第3話「謎の剣士現る」

オビトとセイラは寛太の家にやって来た。


「ねぇ、本当に私達もここに住んでいいの?」

「もちろん!君達には2度も助けられたから信頼もしてるし君達も行く所無いんだろ?」

「そりゃあ、私達はその方が助かるけど……」

「お前相当お人好しだな」

「へへっ、良く言われる」


何故こんな事になったのか、それは昨夜クロスセイバーがジャッカル・キルーバを倒した後に遡るーー


ジャッカル・キルーバを倒した後、クロスセイバーとセイラは去って行った。

少し離れた所でクロスセイバーは変身を解除。

オビトの姿に戻った。

「ふぅー……何とか追っては来ない様だな」

「そうね。私達の事信じてくれたのかも」

「当然だ。この世界の人間には倒せない化け物を倒してやったんだ」

「おーい!待ってよー!」

2人を寛太が追って来ていた。

「あれ?寛太ぁ!?」

「アイツ……何で?」

寛太は息を切らせてオビト達に何とか追い付いて来た。

「ハァ……ハァ……ま……待ってよ……」

「お前、どうして?」

「二度も君達に助けて貰ったんだ……お礼位させてよ」

「お礼って……私達別にお礼が欲しくて魔獣人を倒してる訳じゃないし……」

「ああ、それにこれ以上俺達に関わらない方がいい」

「でも、君達行く所あるの?」

「それは……無いけど……」

「だったら僕の家に来ない?」

「はぁ!?」

「何だよいきなり!?」

「ダメ?かな?」

「どうする?オビト」

「う〜ん……」

その時、オビトを空腹が襲った。

「腹減った。何か食わしてくれるか?」

「うん!」


こうしてオビトとセイラは寛太の家に行く事になりそのまま一緒に暮らす事になった。


そして現在、オビトとセイラの生活の為に必要な家財道具を寛太の家に運び入れてる所でだった。


「えーっと……じゃあオビトはこの部屋、セイラちゃんはこの部屋使って」

「ありがとう。でも何で1人暮らしなのにこんなに部屋があるの?」

「前にも話したと思うけどこの家は父さんが借りてくれた部屋でさ、父さんが『どうせ借りるなら部屋数は多い方がいい!』って言うんだよ。お陰で掃除の手間が掛かるけどね……」

