第6話「王宮裁判」

魔王軍は日本への侵略攻撃を開始した。


日の出と共に突然始まった攻撃に人々は大パニック。

まだ多くの人達が寝ているであろう時間帯に最悪の出来事が起きてしまった。


当然この攻撃に対し警察も街を守る為に動き出したが、魔王軍の攻撃に歯が立たない。


寛太も騒ぎを知り、逃げる準備をする。

「ああ〜何が要るかな?アレと、コレと……それからえっと……」


警察は魔王軍に向かって発砲する。

「フンッ!こざかしい!邪魔だ!!」

リザードは口から火炎を吐き警察隊を襲う。

その炎は周りの建物にも燃え移り更に被害が大きくなってしまった。


寛太はようやく家を出る。

幸い寛太の家の近くはまだ魔王軍の手が及んでなかった。

「よし、こっちはまだ大丈夫だ……今の内になるべく遠くへ……」


だが、少し街の方へ出ると人々は使い魔に襲われていた。

「うわぁ……こりゃ酷い……こっちはダメだ……」


だが、人々を襲う使い魔達の前に魔剣士グールが現れた。

「雑魚共め……邪魔だ」

グールは使い魔達を次々に切り裂く。

「あっ、ありがとうございます……」

「勘違いするな……別に貴様を助けた訳ではない……」

グールが斬った使い魔に襲われた人は礼を言うがグールは助けた訳ではなかった。

その人は不思議そうな顔をしながらその場を立ち去る。


その後もグールは魔王軍と戦い続けた。


その頃、グランスタ王国では……。


1人の門番が牢屋の鍵を開けた。

「オビト、セイラ、王宮裁判の時間だ。出ろ!」

言われるがまま牢屋を出るオビトとセイラ。


そのまま門番に連れて行かれ王の間にやって来る。


「そこで跪け」

オビトとセイラは無理矢理跪かされる。


しばらくすると国王がやって来た。

周りの兵士達も当然跪く。

国王、ロズチェス・グランスタの登場だ。


ロズチェス国王がゆっくりと玉座に腰掛ける。

「オビト、セイラ、面を上げよ」


ロズチェス国王にそう言われオビトとセイラは顔を上げた。

「お前達はオーヴェルの弟子と聞いたが真か?」

「オーヴェル?国王様、お師匠様をご存知で?」

オビトは聞き返した。

「貴様!口を慎め!国王様のご質問にだけ答えればいいのだ!」

兵士の1人がオビトを怒鳴る。

「まぁ良い。下がっておれ」

「はっ!出過ぎた真似を……」

「オビト、セイラ、お前達はオーヴェルから聞いておらんのか?オーヴェルは昔この国を守る魔導騎士団の団長をしておったのだぞ?」

「えぇっ!?国王様……そんな事初耳ですが……」

「お師匠様、私達には何も……」

「はぁ……そうか……アイツは弟子に何故教えておらんのだ……」

ロズチェス国王が言うにはオビトとセイラの師匠オーヴェルはかつてこの国を守る魔導騎士団の団長をしていた。

「お前達はそれぞれオーヴェルから魔法と剣術を習っておったのじゃろ?元々この国には魔導騎士団と言う魔法も剣術も使える最強の兵士達がおった。しかし、魔王軍との長きに渡る戦いで壊滅状況にまで追い込まれた事があっての……その頃はまだ我が父が国王をやっておった時代じゃが……父上はその壊滅的被害を受け、剣術で戦う騎士団と魔法で後方支援をする魔導士団で分けたんじゃ。その時、オーヴェルは次の世代を育てる為に魔導騎士団を辞め、隠居する事にしたんじゃが……その後の弟子がお前達と言う訳じゃ」


「あの……国王様……そろそろ本題に……」

クロガネが国王に進言する。

「あっ、すまんすまん。話が反れてしまった。ではこれより本題に入る。オビト、セイラ、お前達が異世界で魔法を使った事は認めるか?」

「はい……俺達は確かに異世界で魔法を使い魔王軍と戦いました……」

「そうか……魔法の無い世界で魔法を使うと言うのは確かに良い気はせんな……じゃが、お前達の力が無ければ異世界を守る事は出来ないのもまた事実……さて、どうした物か……」

「何を仰っておられるのですか国王様、異世界で魔法を使うのは違反行為です!」

「それはそうじゃがそれは異世界に行けたらの話じゃろ?我々はつい先日まで異世界へ行く術が無かったんじゃ。それをオビトとセイラが魔王軍を追って異世界に行ってくれたから空になった魔王城を調べた上で手に入れた技術……つまりオビトとセイラがここまで魔王軍を追い詰めてくれた功績じゃ」

