大文字伝子が行く116

クライングフリーマン

大文字伝子が行く116

 ======== この物語はあくまでもフィクションです =========

 ============== 主な登場人物 ================

 大文字伝子・・・主人公。翻訳家。DDリーダー。EITOではアンバサダーまたは行動隊長と呼ばれている。。

 大文字学・・・伝子の、大学翻訳部の3年後輩。伝子の婿養子。小説家。EITOのアナザー・インテリジェンスと呼ばれている。

 斉藤理事官・・・EITO創設者で、司令官。

 一ノ瀬(橘)なぎさ一等陸佐・・・ある事件をきっかけにEITOに参加。伝子を「おねえさま」と呼んでいる。皆には「一佐」と呼ばれている。

 久保田(渡辺)あつこ警視・・・ある事件をきっかけにEITOに参加。伝子を「おねえさま」と呼んでいる。皆には「警視」と呼ばれている。

 物部一朗太・・・伝子の大学翻訳部同輩。当時、副部長。

 物部(逢坂)栞・・・一朗太の妻。伝子と同輩。美作あゆみ(みまさかあゆみ)というペンネームで童話を書いている。

 依田俊介・・・伝子の翻訳部後輩。元は宅配便配達員だったが、今はホテル支配人になっている。

 依田(小田)慶子・・・依田の妻。ホテルコンシェルジュ。

 南原龍之介・・・伝子の高校のコーラス部の後輩。

 南原文子・・・南原龍之介の妻。

 山城順・・・伝子の中学の後輩。愛宕と同窓生。

 南原蘭・・・南原龍之介の妹。山城の婚約者。

 服部源一郎・・・南原と同様、伝子の高校のコーラス部後輩。

 服部コウ・・・服部源一郎の妻。

 みゆき出版社編集長山村・・・伝子と高遠が原稿を収めている、出版社の編集長。

 藤井康子・・・伝子マンションの隣に住む。料理教室経営者。

 大文字綾子・・・伝子の母。ずっと、犬猿の仲だったが、仲直り?した。だが、伝子には相変わらず「くそババア」と呼ばれている。

 金森和子二曹・・・空自からのEITO出向。

 増田はるか三等海尉・・・海自からのEITO出向。

 馬越友理奈二曹・・・空自からのEITO出向。

 大町恵津子一曹・・・陸自からのEITO出向。

 田坂ちえみ一曹・・・陸自からのEITO出向。

 浜田なお三曹・・・空自からのEITO出向。

 新町あかり巡査・・・みちるの後輩。丸髷署からの出向。

 結城たまき警部・・・警視庁捜査一課からの出向。

 安藤詩三曹・・・海自からのEITO出向。

 日向さやか(ひなたさやか)一佐・・空自からのEITO出向。

 飯星満里奈・・・元陸自看護官。EITO準隊員。

 稲森花純一曹・・・海自からのEITO出向。投げ縄を得意とする。

 愛川静音(しずね)・・・ある事件で、伝子に炎の中から救われる。EITO準隊員。

 久保田管理官・・・EITO前指揮官。あつこと結婚した久保田警部補の叔父。

 夏目警視正・・・警視庁副総監の直属。斉藤理事官(司令官)の代理。

 橋爪警部補・・・元島之内署の警部補。丸髷署生活安全課に転勤。署長命令で、EITOと協力関係にある。

 愛宕寛治警部・・・伝子の中学の書道部の後輩。丸髷警察署の生活安全課刑事。みちるの夫。

 愛宕(白藤)みちる警部補・・・愛宕の妻。普段は丸髷署に勤務。伝子に感化され、EITOに参加。伝子を「おねえさま」と呼んでいる。

 筒井隆昭・・・伝子の大学時代の同級生。伝子と一時付き合っていた。警視庁副総監直属の警部。

草薙あきら・・・EITOの警察官チーム。特別事務官。ホワイトハッカーの異名を持つ。

 中山ひかる・・・愛宕の元隣人。ある事件をきっかけに、伝子達に捜査協力をしてくれる知恵袋。アナグラムが得意。

 副島はるか・・・伝子の小学校の書道部の先輩。彼女の父が書道部顧問。EITO準隊員。弓道、剣道が得意。

 天童晃(ひかる)・・・かつて、公民館で伝子と対決した剣士の一人。EITO準隊員。ベースワンの武術訓練場で剣道顧問。

