第7話 創造神デウス
「じゃあ、もしルシファーが完璧な形で『憎悪』を引き継いでいたら、ルシフェルはどうなっていた?」
「魔王つまり、父上の『愛憎』がルシフェルに対して消失し、兄ルシフェルは死ぬ」
ルシファーは表情を変えずに答える。
「なぁ、一つ確認があるんだけどいいかな?」
俺は、ルシファーに尋ねる。
「はい。何でしょうか?」
「つまり、『憎悪』を分け合うことが出来たから、ルシファーとルシフェルは生きていられるということか」
「はい」
なるほど。
そういうことだったのか。
(ということは、ルシファーは残りの一割の『憎悪』をルシフェルに奪われたら死ぬということか)
本人はそのことに気付いているのだろうか。
ルシファーは俺が何を聞こうとしているかわかっているようだ。
無言で俺の目を見る。
まるで無垢な少女の様だが、魔王の血が流れている。
もしかしたら次世代の魔王だった可能性を秘めた彼女。
だが、何故だか彼女を守りたくなる。
「兄のルシフェルを殺したいの? という理由に応えます」
ルシファーは口を開く。
「私は、この手で兄を殺します」
ルシファーは、はっきりと言い切った。
「それが私の使命だから」
そして、ついて来いと俺の手を取った。
「案内します」
俺は手を引かれて歩く。
「どこへ?」
「聖都パテキアの街です」
ルシファーに連れられて来たのは、彼女が住まう街だ。
『ゼノングランドクロッセオ・背徳の少女たち』では中心となる街だ。
物語の重要なカギとなる聖女が住まう街。
まさしく聖都。
俺が最後にログアウトした場所でもある。
◆
ルシファーに連れられて来た場所は、大聖堂。
大きな扉を開けると、中に入り、祭壇まで行くと、そこにある石像の前に立った。
「これは……」
俺は思わず息を飲む。
目の前にあるのは大きな翼を広げた神の石像。
背中には6枚の羽があり、手には剣を持っている。
創造神デウス!
この世界を『ゼノンワールド』を作った。
「ルシファー、これがお主が召喚したという勇者かの」
突然、声が聞こえた。
俺は振り返る。
そこには一人の老人が立っていた。
白髪で長い髭を蓄えている。
「はい。そうです。大司教」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます