第4話「クロスセイバーVSグール」

「おはよ〜……」

オビトはあくびをしながら頭を掻きむしって起きて来た。

「あっ!オビト遅いよ〜。いつまで寝てるのよ!」

「しょうがねぇだろ?ところで……お前ら何やってんだ?」

セイラは寛太に教わりながら料理をしていた。

「今、セイラちゃんに料理を教えてるんだよ」

「ああ、この前酷い目に遭わされたからな」

「うるさい!……でも、寛太って本当何でも出来るよねぇ」

「そんな事ないよ。僕だって苦手な事は有るし」

「でも、セイラの料理程じゃないだろ?」

「まぁ、それは確かに」

寛太は笑いながら答えた。

「二人共うるさい!!」


「あっ!そうだ。オビトにも見せたい物があったんだ!」

そう言って寛太は隣りの部屋に何かを取りに行く。

そして、寛太が持ってきた物は……。

求人情報誌だった。

「ん?何だコレ?」

「オビトもアルバイトを探そうよ」

「アルバイトぉ!?俺が?」

「そりゃそうだよ。生活する為には働かなくちゃ!」

「え〜……お前が俺達の面倒見てくれるんじゃ無かったのかよ?」

「金銭面まで面倒見きれないよ!さぁ、何でもいいからとにかくバイト探して!」

「ほらオビト頑張って!」

「セイラちゃんもだよ!」

「うっ……はぁーい」

オビトは求人情報誌に目を通す。

「ん〜……どれもパッとしねぇなぁ」


そしてしばらくすると……。


「出来た!オビト、味見してみてよ!」

「え?俺に毒味しろってか?」

「味見よ味見!!ほら!!」

「僕も手伝ったから大丈夫。味は保証するよ」

「寛太……それどうゆう意味?」

「あっ、いや……」

「じゃあ……」

オビトは恐る恐るセイラの料理に手を伸ばした。

そのまま一口食べると……。

「うん、美味い!今までのセイラの料理と比べたら別格だ」

「オビト、あんたそろそろいい加減にしなさいよ?」


その頃、魔王軍ではマジョーラが作戦を開始しようとしていた。

「ディアボロス様、今回は私自慢の魔獣人を使い人間共を美しい闇の花に変えてご覧に入れますわ」

「闇の花?何でそんなもんを……」

ドラゴニルがそう言うと……。

「お黙り!力で勝つ事だけが全てじゃないのよ。人間共を闇の花に変えてしまえば人間共は我々の存在に恐怖しひれ伏すでしょう。更に闇の花でこの魔王城の周りを飾れば美しい事この上無しですわ!正に一石二鳥。ディアボロス様、この作戦が成功した暁にはこの私を妃にして下さいませ!」