 鈴木浩吉・・・一般公募で選ばれた小学校校長。DDともEITOとも縁がある。

 みゆき出版社編集長山村・・・伝子と高遠が原稿を収めている、出版社の編集長。


 ==EITOとは、Emergency Information Against Terrorism Organizationを指す==

 ==エマージェンシーガールズとは、女性だけのEITO精鋭部隊である。==

 ==DDとは、大文字伝子を中心とした、先輩後輩の仲良しサークルである。==


 午前11時。EITO秘密基地。作戦室。

 「結論から言うと、毒物が検出された。あ、こっちが先か。昨日、以前バレンタインデーに警護に言った百貨店から警護の依頼に応えて3班に分かれて、警護に行ったが、幸い敵は現れなかった。しかし、安心する暇無く、違う案件が出てきた。アンバサダーに言われて、警視庁の鑑識で調べたところ、うどんから毒物が発見された。今、世間では大騒ぎだ。配られたうどんを食べた人は、漏れなく食中毒だ。『黄色ブドウ球菌』らしい。命に別状は無くても。問題だ。当該うどん店は既に閉店している。」

 「夏目司令代理。つまり、ばらまく為にだけオープンしたということですか?」と、あつこは言った。

 「そうだ。小手調べかも知れん。文字通り、忍者だから逃げ足も速い。」と夏目は言った。

 「私も学も変だと思ったんです。気前よく金品をばら撒くのが、今度の敵の特徴ですから。大阪の事件は、やはり模倣犯でした。サイトに申し込んだ者に金を要求していたから、逆のパターンです。パトカーが襲われたのは、『警告』だと思います。」

伝子の言葉に、あつこは「文字通り、真似したら痛い目に遭うぞってことですか、おねえさま。」と言った。

 「金払いがいい、ってことにプライドがあるのかしら?」と、なぎさは言った。

 「そうかも知れんな。筒井の報告によると、幸い模倣犯の被疑者は軽傷らしいが。運転していた芦屋さんは重体だ。筒井が間に合って良かった。」

 「それで、次のターゲットは?」画面に向かって夏目が言うと、高遠が「分かりません。あれ以来ヒントは送ってこない。何かの準備中ですかね。イベントと言えば、卒業式と『地下鉄事件』ですかね。今度のうどんと関係があるのかな?」

 「おいおい、高遠君。また、あの事件を再現する積もり、というのか?」

 「まだ、材料がないので、卒業式で考えましょうか。でも、学校多いなあ。26人でも足りないや。あ。思い出した。うどん屋の件ですけどね。配ったのは、うどん屋さんじゃないかも知れませんよ。念の為、藤井さんに、うどんをくれた、料理教室の生徒さんに確認して貰ったら、オープンしたから来てねと言うだけで、オーナーとか店主とか名乗ってなかったらしいから、ただ配るバイトしたのかも。包装してあるものをね。」

 「詰まり、サイトで募集しただけ、と。」夏目が唸ったので、あつこが「確認してみます。」と言い、どこかに電話した。

「捜査員が店に行くと、住所は貸し店舗の貼り紙のみ。不動産屋で確認すると、契約者はいないそうです。」

 夏目はまた唸った。「今日は解散しよう。今の件はシェルター、大阪支部と情報共有しておくよ。」

 午後1時半。伝子のマンション。

 伝子が帰ると、藤井が待っていた。

 「当分、生徒さんは来ないわ。困ったわ。下痢腹痛は治っても、精神的に参ってるの。家族にも責められるし。家族全員、病院に行ったウチもあるの。」

 「藤井さんの責任じゃない。みんな、自分たちで作ったものを食べれば良かったんだ。」伝子は、吐き捨てるように言った。

 「貰い癖がついているんだ。タダほど高くつくものはない、ということさ。料理教室に通える人は、言ってみれば、経済的に余裕のある人だから。」「でもね、伝子。 経済的に困窮している人も受け取っている訳だよ。誰彼構わず渡しているんだから。」