「へぇ、良いお父さんじゃない!」

「そうかな?あっ、僕はもうすぐバイト行かなきゃ行けないから後は君達で好きに使ってよ」

「うん、ありがとう」

「なぁ、寛太……そのバイトってやつはそんなに大事なのか?」

「うん、生活する上では働かない事には……」

「そっか……この世界も結構大変なんだな」

「まぁね、じゃ!」

寛太はバイトに行く準備を始め出掛けて行った。


「さて、じゃあ私達は荷物の整理をしなきゃね……」

「そうだな」


そして、お昼……。

「あ〜腹減ったなぁ……」

「そろそろお昼にしようか」

「だな。えっ〜と……」

オビトは冷蔵庫を開ける。

「あっ、ちょっとオビト!勝手にダメよ!」

「良いじゃねぇか、寛太も好きに使っていいって言ってたし」

「それは部屋の事でしょ!」

「でも腹減ったぜ……」

「あんたねぇ……」


その頃、寛太は……。

「あっ!2人にお昼用意するの忘れてた……」


仕方なくセイラも冷蔵庫の中から適当に食材を取り出す。

「仕方ない、じゃあ何か作ってあげるわ」

「えっ!?」

「何よ?」

オビトが驚愕するのには訳があった。

「お前……またあのクソ不味い料理作る気か?」

「うるさい!」

セイラはオビトの脇腹にボディブローを決める。

「うっ!?」


実はセイラは料理が苦手だった。

ただし、本人はそうは思ってない。


手際よく調理をするセイラ。

だが、完成した料理は……。

「はい、ある物で作ったから簡単な物だけど」

「お前が簡単に作る料理程恐ろしい物は無いぞ……」

地球上にある食材で作ったのは間違い無いがとても地球上の物質とは思えない見た目だった。

「わ……わりぃセイラ。折角だが腹の調子が……」

何とか逃げようとするオビト。

「え?何よ、お腹空いたって言ってたじゃない」

「いやぁ……それは……」

オビトは逃げ出す。

「あっ!ちょっと待ちなさい!!」


その頃……。


また異世界からの来訪者が現れた。

それは全身を黒い鎧で覆った謎の戦士。

「ここが、魔王軍が侵略に訪れた世界か……」


何とかセイラの料理から逃げて来たオビトだったがもう空腹は限界だった。

「あ〜……腹減った……でもセイラの料理を食ったら命が……でも空腹でも命が……どうすりゃ良いんだ……」

その時、オビトの鼻に良い匂いが漂って来た。

「何だこの匂い……うまそ〜……」

オビトが匂いに誘われ辿り着いたのは……。


たこ焼き屋さん。

「美味そ〜!!」

「おっ!兄ちゃんいらっしゃい!ウチのたこ焼きに目を付けるとは良い読みしてるぜ!ウチのは日本一美味いたこ焼きだぜ!」

「マジか!?」

「食うか?」

「良いのか!?」

「おう、ちょっと待ってろ」

たこ焼き屋の店主は直ぐに焼きたてのたこ焼きを用意してくれた。

だが、そこでオビトは思い出した。

「あっ!おっちゃんわりぃ……そういえば俺金持ってねぇんだ……」

「何ぃ!?金持って無いだと!?」

「すまねぇ!この世界ジェム使えないんだったな……」

「う〜ん……そうだ!このたこ焼き食って良いから代わりに客の呼び込みしてくれよ!それでタダにしてやる!」

「本当か!?おっちゃん良い人だなぁ!!頂きまーす!!」

オビトはたこ焼きを食べ始める。

「あちぃ!でもうめぇ〜……」

オビトは初めて食べたたこ焼きに感動。

オビトがあまりに美味しそうに食べるから周りの人々もたこ焼きが食べたくなり店にどんどん客が来る。

「うわっ!?こりゃすげぇ効果だ!よしゃ!じゃんじゃん焼くぜ!」

たこ焼き屋の店主も負けじと次々にたこ焼きを焼く。

いつの間にか店の前には行列が出来ていた。

「おっちゃんごちそうさん!で、俺はどうすればいい?」

「えっ!?いや……もう十分だ……忙しくて手が回らねぇ位だ」

「え?まだ何もしてねぇぞ?」

「い……いいからいいから……その代わりまた来て集客を手伝ってくれよ?」

「おう!」


その頃、魔王軍も動き出していた。

ドラゴニルが毛虫魔獣人ケムジャランを引き連れて現れた。

「ん?何やら人間共が集まっているな……丁度良い。ケムジャラン!あの人間共を襲い我らの力を知らしめるのだ!」

「はっ!」

ケムジャランがたこ焼き屋に並ぶ人々の前に現れた。

人々は大パニックに陥り逃げ出す。

「あっ!魔獣人!このやろう!!」

「なっ!?何だぁ!?」

「おっちゃん逃げろ!コイツは危ねえ!!」

「おっ……おう!」

店主も逃げ出す。


だが、ケムジャランの毒針が人々を襲う。

毒針を食らった人々は次々に倒れる。

「テメェ……」

オビトは『クロスチェンジ』

クロスセイバー登場。

「フンッ、貴様がクロスセイバーか……行け!使い魔共!」

使い魔が数体現れクロスセイバーに襲い掛かる。

「へっ!腹ごなしに丁度いいぜ!」

クロスセイバーは2本の剣を巧みに操り次々に使い魔達を倒して行く。

全ての使い魔を倒すとケムジャランに剣を向ける。

「後はお前だ!」

「ぐっ……役立たず共めぇ……まぁ良い貴様も俺の毒針で終わりだー!!」

だが、ケムジャランは背後から何者かに一刀両断される。

「ぐわっ!?」

「何だ!?」


「邪魔だ。虫ケラ……」

そこに居たのは謎の黒い戦士だった。

「ん?何だ奴は!?全く気配を感じ無かった……」

ドラゴニルも驚く。


「お前は一体……」

「お前がクロスセイバーだな。魔王軍と共に姿を消したと聞いたが……こんな所に居たとは」

「俺の事を知ってるのか?」

「ああ、俺はお前の様な強き者を求めて旅をしていた」

「お前は何者なんだ?」

「俺は魔剣士グール」

「魔剣士……グールだと……」

「今日はほんの挨拶代わりだ。貴様と戦うつもりは無い」

そう言ってグールは去って行った。


「一体……何者なんだ?」


すっかり日が暮れてしまいオビトは家に戻って来た。

「ただいまー」

「ちょっとオビト!どこ行ってたのよ!寛太が大変なんだってば!!」

「はぁ?」

寛太はセイラの料理を食べて気絶していた。

犠牲者1人……。


続く……。

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