「しかし!」

「口を慎めクロガネ!」

「ぐっ……は、はぁ……」


「俺達どうなるんだ?」

「さぁ?」

オビトとセイラも小声で話し合う。


「オビト、セイラ、今回の事は不問とする」

「ありがとうございます!!」

「まぁ、お前達なら魔法を悪用する事もないと信じておる。お前達は改めて異世界へ戻りこれからも魔王軍と戦ってくれ」

「え?俺達あの世界に戻って良いんですか?」

「ああ、ただしこれからは一層辛く厳しい戦いになると思うがな。セイラ、お主の魔法でオビトをサポートしてやってくれ」

「はい!ありがとうございます!」


「そうだクロガネ、彼らにもディメンションブレスを」

「え?彼らにですか?」

「ああ、異世界を行き来するには必要だろう」

「はっ!」


「ディメンションブレス?」

「ああ、ちょっと待っておれ」


しばらく待っていると騎士団員が『ディメンションブレス』を持って来た。

それは青く輝く『ディメンションクリスタル』が埋め込まれた銀色のブレスレットだった。

「これがあればお前達は異世界を自由に行き来出来る。この世界もお前達がいた異世界も。頼む、世界を魔王軍から救ってくれ」


『ディメンションブレス』はオビトとセイラに1つずつ配られた。

早速腕にはめるオビトとセイラ。


「オビト、セイラよ。お前達が居ないのをいい事に魔王軍は異世界で好き勝手に暴れておるじゃろう。国王として改めて命ずる。この世界も異世界も救って参れ!」


「はい!」

オビトとセイラは声を揃えて返事をした。


「よーし、ディメンションブレス、俺達を導いてくれ!」

『ディメンションブレス』が輝き異次元への扉を開ける。

「行くぜセイラ!」

オビトが異次元の扉へ突入。

「ちょっと待ってよオビト!」

セイラもオビトの後を追う。


「頼むぞ、勇者達よ……」


ロズチェス国王はそう呟きオビト達の勝利を願う。


その頃、日本ではグールが魔王軍との熾烈な戦いを続けていた。

「ぐっ……」

「流石に疲れが見えるなぁグール……」

疲労の溜まったグールの前にドラゴニルが現れる。

「貴様……」

「リザード!」

ドラゴニルに呼ばれリザードが現れる。

「お呼びですかドラゴニル様!」

「よおリザード……コイツと遊んでやれ」

「了解致しました」

そして、リザードがグールに攻撃を仕掛ける。

「ぐぅ……!?」

グールはリザードの攻撃を『冥王剣−デスギャリバー』で受け止める。

「さぁ、どこまで耐えられるかな?」

リザードの怒涛の攻撃が容赦無く続く。


グールは攻撃を防ぎきれず大ダメージを受け吹き飛ばされてしまう。

「ぐわっ!?」


「トドメを刺してやれ」

「了解……」

リザードがグールに迫る。


「くっ……ここまでか……」


「させるかー!!」

異次元の扉を開きオビトとセイラが戻って来た。

オビトはそのままリザードへ飛び蹴り。

「ぐあっ!?」

リザードは蹴り飛ばされる。

「何っ!?」

「ぐっ……お前は!?」


「よぉ、グールつったか?この世界を守ってくれてありがとうよ」

「フンッ……俺は魔王軍を蹴散らしてただけだ」

「くっ……貴様何故……!?」

戻って来たオビトに驚きを隠せないドラゴニル。

「へへっ、お前達を倒す為に戻って来たんだ!今度は国王様公認だぜ!」

「チッ……まぁ良い……ならば消してやる!」

「セイラ、グールを回復してやってくれ」

「うん!」

「何っ!?貴様……何故?」

セイラはグールの元へ。

「じっとしててね」

セイラはそう言ってグールに回復魔法を掛けた。


「お前にそんなつもり無くても、この世界の人達にとってお前はこの世界を守る為に戦ってくれて英雄だ。だから助ける」

「……。フッ……後悔する事になるぞ?」

「あー、オビト馬鹿だからそんな先の事まで考えて無いと思うよ?」

「は?」

「おい!うっせーぞセイラ!」

「へへっ、ごめん」


「あーもう!テメェらごちゃごちゃうるせーんだよ!!リザードさっさとぶっ殺して来い!!」

「了解!」


「上等だ……行くぜ!」

オビトは『クロスチェンジ』

クロスセイバーに変身。


クロスセイバーは『クロスブレイカー』を両手にリザードに挑む。

だが、流石にリザードは手強い。

そう簡単にはクロスセイバーの攻撃も通らない。


「チッ、流石に手強いな……」

リザードは口から火炎を吐き攻撃。

「やべっ!?」

クロスセイバーは攻撃を避ける。


「そうか……アイツは炎属性の魔獣人だ……クロスセイバー!」

「おう!頼むぜ!」

「水の精霊よ……クロスセイバーに力を……アクア!」

セイラの魔法でクロスセイバーに水の力が与えられた。

クロスセイバーは『アクアフォーム』にチェンジ。


クロスセイバーが『クロスブレイカー』を振ると何処からともなく水が吹き出し、リザードに襲い掛かった。

「ぐあっ!?くっ……」

「トドメだ!」

クロスセイバーは必殺技『アクアストリーム』を発動。

水が渦を巻きリザードを巻き込む。

「ぐわぁぁぁぁっ!?」

リザードはそのまま渦の中で消滅。

リザードが敗北した事で魔王軍は撤退。


「やった!やったよ!クロスセイバー!」

寛太の声に気付きクロスセイバーが振り向く。

「ただいま……」


続く……。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る