 「誰彼構わず、かあ。あ。昼飯は?」「チャーハン。」「ん。」

 午後3時。

 ひかるから、高遠のスマホに電話がかかってきた。

 高遠はスピーカーをオンにした。「高遠さん、前に卒業式に狙われるとしたら、どこの学校かな?って言ってたよね。あ、おっっしゃってましたよね。」

言い直したところをみると、母親が側にいるのかも知れない。「うん。それで?明日、ウチの高校の卒業式だけど、卒業生の瀬名さんが来るんだよ。瀬名昌昭。僕の友達が生徒会の役員やっているんだ。名目上は生徒のアイディアってことになっているけど、ホントは学校側からプロダクションに申し込むんだ。勿論、ギャラ払ってね。そrで、彼から明日のこと聞いたんだけど、今、全国的に、そういうパターン流行っているらしい。テレビに映るから。ウチは、他の生徒には内緒だけど、みんなが知ってるパターンもあるらしい。」

 伝子は言った。「分かった。ひかる君の学校は必ず守る。他のサプライズ卒業式の学校もね。因みに、それは高校だけ?中学とか大学とかはないの?」「ない。」

 午後4時。

 今度は伝子のスマホに電話があった。EITOシェルターからだ。

 「草薙です。アンバサダー。都内で芸能人・著名人が卒業式にサプライズ登場する高校は6校です。これなら、班分け出来ますね。今、一佐がオスプレイに乗って、そちらに向かっています。」「了解しました。」

 チャイムが鳴った。編集長と藤井だった。

 台所で、準備をしている高遠と、奥の部屋で物音がするのを聞いた編集長は尋ねた。

 「出撃?」「はい。」と、高遠は台所から返事をした。

 「じゃあ、帰るわ。だべりに来ただけだし。マスターのところ、寄って行くわ。」

 10分後。高遠は、いつものように、火打ち石をカチカチして、ベランダから伝子を送り出した。

 「忙しいわねえ、相変わらず。で?どんな作戦?」「秘密です。明日なら教えますよ、その時間なら。一応、主夫とは言え、守秘義務ありますから。」

 高遠の応答に、藤井と、編集長山村は「またまた~。「と言った。

 午前10時。足立区。足立一番高校。

 卒業式が始まる。教頭が「卒業証書授与の前にサプライズがあります。」と言った。

 瀬名が登場し、演壇に上がった。歓声に混じって、忍者が数人現れた。

 忍者が瀬名にナイフを押しつけようとした時、どこからかブーメランが跳んできて、忍者の手首と顔にぶつかり、持ち主に戻って行った。

エマージェンシーガールズ姿のブーメランを持った伝子は言った。「無粋なことをするな、馬鹿者!!」舞台の陰から現れたエマージェンシーガールズ2人が、あっという間に、忍者を倒した。

 伝子は、MC役の教頭に合図を送った。教頭は拍手を始めた。瀬名が同調して、拍手を始め、生徒教職員一同は拍手を始めた。

 実は、瀬名本人と教頭には、ダークレインボーの刺客が現れることと迎撃態勢があることは事前に知らせてあった。

 エマージェンシーガールズ姿の馬越と安藤は、やって来た警官隊に忍者を引き渡し、退散した。中山ひかるは、スマホでそっと写真を撮った。

 瀬名の祝辞が始まった。

 午前10時。世田谷区。南世田谷共立高校。

 卒業証書授与の最中に、この高校出身のアイドル、グッディー燿子が突然登壇した。

 「皆さん、おめでとうございます。卒業生の燿子です!」

燿子が挨拶すると、銃を持った忍者と、刀を背負った忍者が数人、現れた。

皆が驚いている中、銃の忍者が叫ぼうとすると、その銃を持った手首にシューターが飛んできた。シューターとは、EITOが開発した、うろこ形の手裏剣で、先端には、痺れ薬が塗ってある。

