新たなる脅威

第9話「新たな敵」

クロスセイバーとグールは戦い続けていた。

「クソッ、やっぱコイツ強え……」


「はぁ……お前の力はまだそんなもんか……」

グールはため息混じりに言う。

「なっ、何だよ!?悪かったな!!」

「今日はここまでだ……」

そう言ってグールは去って行った。

「おい!何なんだよ!?待てよ!」

しかし、グールは聞く耳を持たず、姿を消す。


「ったく……」

クロスセイバーは変身を解除し、オビトの姿に戻る。

「はぁ……しゃーない……帰るか……で、ここ何処だっけ?」


クロガネとセイラはオビトを探し続けた。

「ん〜居ないなぁ〜……そんなに遠くには行かないと思うんだけど〜」

「仕方ない、一度帰った方がいいだろう」

「そうですね……あっ!」

「どうした?」

「寛太の事すっかり忘れてた〜駅に向かわないと!!」

セイラは駅に向かって走り出す。

「はぁ……まったく、落ち着かない娘だなぁ……」

その時!

「あれ?クロガネさん?」

「ん?」

クロガネが振り向くとそこにはオビトが……。

奇跡が起きた。


「オビト君!?良かった無事だったか……」

「何でクロガネさんがここに?」

「話は後だ。さっ、行こ」

クロガネはオビトを連れてセイラの後を追った。


そのお陰で駅で直ぐに寛太とも合流出来た。


時間が時間なので、食事には行かず、家に帰る事になった4人。


「まったく、僕の事忘れるなんて酷いよ皆」

寛太は不貞腐れている。

「ごめ〜ん色々あってさ」

セイラが手を合わせ寛太に謝る。

「はぁ……もういいや……それよりお腹空いたし何か作って食べよ……」

そう言って寛太は台所へ向う。


その時、セイラはオビトの異変に気付いた。

「オビト、どうしたの?」

オビトは何やら考え事をしていた。

「え?何がだ?」

「オビトが珍しく静かだからどうしたのかと思って」

「それじゃあ俺がいつもうるさいみたいだろ!」

「うん、うるさい」

「あのな……ちょっと考え事してただけだよ……」

「え〜!?オビトがぁ!?」

「何だよ!?」

「何を考えてたんだ?」

クロガネも尋ねる。

「ああ、いや……さっきグールと戦ってたんだけど、アイツ俺にトドメを刺そうと思えば刺せたのに何で途中で戦いを辞めたのかな?って思ってさ」

「そうか……それは確かに奇妙だな……」

「まっ、今考えててもしょうがないか!」


そこへ寛太が入って来た。

「はい、出来たよ〜」

「おっ!美味そうだな!」

「あっ!今日カレー?」

「うん、まぁ、今日はレトルトだけどね」

「何でもいいや、喰おうぜ!」

「さっきまで珍しく考え事してたくせに……」

4人は夕食にした。


その頃、魔王軍では……。


ディアボロスの玉座の前にドラゴニルとマジョーラ、そして、大勢の使い魔達が集まっていた。

「ディアボロス様、急に俺らを集めて何を?」

「さぁね……ただ事では無さそうね……」

ドラゴニルとマジョーラが話していた。


そこへ、ディアボロスがやって来た。

「集まった様だな……」

ディアボロスの登場にドラゴニル達は一斉に跪く。


「今日はお前達に紹介したい奴が居る。入れ」

そう言ってディアボロスが呼んだのは……。


「始めまして、私はギレース……」

現れたのはギレースと名乗る魔族の怪人。

そして、ギレースはそのまま自己紹介を始める。


ギレースはディアボロスと同じ魔族の戦士で、別の世界に侵略攻撃の指揮官として派遣されていた。


「ディアボロス様と同じ魔族の戦士だと!?何故そんな奴が……」

「この世界はディアボロス様が居られるにも関わらず侵略があまり進んでいない様で……余程部下が無能なのでしょうな……」

ギレースはいきなり高圧的な態度でドラゴニル達に言い放った。

「何だと!?テメェ〜!」

「おいおい、口が過ぎるぞギレース……」

ディアボロスがギレースに注意をする。

「おっと……これは失礼致しましたディアボロス様……しかしご安心下さい。この私が来たからにはこの世界の侵略も一気に進む事でしょう」

「期待しているぞ、ギレース……」

「はっ!必ずやご期待に答えてご覧に入れます!」

「さて、今日は新たな仲間が加わった祝いをしよう……宴だ!!」

ディアボロスがギレースを歓迎する宴を開く。


だが、ドラゴニルは面白くない様子。

