第4話 拡張パックver1.6の戦い方
「『ゼノングランドクロッセオ・背徳の少女たち』って?」
ルシファーは首を傾げる。
なるほど。
ルシファーはゲームのことは知らないのか。
「ああ、簡単に言えば……」
ゲームの内容を説明。
ルシファーはそれを聞いて納得してくれたようだ。
「そうですか。つまり並行世界でこの『ゼノンワールド』を模したゲームという名の遊戯が存在し、あなたはその遊戯を楽しんでいたと」
そういうことになるのだろうか?
ルシファーの要約はなかなか聞いてて面白い。
『ゼノンワールド』から見れば、俺の生きていた現世は並行世界なのか。
つまり、世界は一つじゃないということが分かった。
「多分、そうだと思う」
俺はうなずく。
「ちなみに俺のことはヨウって呼んでくれ。遊戯ではその名前でプレイしていた」
「わかりました。では私のことはルシファーと呼んでください」
「了解」
俺は右手を差し出す。
「これからよろしく頼むよ。ルシファー」
「こちらこそよろしくお願いします。ヨウ」
俺たちは握手を交わす。
「ヨウはこの世界を、ルシフェルから救うために並行世界から召喚されました。これは私と司教そして光の民の恩恵の結果です。そして、私と共に戦いましょう」
「ああ……って、ルシファーも戦いに参加するのか?」
「はい、当然です」
「でも、ルシフェル……あいつは相当強いんだろ」
ルシファーは微笑む。
「はい。父の『憎悪』を9割引き継いだ兄ルシフェルは相当強いです。ヨウの力を借りても難しいでしょう。ただ、勝ち目はあります」
「どんな?」
「ルシフェルは残り一割の『憎悪』を欲しています。それさえ手に入れれば完ぺきな魔王の継承者となり、世界を征服する力を手に入れることが出来ます。だから私を殺すために様々な刺客を送り込んでくるはずです。刺客を全て倒せばルシフェルが最後に現れるはず。私の『憎悪』を奪う時、一瞬隙が出来るはずです。そこを狙う」
なるほど。
こちらから攻めて行かなくても、あちらから攻めて来てくれるということか。
ver1.5までの『ゼノングランドクロッセオ・背徳の少女たち』だと、魔王を倒しに魔王城まで向かっていたが、ver1.6は、向こうからこちらに攻めて来るのか。
「つまり、守りながら戦うということか」
「はい。私を守って下さい。ヨウ」
ルシファーは頷く。
伏し目がちなところが可愛い。
魔王の『憎悪』が一割でも混じっているとは思えない、金髪碧眼美少女。
まさに天使。
だが、どうなんだろうか?
ver1.5で魔王を倒したのは俺だ。
それは並行世界の遊戯での話だが、それはこの『ゼノンワールド』でもそうなっているのだろうか。
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