第8話
梅雨が明け、
「高橋
少年からハオユーと呼ばれていた男性が、志乃にそう声を掛けた。
「お話ししたいことがあります。乗ってください」
冗談じゃない。志乃は眉を
「分かりました。車を停めてきますから、あの喫茶店にいてください。すぐに行きます」
大学のすぐ隣にあるカフェを指さし、ハオユーは一方的にそう言って車に戻った。走り去る車を見送り、志乃は信号が再び赤になるまでその場に突っ立っていた。
無視して帰っても良かったのだろうが性格上そうも出来ず、志乃は学生で
「お待たせしました」
皆の視線は志乃に移動し、いたたまれなくなった志乃はメニューで顔を隠した。ハオユーは気にした様子もなく、ウェイトレスにアイスコーヒーを頼み、志乃に「決まりましたか?」と声を掛ける。
「アイスティ」
小さくそう言ってメニューを見続ける志乃に、何を思ったかハオユーはパフェを追加注文した。
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