「ケッ、たかが1人の戦士が来た位で宴なんて開くかね?ディアボロス様も何を考えておられるんだか……」

「まぁまぁ、いいじゃないの。侵略が進むのは我々の悲願……奴がどれ程の実力か知らないけど、それでディアボロス様がお喜びになるんなら」

「はぁ……お前はディアボロス様が良ければそれでいいのな……」

そこにギレースがやって来る。

「失礼、あなたがドラゴニルさんにマジョーラさんですね?」

「ギレース!?(コイツ……全く気配を感じなかった……)」

「そう怖い顔をしないで下さい。これから共に戦う同志なのですから」

「ケッ!この顔は元々だっつーの!!」

「フフッ……聞いてますよ?ドラゴニルさんはかの竜族最強の戦士と名高いディアボロス様の右腕だと」

「おう、まぁな!!」

「どれ程の実力か今度是非手合わせ願いたいですな」

「おう!いつでもいいぜ!」

(コイツ……もう調子に乗ってる……)

マジョーラは聞いて呆れていた。


「さてと……ちょっと失礼しますよ……」

ギレースが立ち去って行く。

「おい、どこ行くんだ?」

「少し外の風に当たって来ます」


「アイツ、最初はムカつく奴だと思ってたけど、結構可愛い所あるじゃねぇか」

(はぁ……単純な奴……)

マジョーラはまた呆れていた。


「フッフッフッ……竜族最強の戦士が聞いて呆れる……ただのバカだったか……」


そして、ギレースは夜の東京の街にやって来た。

「さて、少し暴れてみますか」

そう言ってギレースは街を破壊し始めた。


「!!……」

セイラはギレースの出現を感じた。

「どうした?セイラ」

「魔王軍よ……」

「何っ!?どこだ?」

「ここから北に真っ直ぐ行った辺り……」

「よし!チャッチャとぶっ倒して来るか!」

「待って!」

セイラの呼び掛けにオビトが立ち止まる。

「ん?何だ?」

「今度の奴、今までの奴とは何か違う……気を付けて」

「大丈夫だよ。それより早く行こうぜ」

「うん……」

「安心しろ!俺も手伝うからよ」

クロガネも一緒に行く。


セイラの案内で現場に向う。

「こっち!」

現場に到着すると、ギレースが1人の男性の首を絞めていた。

「テメェ!辞めろ!!」

オビトが叫ぶ。

「ん?何だ?お前達は?ちょっと待ってろ」

ギレースは男性の首を絞めて殺害してしまった。

「あっ!テメェなんて事を……」

「酷い……」

「おのれ魔獣人め!」

「魔獣人?おいおい、そんな下等生物と一緒にしないでくれよ?俺はギレース……魔王軍の大幹部だぜ?」

「何っ!?魔王軍の大幹部だと!?」

「気を付けろオビト……コイツ只者じゃないぞ……」

「ああ!最初っから全力で行くぜ!」

オビトは『クロスチェンジ』

クロガネも『聖剣シャイニングソード』を掲げる事でパラディンオブナイトに『変身』。

クロスセイバーとパラディンオブナイトが並び立つ。


「なるほど……お前達がクロスセイバーにパラディンオブナイトか……」

「行くぜ!!」

クロスセイバーとパラディンオブナイトがギレースに斬り掛かる。

だが、ギレースは2人の攻撃をかわしそれぞれに反撃。

「ぐわっ!?」

「ぐっ……」

「おいおい?まさかそんな物じゃないよなぁ?ガッカリさせないでくれよ?」

「チッ、舐めやがって……コノーっ!!」

クロスセイバーが再び斬り掛かる。

「ハッハッハッハッ……いいぞ?ほらこっちだ!頑張れよ?」

ギレースはクロスセイバーの攻撃を全てかわしクロスセイバーを弄んでいた。

「おいクロスセイバー!あまり熱くなるな!冷静になれ!」

パラディンオブナイトが忠告するが、クロスセイバーは聞く耳を持たずギレースに攻撃し続ける。


クロスセイバーは息を切らせて来た。

「クソッ……コイツ……ちょこまかしやがって……」

「おいおい?もう終わりか?じゃあ、そろそろ終わらせちゃおっかな〜?」

ギレースがクロスセイバーに迫る。


「舐めるなー!!」

パラディンオブナイトが割って入る。

「ほぉ……」

「お前の相手はクロスセイバーだけじゃないぞ……」

「だったら……纏めて殺してやるよ……」

ギレースはパラディンオブナイトとクロスセイバーに必殺技『ダークフレイム』を放った。

「ぐわぁぁぁぁっ!?」

「うわぁぁぁぁっ!?」

2人は真っ黒な炎に包まれた。


続く……。

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