「……。まぁ、行って来い……」

「ははっ!」

マジョーラは意気揚々と出撃。

「はぁ〜……アイツは何を考えてんだ?」

「それよりドラゴニル……魔剣士グールとやらの事は何か分かったのか?」

「いえ、まだ何も……」

「だったらさっさと調べて来い!!」

「はっ!はいぃぃ!?」

ドラゴニルも慌てて出撃。


その頃、オビトとセイラは買い物に出ていた。

「今夜何にしようか?」

「またお前が作るのか?」

「そりゃそうよ!寛太も新しいレシピ教えてくれるって言ってたし」

「そうか……まぁ、寛太が居れば安心か……」

一通り買い物を終え帰ろうとする2人……。

「ちょっとオビト!どこ行くのよ!」

「え?だって家こっちだろ?」

「違う!こっちよ!もう〜こんな近所で迷子にならないでよね……」

「いやいやいや!間違いねぇって!だってホラ!入口の近くにあの黒い車止まってたじゃん!」

そう言ってオビトは黒い車を指差す。

オビトが指差したのは黒いバン。

だが……。

「動く物を目印にするな!だから迷子になるのよ……。それにさっき入口の所にあったのは別の車よ。それは反対側の入口のね」

「あれぇ?そうだっけ?」

「もう……しっかりしてよ……」


オビトがセイラに付いて行き帰っていると、途中でこの前のたこ焼き屋があった。

「あっ!あの店……」

「ん?どうしたの?」

「あの店のたこ焼きって奴超うめぇんだぜ!喰って行こうぜ!!」

オビトは走り出す。

「あっ、ちょっと……」


「おっちゃんおっちゃん!」

「ん?おう、この前の兄ちゃんか!この前は客の呼び込みありがとうな!」

「い、いやぁ、何もしてねぇけど……」

「オビト、このおじさんと知り合いなの?」

「ああ、ちょっとな。そうだ!ここのたこ焼きってやつすげぇうめぇんだぜ!」

「たこ焼き?」

「今日も食ってくか?」

「いいのかー?」

「ちょっとオビト!!……すみません今日はお金あんまり持ってなくて……」

「そうか?そりゃあ残念だな……」

その時、セイラはある貼り紙を見つけた。

それはこの店のアルバイト募集の貼り紙だった。

「ねぇ、おじさんこのアルバイトって……」

「ん?ああ、ずっと1人でやって来たけど、最近しんどくてな。誰か手伝ってくれる人を探しててな」

「へぇ〜……オビト、ここ良いんじゃない?」

「何が?」

「だからアルバイトよ!アルバイト!」

「ここで?俺が??」

「おっ!兄ちゃん働いてくれるか?」

「おじさん、私達2人で働くわ!」

「おっ!そりゃあありがたいね。でも、2人も雇う余裕は無いぜ?悪いけどよ……」

「そっか〜……」


その時、セイラは魔王軍の気配を感じた。

「!オビト、魔王軍!」

「何?おっちゃんわりぃまた来るわ!」

オビトは走り出す。

「オビトそっちじゃない!こっち!」

セイラはオビトを連れて行く。


現場では、黒薔薇魔獣人バラノクロが人々を黒薔薇に変えていた。

「ホッホッホッホッ!さぁ人間共、美しい黒薔薇に変わるがいい」

バラノクロが投げる黒薔薇を刺された人は次々に黒薔薇になって行った。


そこにセイラとオビトが到着。

「酷い……」

「クソッ……行って来るぜ!」

オビトはバラノクロの方へ向う。


『クロスチェンジ』

オビトはクロスセイバーに変身。

バラノクロに攻撃を仕掛ける。

クロスセイバーの2本の剣『クロスブレイカー』がバラノクロを切り裂く。

「ぐあっ!?……な、何だ貴様は!?」

「クロスセイバーだ!魔獣人!お前を倒しに来た!覚悟しろ!!」

「ほぉ……お前がクロスセイバーか……ならお前も美しい黒薔薇に変えてやるよ!」

バラノクロがイバラの触手でクロスセイバーにを捕える。

「何っ!?」

そして、イバラの棘がクロスセイバーに食い込む。

「イテテテテッ……やめろって!おい!」

「クロスセイバー!?え〜っと……相手は植物系の魔獣人だから……炎属性の攻撃なら効くはずよね」

セイラは魔法陣を発動した。

「炎の精霊よ……クロスセイバーに力を……フレア!」


セイラの魔法でクロスセイバーに炎の力が宿り『フレアフォーム』にチェンジした。


「うぉぉぉぉぉ!!燃えて来たー!!」

クロスセイバーは炎の力が宿った『クロスブレイカー』でイバラの触手を焼き切った。

「何っ!?あちちちっ!?」

バラノクロも焦る。


「トドメだ!燃やし尽くしてやるぜ!!」

クロスセイバーは必殺技『クロスフレアスラッシュ』でバラノクロを斬り裂いた。


「ぐぁぁぁぁっ!?」

バラノクロは焼き尽くされた。

バラノクロを倒した事で黒薔薇にされていた人々も人間の姿に戻る事ができ、一件落着。


「ふぅー……うっしゃ!」


「ほぉ……中々やるな……」

声のする方を振り向くとそこには……。

魔剣士グールがこちらに向かって来ていた。


「お前は……魔剣士グール……」

「クロスセイバー、今日は手合わせ願おう」

そう言ってグールは腰の剣を抜いた。


その様子をドラゴニルも見ていた。

「何っ!?アレは冥王剣−デスギャリバー!?何故奴が!?ディアボロス様に報告しなければ」

ドラゴニルは直ぐに報告に戻った。


「グール……俺と戦う気って訳だ。臨む所だ!!」

クロスセイバーも2本の『クロスブレイカー』を構える。

グールが走り出し一気に詰め寄る。

クロスセイバーも応戦。

2人の剣がぶつかり合い火花が散る。


「クロスセイバー!!」

セイラは叫ぶ。

だが、2人の戦いは止まらない。


遂に始まってしまったクロスセイバーとグールの一騎打ち。

この勝負の行方は?


続く……。

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