 忍者は、次第に痺れる手首の痛さに、銃を落した。

 皆が、その男に注目している間に、エマージェンシーガールズ姿の大町と飯星が忍者達を倒した。

 「逮捕!」と言って登場した、あつこは拳銃男に手錠をかけた。警官隊が現れ、大町達は忍者を引き渡すと、退散した。

 警官隊とあつこが忍者を連れ退散すると、燿子が手を叩き始めた。拍手は広がって行った。

 午前10時。大田区。新開発高校。

 校長の挨拶が始まった時、元俳優で国会議員の虹森健介が現れ、校長に一礼し、挨拶を始めようとしていた。

 刀を背中に背負った忍者が三人現れた。その一人が、背中の刀を抜き、虹森に突きつけた。「なにやつ?」虹森は、時代劇に出ていた頃の台詞を言った。

 「闇頭巾の使いだ。」刀男は、調子に乗って、名乗りを上げた。

 木刀を持った、エマージェンシーガールズが三人現れた。日向、金森、静音だった。

 突然始まった、本物のチャンバラ?に生徒達は歓喜した。

 瞬く間に勝負はついた。警官隊と共にやって来た、あかりは声高く言った。「逮捕!」

 午前10時。北区。北倉持高校。

 卒業式が始まると、全日本教職員組合、全教組の教師達が国歌斉唱を拒否すると宣言した。伝子達に縁の深い、小学校校長鈴木がPTAの招きで列席していたが、教師達の行動に注意した。

 そこに、忍者達が現れ、その一人が「騒ぐとどうなるか分かってるな?」と脅した。

 その男の脚の脚絆を一本の矢が貫通した。田坂の射った矢だった。

 エマージェンシーガールズ姿の田坂が言った。「ぶかぶかの脚絆なんか履くからだ。」

 エマージェンシーガールズ姿の稲森が現れ、忍者達の武器を弾いた。

 あっという間に、2人は忍者達を倒した。「あらあ、もう片づいちゃった?残しといてくれても良かったのに。逮捕!」と言い、みちるは警官達と共に忍者を連行した。途中、みちるは鈴木に一礼した。

 演壇に上がった、鈴木は、「今日はサプライズで、卒業生の日村きよし君が登場する予定だったそうですが、高熱で中止になったそうです。中止で良かった。貴方たちの振る舞いは、教師の姿じゃありません。貴方たちの思想は、どんなに崇高であっても、生徒達には関係ありません。出て行きなさい!今、命がけで守ってくれたエマージェンシーガールズに恥ずかしくないですか?恥を知りなさい!」と、言った。

「その通りです。我々の貴重な時間を奪わないで下さい!組合の先生は出て行って!!」生徒会長は言った。

 出て行けコールが始まった。教師達は、バツが悪そうにして出て行った。

 「校長先生。どうぞ始めて下さい。」言われた校長は、卒業証書授与の準備を教頭と始めた。

 午前10時。」江東区。江東医インターンショナル高校。

 「今日は、皆さんの卒業を祝って、卒業生の、宇宙飛行士見城保さんに来て頂いております。まずは、見城さん。」と、校長は自らMCを勤め、見城を呼び出した。

ところが、出てきたのは手を縛られた見城と忍者達だった。

 「俺達も、サプライズで来てやったぜ。礼は要らないよ。」

 「私たちも、サプライズで来てやったぜ。礼は要らないよ、闇頭巾の兵隊さん。」という声が聞こえた。

 その忍者にブーメランとシューターが同時に飛んできた。その忍者は硬直した。他の忍者も硬直した。結城警部と警官隊が現れ、忍者達を簡単に逮捕、連行した。

 午前10時。練馬区。大練馬高校。

 卒業式に、特別ゲストに呼ばれていたのは、童話作家美作あゆみこと、物部栞だった。

 MCの教頭の紹介に演壇に上がった栞だったが・・・ここでも忍者が現れた。

 しかし、臆することなく、DDバッジを押した栞の合図で、天童と副島が仮面を着けた武士として現れ、忍者達を瞬時に倒した。

 警官隊と共に現れた、愛宕と橋爪に、副島は「コスチューム考えろ、と大文字に言っておけ。」と囁いた。愛宕は首をすくめて頷いた。

 ―完―

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