちかな?」

「くっ……こうなったら……スダァール、体勢を立て直すぞ」

「ああ……」

ゴルムドとスダァールは姿を消した。


「チッ、逃したか……」

「でも、一人倒したし……俺達もかなり体力を使った……セイラに回復して貰えない以上これ以上はキツい……」

「そうだな。帰るか……」

「そういえばグールはどうしたかな?」

「ギレースと戦ってたからな……様子を見に行くか」


パラディンオブナイトとクロスセイバーは元の現場に戻る。


だがその頃、グールはギレースとの戦いで深手の傷を追い現場から離れていた。


「クソッ……この俺がここまで……」


そして、魔王城まで戻ったギレースとゴルムド、スダァール。

「何っ!?バドーラが殺られただと!?」

「はい……申し訳ありません……」

「チッ……」

バドーラが倒された事をギレースに報告するゴルムド。


「おいおい、それじゃあお前らニ銃士じゃねぇか!これは傑作だ!」

ドラゴニルが煽ってくる。

「黙れ!!」

ギレースはキレて何処かへ行ってしまった。


「おいおい、お前らの司令官殿はご機嫌斜めの様だぜ?」

ドラゴニルは更にゴルムドも煽る。

「フンッ!」

ゴルムドとスダァールも去って行く。


「チッ……ドラゴニルめ……調子に乗りやがって……しかし……まずはグールとやらから冥王剣を奪うか……」


その日はその後は何も起こらず夜が明けた。


セイラは目を覚ました。

「ん〜!!良く寝た!!」

勢い良く伸びをするセイラ。

しかし、伸ばした拳に何かが当たる。

「ん?」

「よ……良かったな……」

セイラの伸ばした拳はオビトの頬を殴っていた。

「あっ!?オビト……ごめん……」

「痛てぇ〜……」

そこに寛太が入ってくる。

「あっ!セイラちゃん目が覚めたんだ」

「ああ、寛太!あれ?そういえば私何で……」

「覚えてないのかよ?昨日お前、魔力を使い過ぎで倒れたんだぜ?」

「え?あっ!そうだ私オビトが来るまで戦ってて……」

「ったく、無茶するなよな……お前の魔法が無きゃ回復も出来ないんだからな」

「うん……ごめん……」

「さてと……んじゃ俺バイト行ってくるから今日は大人しくしてろよ」

「うん……あっ!ダメ!私今日も面接……」

「今日位休めよ」

「そういう訳には行かないの……」


セイラは急いで準備をし始める。

「着替えるから出てってよ!!」

「おっ、おう……」


部屋を出ていつもと変わりない様子のセイラに安堵の表情を浮かべるオビト。


「よし、俺も行くか」


冥界の三銃士の一人バドーラを倒しこのままの勢いで残りの2人も倒したいオビト。

しかし、今は普段の日常に戻り今日もバイトに出掛けるのだった。


続く……。

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